あらためてシャノンMAを導入してからの3年間を振り返っていかがでしたか?
会社のマーケティングフェーズが大きく進展しました。待ちの姿勢から脱却し、積極的に商談を創出できるようになったことは、大きな進歩だと感じています。商談の創出が継続的にできるようになり、次の変革フェーズへの移行、つまりSFA導入のための基盤が整ったと考えています。
左:マーケティング部 マーケティングアドバイザー 池田 雅春 氏
中:マーケティング部 米澤 美槻 氏
右:マーケティング部 部長 青草 秀行 氏
ねじの卸売業界で、流通だけでなくねじに関する高度な技術力に定評がある池田金属工業は、2024年に創業75期目を迎える老舗企業。老舗ならではの「信頼」と「安定・安心」という強みを持ちながら、老舗であるがゆえの「変革への対応」という課題も抱えている。
コロナ禍に直面した2020年に「SHANON MARKETING PLATFORM」(以下、シャノンMA)を導入し、続いてSFAツールとしてkintoneを採用。これらのソリューションの連携により、商談の創出から売上向上に至るまでのプロセスにおいて、一気通貫でデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。
あらためてシャノンMAを導入してからの3年間を振り返っていかがでしたか?
会社のマーケティングフェーズが大きく進展しました。待ちの姿勢から脱却し、積極的に商談を創出できるようになったことは、大きな進歩だと感じています。商談の創出が継続的にできるようになり、次の変革フェーズへの移行、つまりSFA導入のための基盤が整ったと考えています。
マーケティングフェーズの進展にご協力出来て嬉しい限りです。IT投資に関しては、多くの企業が3~5年周期で見直しを行っていると思われます。マーケティングの成功への 道筋が見えてきた現在、SFA導入と同時にMAシステムの刷新も検討されたのでしょうか?
数年間の間に様々なツールが登場し、マーケティングシステムの進化には驚いています。ですが、新機能の開発や実装を自社で行っている企業はそれほど多くありません。シャノン社は、コンテンツアシスタント(※1)のような、最新のマーケティングニーズに適した機能を自社開発しています。今後のさらなる進化が期待でき、高い成果が見込めると考えています。そういった理由から、シャノンMAを継続利用すると決めました。
高い評価を頂きありがとうございます。(笑)長期間にわたってMAを運用・利用する点で、懸念事項や気づきについて教えてください
Web閲覧情報、メルマガのクリック履歴、資料ダウンロード履歴、展示会の参加履歴、アンケート回答履歴など、様々なデータがシャノンMAに蓄積されてきました。さらに、最近では外部の企業データベース(Musubu)から企業の売上高・業種・事業内容等のデータも取得し、シャノンMAへ登録しています。
このような大量のデータが蓄積されるようになったのですが、活用ができなければ意味がありません。当初は資料のダウンロード履歴やメルマガのクリック履歴等のデータを営業部へ共有していましたが、それだけでは営業活動のための仮説が立てづらく、活用しにくい状態でした。
現在は、それらのデータにアンケートの回答結果等も加えて共有し、よりお客様の課題が発見しやすい状態になりました。その結果、営業部のフォロー件数も増え、案件化につながっています。
やみくもにデータを集めたり共有したりするのではなく、「どんなデータがあれば営業活動に活かしやすいか?」という視点を持って戦略的にデータ収集すること、そしてMAに蓄積されたデータを活用するマーケターにとって視認性の高さは重要なポイントだと思います。
SFAはMAよりも国内での歴史が古く、様々なツールが存在しています。その中でkintoneを選ばれた理由と、実際導入されてみて感じる利点は何でしょうか?
「高機能」や「営業支援コンサルティング」等を特徴とするSFAもありますが、これらは自社には合わないと判断しました。現在は、当社ならではのSFAの運用・活用方法を模索している段階です。そこで必要になるのは、内製でシステムを変更したり機能拡張したりできる柔軟性です。そしてシステムに不慣れな方でも操作できるシンプルさも重要視しています。そして特殊な業界・ビジネスモデルなので、外部コンサルティングに頼るのではなく自分達で正解を模索していくやり方で進めています。それらの要件を満たしている身の丈に合ったシステムがkintoneでした。もちろん、シャノンMAとデータ連携するための仕組みが用意されている点も採用理由の一つです。
SFA導入プロジェクトはマーケティング部・情報システム部・営業部から成るチームで進めています。営業部から提案があったシステム改善提案をすぐに情報システム部が反映するなど、柔軟かつスピード感のある対応ができるのがkintoneの利点です。
あらためてシャノンMAの運用体制をお聞かせください。
データは営業部等へも共有していますが、シャノンMAの運用は4名が兼務という形で運用しています。
マーケティングフェーズが進んだとの事でしたが、新しく利用を開始した機能があれば教えてください。
シナリオ機能ですね。当初シナリオ機能はメールの配信に使うものだと思っていたのですが、リード情報の修正にも使えると教えて頂き、活用を始めました。企業情報の修正や項目の更新・フラグ付けを、シナリオ機能を使って自動化する事で業務の大幅な効率化につながりました。データを修正した後、企業情報や行動履歴を営業部などに共有していますが、そのプロセスのスピードが格段に早くなりました。
営業部と共有する情報について詳しく教えてください。
基本情報として、案件化につながりそうなリードの情報(企業情報・行動履歴など)を営業部へ共有しています。また、営業部と一緒にコンテンツの企画を進める際にも、シャノンMAへ登録されたデータを活用しています。
例えば「商品Aに関しての技術情報をメルマガで送ったら◯◯業界の方からの反応があった」等の情報を元に、次のコンテンツの方向性を考えます。もちろん、直接顧客とコミュニケーションをしている営業部から得られる情報も非常に重要です。営業部から得られる定性的なデータと、シャノンMAに蓄積された定量的なデータを組み合わせることで、より精度の高い仮説を立てることができると考えています。
デジタル施策が増加する中で、リアル施策の位置づけや必要性はどのように感じていますか?
