アーカイブ配信は、オンデマンド配信やライブ配信と同じく動画配信手段の一種です。
ライブ配信と違って自分のタイミングで視聴できるというメリットから、新人研修やマーケティングなどのビジネスシーンで、アーカイブ配信を検討する方もいるでしょう。
その一方で、離脱率が高まりやすいというデメリットもあります。
今回は、アーカイブ配信の概要を他の配信方法と比較しながら解説し、ZoomとYouTubeでのアーカイブ配信方法を紹介します。
さらに、アーカイブ配信を実施するメリットやデメリット、効果的にアーカイブ配信を活用するコツも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
アーカイブ配信とは
アーカイブ配信とは、ライブ配信の終了後、録画データをいつでも視聴できるように公開する方法です。
ここではアーカイブ配信の概要を他の配信方法と比較しながら解説し、具体的な活用シーンを紹介していきます。
ライブ配信との違い
ライブ配信とは、テレビの生放送と同じように、映像や音声をリアルタイムで視聴者に届ける配信方法です。
そのためライブ配信では、リアルタイム性を重視した工夫がされていることが多くなっています。たとえば、YouTubeやInstagram、Zoomウェビナーなどのライブ配信が可能なツールではチャットで視聴者と主催者が交流可能です。
一方、ライブ配信はスケジュールが合う人しか視聴できません。
そこで活用されるのがアーカイブ配信です。
アーカイブ配信は、ライブ配信終了後に録画データを公開する配信方法です。
ライブ配信と違って配信期間が長く設定されることが多いため、都合の良いタイミングで視聴できるうえ、何度も繰り返し見ることもできます。
オンデマンド配信との違い
オンデマンド配信とは、主催者があらかじめ用意した動画を配信する方法です。
アーカイブ配信とオンデマンド配信の違いは、動画の収録方法にあります。
アーカイブ配信は、基本的にライブ配信した内容をそのまま配信する方法です。
YouTubeライブやZoomウェビナー、コンサートの生配信の見逃し視聴などを指して、アーカイブ配信と呼ぶことが多くなっています。
一方でオンデマンド配信は、事前に収録・編集したコンテンツも含めた言葉で、アーカイブ配信もオンデマンド配信の一種にあたります。
NetflixやAmazon Primeといった映画・ドラマの配信サービスも「ビデオ・オン・デマンド(VOD)」と呼ばれていて、オンデマンド配信の一種です。
アーカイブ配信の活用シーン
アーカイブ配信は、ビジネスや教育、エンタメなど幅広い分野で活用されています。
■ビジネス:
オンラインイベント(商品発表会・ノウハウセミナー・オンライン展示会)、オンライン研修、就職説明会など
■教育:
大学・予備校の講義、入学説明会など
■エンタメ:
ライブ・コンサートのオンライン配信、YouTuberのようなライバーの配信など
【プラットフォーム別】アーカイブ配信の実施方法
ZoomとYouTubeでライブ配信した内容を、アーカイブとして公開する手順を紹介します。
Zoomのアーカイブ配信方法
1.配信開始時までにレコーディングやアーカイブを設定
主催者が配信スケジュールを登録する際に、自動で録画が開始されるよう設定可能です。Zoomウェビナーライセンスを利用している場合は、「ウェビナーをオンデマンドにする」という選択肢を選んで設定することもできます。
また、ライブ配信開始後にレコーディングボタンを押すことで、配信の様子を収録できます。
2.Zoomの視聴用リンクを共有/任意のプラットフォームで公開
ライブ配信終了後はアーカイブ動画の視聴用リンクが自動で発行されますので、URLを公開するだけでアーカイブ配信が行えます。
また、Zoomの「レコーディング済み」タブから録画データをダウンロードすると、編集をくわえてから、YouTubeやSNSなど他のプラットフォームに公開することも可能です。
YouTube Liveのアーカイブ配信方法
YouTubeではライブ配信時間が12時間未満だった場合、配信終了後すぐに自動でアーカイブ動画が公開されるため、特別な設定は必要ありません。
編集するためにアーカイブ動画をダウンロードしたい場合、以下の手順で行えます。
1.YouTube Studio にログイン
2.左側のパネルから [コンテンツ] を選択
3.アーカイブ動画にカーソルをあわせ、[その他アイコン] > [ダウンロード] を選択するとダウンロードが開始
編集をくわえたあとに再度アップロードすることで、同じURLで引きつづき変更版のアーカイブ動画を公開できます。
アーカイブ配信を活用するメリット
アーカイブ配信を実施するメリットを3つ紹介します。
都合の良いタイミングで何度も視聴できる
一定期間視聴可能なアーカイブ配信は、自分のタイミングで視聴しやすいことがメリットです。
ライブ配信を見逃してしまった人に対するフォローにも活用できますし、開催後にライブ配信の内容を知って興味を持った人も視聴できます。
また、期間内であれば繰り返し見られることもアーカイブ配信の魅力です。
たとえば新入社員向けのオンライン研修では、アーカイブ配信することで研修内容を何度も復習できます。
アーカイブが動画マニュアルとしての役割を担い、研修効果をさらに高められるでしょう。
