社内に散らばっていた顧客情報のデータベース化と
ウェビナーによるナーチャリングで商談創出に貢献

三協エアテック株式会社

写真左:広報IT企画室 副室長 中村 様、写真右:広報IT企画室 高松 様

会社名:三協エアテック株式会社
業種:製造業
業態:BtoB
導入製品:SHANON MARKETING PLATFORM
導入時期:2021年9月
URL:https://www.sat.co.jp/

取材ご協力企業

三協エアテック株式会社
オゾン関連製品やうるおリッチをはじめとした業務用加湿装置・空気清浄装置などの環境関連機器を開発・製造・販売・メンテナンスまで一貫体制に取り組んでいる製造メーカーです。
これまで、お客様の声を原動力にして、新たな価値を提供しながら、常に製品・サービスの改善に取り組んできました。

取材ご協力いただいたかた
広報IT企画室 副室長 中村勝太 様

製品導入の目的

  • 顧客情報の管理が属人的で、営業が持つ名刺情報がMAツールに入っていない
  • コロナ禍により大量のリード獲得をしたが、中長期に渡ってフォローする仕組みがない
  • 当時導入していたMAツールの活用は月一回のメール配信で、ナーチャリング施策ができていない

製品導入の効果

  • これまでに営業が獲得した名刺情報の集約と営業が名刺を獲得した際に自身でMAに顧客情報を登録する体制を構築
  • メールによるナーチャリング施策として、週3回のメルマガ配信と特定のアクションをしたかたへの追いメールなどパーソナライズメールを開始
  • ウェビナーは年20回開催、約1,000人集客する規模まで成長し、ウェビナー参加後の案件化まで仕組み化

きっかけは、コロナ禍による特需
リードの一時的な増加とその後の反動により、ナーチャリングが課題に

事業・業務内容

中村氏:弊社は、環境関連製品を製造から販売、メンテナンスまで手がける製造メーカーです。私が所属する広報IT企画室では、室長と副室長の私と業務を主動してくれる2名の計4名体制で、各種ツールの選定からマーケティング業務、総務やお問い合わせの対応といった幅広い業務に携わっています。

コロナ禍により、業務用加湿器・空気清浄機のお問い合わせが急増

中村氏: シャノンのMAを導入したのは2021年でした。当時はコロナ禍で、多くの企業がお客さまとリアルでの接点が取りづらくなり、リードの新規獲得が難しくなったため、オンラインでのリード獲得が注目されていた時期でした。

一方、はじめて緊急事態宣言が出された2020年、弊社では「うるおリッチ」をはじめとした業務用加湿装置や空気清浄機が、コロナ禍対策として導入を検討いただける機会が増えました。Webサイトからのお問い合わせが急増し、何もしなくても日に数十件のお問い合わせがあり、ホットリードも多くあるという特需でした。

コロナ禍によるお問い合わせは一年で例年以下へ減少

中村氏: ただ、このお問い合わせ頻度は一時的で、本来なら、もう少し後にお問い合わせいただいたであろう企業がコロナへの対策ということで、前倒してお問い合わせいただいた「需要の先食い」ではないかと感じていました。

実際に、翌年の2021年はまだコロナ禍ではありましたが、お問い合わせの件数は減り、コロナ前の2019年よりもリードの獲得数も減少しました。だからこそ、このお問い合わせが落ち着いたタイミングで、2020年に獲得した多くのリードに対して何か手を打たないといけないと考えたのでした。

製品特性を考え、コロナ禍で獲得したリードにナーチャリングの必要性を感じる

中村氏:また、弊社の製品である業務用加湿器や空気清浄機、オゾンを使った脱臭装置や殺菌装置などは必需品ではなく、「欲しいと思うタイミングが限定されている」という特徴があります。

各製品が欲しいと思われるタイミング

  • 業務用加湿器・空気清浄機:乾燥する冬場や花粉が飛ぶ春に使用されやすい
  • 脱臭装置や殺菌装置:新しく店舗を出す、近隣からのにおいに関するクレーム、使用している製品が古くなった・故障したタイミング

欲しいと思うタイミングが限定されているということは、欲しくないタイミングに必要性をうったえて営業をしても「いらない」の一言で終わりですよね。だからこそ、欲しいと思った時に自社を思い出してもらうためのナーチャリングが大事。そのため、保有しているリードに対してナーチャリングをしなければなりません。
こういった背景から、シャノンのMAであるSHANON MARKETING PLATFORM(以下、SMP)を導入することとしました。