デジタル施策の利便性は非常に高く、顧客が欲しい情報を必要なタイミングで提供できるため、その整備は必須です。一方で、デジタル施策の性質上、コミュニケーションが一方通行になりがちです。独り善がりの施策や情報発信にならないよう、より多くの顧客の声を反映するために、リアル施策にも力を入れています。
具体的には、展示会出展を含め、フォローアップとしてセミナーを実施しています。卸売・商社というビジネスモデルでは、顧客との接点や一次情報は得ることが困難です。顧客と直接対話することで得られる情報や関係構築の機会は宝そのもので、多くの気づきを得られます。リアル施策で得られた知見をデジタルで発信していく、デジタル施策で得られたデータをリアル施策で活用する、そのような循環を作り出せればと考えています。
多くの企業が展示会出展後のフォローについて模索されていると思います。また、属人化されやすい領域だと思いますが、フォローの仕組みを教えてください。
展示会で名刺を交換させていただいた場合、シャノン社の名刺デジタル化サービスを利用して翌日にはデジタル化し、御礼メールを送付するという流れです。以前は手作業でデジタル化していたため、作業速度や正確性にばらつきが生じ、御礼メールの配信までに一週間以上かかっていました。。頑張って接客すればするほど手作業が増えるというジレンマがありましたが、サービスの導入によって解消されました。
名刺がすぐにデジタル化されるので、営業部とマーケティング部のフォローの分担作業もスピーディーに進めることができています。属人化を排除し、フローを整備することで、自分だけがやり方を知っている業務というものがなくなり、「自分がなんとかしなければ」というプレッシャーから解放されたのは嬉しいですね。
セールス&マーケティング領域で進化している御社でも、DXを推進する中で難しさを感じる事はありますか?
もちろん、あります。(笑)DXはシステムを導入して終わりではなく、業務の進め方や考え方の変革も伴います。例えばMAやSFAを最大限活用するためには、営業活動やマーケティング活動の進め方・考え方の変革が必要となります。これらの変革は一朝一夕ではできず、難しさを感じています。DXプロジェクトとして取り組んだのは、まずデータを活用して営業・マーケティング活動を行うという考え方を現場へ浸透させることです。なぜデータが重要なのか、データを活用すると業務上どんな良い事があるのか等を繰り返し発信していくことで、徐々にデータ活用の文化を作っていっています。そして業務の進め方についても説明会やヒアリングを通して現場と合意形成を行っています。
注意しないといけないのは、合理性や効率性だけを追求してはいけないという事です。理論上は成果が期待できるが、実際に担当するメンバーにとって現状では取り組みづらいこと、顧客にとって最適ではない施策が存在するのも事実です。変革は重要ですが、顧客のためにならない・自社の戦略に合わないと判断したら、それを止める決断も必要になります。
システムとオペレーションの成熟に伴い、セールス&マーケティングに期待が高まっていると思いますが、現在試している機能(施策)や今後期待する機能(施策)はありますか?
コンテンツアシスタント(生成AI)を使い始めているのですが、その進化には期待しています。生成AIは活用範囲が広いので、具体的にどのように業務で活用するべきか悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。コンテンツアシスタントはメール件名やコラムの下書き等、マーケティング業務用に最適化されているので、どう使うべきかが明確です。
マーケティング業務以外でも活用できると思っていまして、例えば総務部が社内への情報発信の文章作成に活用するなどが考えられます。コンテンツアシスタントには文体を「硬め・柔らかめ」に変換する機能があるので、社内向けには柔らかめに変換して発信する事ができるのも良いですね。
貴重なご意見ありがとうございます。今後のシャノンやキントーンに期待する事について教えてください。
どちらも国産ならではのわかりやすさ、使いやすさがあるかと思いますし、サポートが充実しているのでITreview等の評価サイトで高評価なのも頷けます。連携する3rdパーティーツールも豊富なので、拡張性の高さにも満足しています。開発パートナーを増やしつつも、自社開発も継続していってもらえるとユーザーとしては非常にありがたいです。
※1コンテンツアシスタント:シャノン社が提供するマーケティング専用の生成AIクラウドです。
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