映像を編集してから配信できる
アーカイブでは、ライブ配信の内容をそのまま配信することもできますが、一部を編集してから配信することも可能です。
重要な箇所にテロップを入れたり、間が空いてしまった箇所をカットしたりといった編集をくわえることで、さらに理解しやすくなるでしょう。
また、ライブ配信が長時間にわたった場合、アーカイブではトピックごとに分けて配信することも可能です。
編集によって視聴するハードルを下げられるので、より多くの人に見てもらいやすくなるでしょう。
マーケティングに活用できる
アーカイブを配信するプラットフォームは、ライブ配信と同じものでなくても構いません。
そのため、拡散力の高いSNSにアーカイブ動画を掲載することもできますし、動画をきっかけに新たな顧客との接点を作ることもできます。
また、新規顧客との接点を作るだけでなく、既存顧客の興味関心を育むために活用することも可能です。
シャノンでもウェビナーの参加者アンケートでとくに好評だったセクションを、切り抜き動画としてメルマガで配信しています。
マーケティングではこうした取り組みを「リードナーチャリング」と呼び、商談や売り上げにつながるチャンスとして重宝されています。
アーカイブ配信を活用するデメリット
アーカイブ配信のデメリットを、解決方法とあわせて紹介します。
双方向のコミュニケーションが取りにくい
アーカイブ配信では、視聴中に双方向のコミュニケーションを取ることは基本的にできません。
ライブ配信ではチャットやQ&A機能を活用して視聴者とリアルタイムで交流できるため、視聴者が疑問を抱いた場合にその場で解決できます。
とくに商品やサービスに関連する内容だった場合、即座に解決することで商談や売り上げにつながる可能性が高まるでしょう。
しかし、アーカイブ配信ではそうしたやり取りは難しいのが課題です。
コメント欄や問い合わせフォームを設けてできるだけ早く返信したり、FAQやチャットボットを設置したりといった工夫が必要になってきます。
未視聴率や離脱率が上がりやすい
アーカイブ動画では時間が長いほど離脱率が高いうえ、そもそも視聴してもらえないこともあります。いつでも視聴できるからこそ、1回きりのライブ配信よりも視聴者の時間を拘束しにくいようです。
離脱率や未視聴率を下げるためには、視聴期間を限定したり、動画を見やすくなるように編集したりすることが重要です。
見やすいアーカイブ動画の解釈は人によって異なりますが、尺がコンパクトな動画は多くの人に好まれる傾向にあります。
シャノンがこれまでのウェビナーアーカイブ配信を通して調査した結果、動画の尺によって次のように視聴率にはっきりと違いが出ています。
・長尺のアーカイブ動画:平均視聴率約7.8%
・約5分の切り抜き動画:平均視聴率約40%
・約1分のショート動画:平均視聴率約80%
ライブ配信の出席率が減るリスクがある
ライブ配信前にアーカイブ動画を用意することを告知すると、「アーカイブ配信で見られる」という安心感からライブ配信の出席率が低下するリスクがあります。
また、ライブ配信をそのままアーカイブとして公開しても視聴率が振るわないため、結果として配信を全編見てくれる人の確率が低下するでしょう。
そのためアーカイブ配信を実施する場合は、ライブ配信に参加した人のみの特典もセットで用意しておくと効果的です。
また、ライブ配信の前日や当日には、メルマガやSNSで開催概要をリマインドするのも忘れないようにしましょう。
アーカイブ配信を活用するコツを、事例をもとに紹介
最後に、シャノンでアーカイブ配信を活用する際に実践しているポイントを紹介します。
切り抜き動画・ショート動画にしやすいフォーマットを押さえる
アーカイブ動画を効果的に活用するには、ライブ配信コンテンツを準備する段階で、二次利用しやすいフォーマットを採用するのがオススメです。
たとえばシャノンが実施している顧客向けウェビナーでは、ライブ配信のフォーマットを「羅列型」と「ストーリー型」の2つのパターンに分類しています。
このうち、アーカイブを切り抜き動画やショート動画として活用しやすいのは、「羅列型」のライブ配信です。
高い興味関心を示す顧客には、長尺のアーカイブ配信を案内
視聴率が高いのは短い尺のアーカイブ動画ですが、長尺の動画に使い道がないわけではありません。
シャノンでは、関心度が高い顧客を次のフェーズへ引き上げるために、長尺のアーカイブ動画を活用しています。
まとめ
本稿のポイントは以下の3点です。
1. アーカイブ配信はユーザーに都合が良いタイミングで見てもらえるうえ、新たな顧客との接点や、興味関心の育成にも効果的です。
2. ライブ配信と比較するとアーカイブ配信は視聴率が低い傾向にあり、アーカイブ配信を事前告知することでライブ配信の出席率が下がるリスクもあります。
3.ライブ配信もアーカイブ配信の両方を効果的に活用するには、ライブ配信の参加特典を用意したり、アーカイブ配信は1〜5分程度の短い尺に編集して公開したりといった工夫が必要です。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
また、シャノンコンテンツアシスタントでは、主にセミナー集客メールのタイトルと内容、記事集客メールのタイトルと内容、記事本文の生成が可能です。
⇒マーケティング専用 生成AIクラウドのサービスサイトはこちら