ナーチャリングに必要な機能とウェビナーが効率的に実施
双方にチャレンジできる製品がシャノンのSMPでした

シャノン導入前はMAから低頻度でメール配信、顧客管理も社内での管理体制が不十分

中村氏:弊社では元々、SFAとMAツールを導入しており、当時のMAツールでは保有リード全件へのメルマガ配信を月1回行っていました。また、社内の見込み顧客情報をすべてMAで管理できておらず、特に、営業が獲得した名刺がMAに入っていないという状況でした。

MAツールに求めたのは「名刺管理・ナーチャリングのためのメール機能・ウェビナー管理」

中村氏:新しく導入するMAツールでは以下のことができる機能があるものを探しました。

MAツールで実現したいこと

  • 名刺管理:社内にすでにある名刺の集約と今後取得した名刺をMAツールに入れるといった顧客管理の仕組み
  • ナーチャリングのためのメール配信:保有するリードの属性や興味のある製品などにあわせた情報提供ができるメール配信の仕組み
  • ウェビナー管理:これまで開催経験がなくても、ウェビナーを効率的に実施できる仕組み

MAの導入は一度経験があったので、まず1社にお話を聞くところからはじめました。そこで、MAは多くの製品があるものの「一つ一つの機能には大きな差はない」「備わっている機能によって価格が変わる」のではと思ったのです。そうすると、たくさんの会社に話を聞いても意味がなく、自社のやりたいことができる機能がある製品を探そうと検討をはじめました。

MA検討の軸はやりたかったウェビナーができる機能と価格感

中村氏:MAを探す際に重視したのは、これからはじめて実施するウェビナーを効率的に実施できる機能が備わっていること、その上で納得できる価格かどうかでした。

なぜウェビナーに取り組むかの理由は、ちょうどコロナ禍だったこともあり、「ウェビナーを行わないとお客様との接点が減っていく」という危機感からでした。

いざ、MAの情報収集をはじめようと、Web検索でMAの製品機能が比較できるサイトで「どの製品」に「どういった機能が備わっているか」を調べました。

比較した点としては、ウェビナーを効率的に開催するために、ただメールを送れるだけではなく「Webページや申込フォームが簡単に生成できるか」などでした。次にウェビナーができる製品の中で価格感を比較しました。「ウェビナー管理以外の機能も豊富な分、価格は高い」「価格は安いが欲しい機能がない」といった製品は優先度を下げました。検討を進め、最後に残ったのは導入していたSFAと同じ企業とシャノンの2社でした。

こちらの2社にお話を聞くと、シャノンの営業担当となっていただいたかたは親身に相談に乗っていただき、より良い提案をいただいたためシャノンのMAを導入することに決めました。

顧客管理の一歩目のMAでの名刺管理
営業の協力を仰ぐため、社内セミナーによる啓蒙活動を実施

営業への「社内セミナー」で名刺をMAで管理することの啓蒙活動を実施

中村氏:顧客管理の一歩目は、営業が持つ名刺を集め、社内の顧客情報の集約することでした。
名刺を集めるには、名刺を持つ営業の皆さんの協力が必要です。そのため、「顧客情報をMAに集約すること」が営業にもメリットがあると知ってもらわないといけません。そこで、社内セミナーという形で「MAツールを導入したら、何ができるようになるか」という話をしました。

参加した営業の多くはMAがどういったことができるツールか知りませんでした。ただ、セミナー後も「やっぱりよくわからんな」という声もあったのですが、それでも私の熱意が伝わったのか、「詳しいことはよくわからんけど、なんかやった方がいいのはわかった」とMAで名刺管理することの理解が得られました。

社内セミナーのおかげか、今では、営業が出先から戻ってきたら、すぐに名刺のスキャナーへ向かう癖が付き、名刺情報がMAの中に入る仕組み化ができました。

顧客情報の一元化により、部署間をまたぐ営業アプローチの見える化が可能に

中村氏: MAである程度、顧客情報を一元化できるようになると、今まで見えなかったことが少しずつ見えるようになってきたという実感があります。

例えば、弊社は複数製品を取り扱っているため、同じ法人グループに対して、複数の製品を売りたいという場面があります。部署単位で売っている製品が異なっているため、これまでは同じ法人に対して、別部署の複数人の営業がアプローチしてしまうということがありました。

今では、アプローチする前にMAとSFAを見ることで、すでに別の製品で商談案件ができているか、誰がいつアプローチしたのかが簡単に見えるようになったんですね。これまでは、製品が違う他部署の営業とは接点が無かったので、一歩見える化ができたかなと思います。

メルマガの配信頻度は月1から週3に増加
さらに、パーソナライズメールへの取り組みを開始

顧客数が増えたことでメール配信数を月1から週3まで増加

中村氏:見込み顧客のナーチャリングのために、メルマガへの取り組みも変わり、送信頻度がこれまで月に一度だったところから週3回に増えました。
週3配信を行うために、弊社では初めに四半期のメール配信スケジュールを作り、大体いつくらいにメルマガを配信するか決めています。

メルマガは次の4種類を配信しています。
・加湿関連の内容
・脱臭、殺菌や水質浄化関連の内容
・時事ネタを絡めた内容
・社内の様子や三協エアテックがどういう会社かをお知らせするリクルート関連の内容

広報IT企画室は4名なので、1人1テーマを請け負っているということになりますね。メルマガは、それぞれのテーマの内容に加え、ウェビナーや展示会出展のお知らせという構成です。

全件に送るメルマガ施策の次は、パーソナライズメールへ取り組む

中村氏: メルマガは、どのテーマでもリード全員に送付しています。メルマガの成果を上げる方法として、興味のある製品などの状況にあわせてメールを送り分けるパーソナライズメールを考えていますが、まだ取り組めていません。

そこで、最近ではありますがパーソナライズメール施策として、メルマガに特定の反応をしてくれたかたへ追加の情報提供としてホワイトペーパーなどを送る取り組みをはじめました。
この施策は、反応があった人に追加で送付しているので、全件に送るメルマガと比較するとクリック率など反応は良かったです。

今後のメール施策の課題は、顧客の興味や過去の購買履歴を使ったメールを送れるか

中村氏: 今後やりたい施策の一つとして、「契約状況次第でキャンペーンメールを送る」があります。

この施策は「契約状況」というSFAで管理しているデータを使うのですが、弊社はMAとSFAのデータ連携をしておらず、MAで契約状況を確認するにはSFAで直接確認しなければなりません。

業務用加湿器のような必要な時期が限られるレンタル品では、過去契約履歴があるが去年は契約してくれていなかったリードには、「今年契約復活してくれれば特別価格でご案内」といった特別なキャンペーンメールを打つことができ契約状況をふまえたキャンペーンメールは高い成果がでます。

代替策として、今は営業個人が自身のお客様一人ひとりの状況を確認して、メールや電話でキャンペーンの案内をしています。
営業個人での案内も悪くないと思うかもしれませんが、この方法にはデメリットもあります。それは、「都度SFAで契約状況を確認すると時間がかかる」「誰にアプローチするかの範囲が個々に委ねられる」ことです。
営業が持つ全件リードにあたるには工数がかかるため、例えば、ある営業は3年まで追ってくれるが、ある営業は1年しか追わないといったように、キャンペーンメールを届けたい人全員に届けられなくなってしまうリスクもあります。

MAツール導入から2年でウェビナーから年間1000人の集客とフォロー体制を仕組み化

中村氏: MA導入からはじめたウェビナーですが、今では年20回ウェビナーを開催し、約1,000人集客できるようになりました。ウェビナーは製品で2つのテーマに分け、開催時期を年単位で決めて開催しています。

ウェビナーでは、MA動画視聴ページから配信と開催後アンケートでMAを活用しています。特に、開催後アンケートから、フォローを希望するかたへ優先してお電話でフォローするフローが作れており、今のところウェビナー参加者の5~7.5%が案件化できています。

MA導入時に設定していた目的は実現
より大きな成果に寄与するにはMAを使いこなせる人材育成が必要

休眠顧客の掘り起こしのノウハウがなく、フォローが課題

中村氏: 今、導入時にMAツールで実現したかった「名刺管理」「メール配信」「ウェビナー管理」は仕組み化することができました。次のステップは、休眠顧客の掘り起こしとそのための人材育成にチャレンジすることです。

休眠顧客の掘り起こしでは、現状、どういった行動をしたかたにアプローチすればよいかというノウハウが蓄積できていません。「あるWebページを見た」「ウェビナーに参加」といった特定のアクションをしたからといって、必ずホットリードではなく、電話でアプローチをしても「たまたま見た」のような回答で、フォローしても嫌がられるケースは少なくないです。

どういった行動を取ってくれたかたを察知してフォローすればよいかは、MAの機能で解決するというより、MAに集まった情報をどう扱うかという使う側のノウハウではないかと思います。そのため、MAを使いこなせる人材育成を行うことができれば、今以上にMAが成果に貢献してくれるだろうと考えています。