今、マーケティング業界は「Cookieレス」で震撼。
サードパーティーCookieを駆使して成果を上げてきたデジタルマーケティングは岐路に立っています。
Googleが2024年後半年までにサードパーティークッキーを廃止することになり、スケジュール感もほぼ確定しました。
そんな2022年夏、シャノンはクッキーレス型のダイナミックリターゲティング広告の新サービスをスタートさせました。
今回は、Cookie規制の現状と、それをふまえてマーケティング部門が必ずやるべき5つの対策について解説していきます。後半では、シャノン発のクッキーレス広告、BtoCでも有望な新サービスについてご紹介します。
Cookieとは?Cookie規制までの経緯
Cookieとは何か、サードパーティークッキーとは何か、なぜ規制されることになったのかなどについて確認します。
Cookie、ファーストパーティー、サードパーティーとは ?
Cookieとは、ユーザーが訪問したWebサイトのサーバーがユーザーのデバイスに残す、閲覧に関するデータのことです。CookieはユーザーのWeb閲覧をスムーズにするために役立っています。
たとえば、
「一度ログインしたWebページを閉じた後、再び閲覧したときにログイン状態になっている」
「カートに入れたけれど購入しなかった商品が、Webサイトを再訪したときにもカートに入っている」
などは、Cookieによるものです。
Cookieは具体的には、閲覧履歴、訪問回数などをテキストデータで記録します。この情報はユーザーに便宜を提供すると同時に、企業がWeb広告を配信するときに活用されています。Cookieには「1st party Cookie」「3rd party Cookie」の2つがあります。
1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)は、訪問したWebサイトと同一ドメインのサーバーから発行されます。
3rd party Cookie(サードパーティークッキー)は、訪問したWebサイトとは異なる第三者のドメインが発行したCookieです。インターネット広告を配信する事業者などが発行しています。
「Webサイトで賃貸物件の情報を見たあとにネットニュースを見ていたら、賃貸物件の情報が広告として表示される」というような体験は、サードパーティークッキーによるものです。
サードパーティークッキーがどう活用されてきたか
元々はユーザーの利便性のために作られたCookieですが、企業のWeb広告配信に利用されるようになると活用範囲は広がっていきます。サードパーティークッキーは例えば以下のように使われています。
リターゲティング広告の配信
ECサイトで見た商品の情報が、別のWebサイトを閲覧しているときに表示されるような広告をいいます。
DMPを活用したターゲティング広告の配信
DMP(Data Management Platform)はサードパーティークッキーなどの情報を蓄積・分析してクライアントの広告配信を支援します。ターゲットを絞り込んだ広告配信が可能です。
広告の効果測定
CVに至るユーザーがいつ、どの広告を経由してきたかという流入元情報をサードパーティークッキーによって収集し、サイト運営者が参照できます。
このように、今までWeb広告の配信においてサードパーティークッキーは欠かせない技術だったといえます。
「トラッキング」とは?サードパーティークッキーの問題点
サードパーティークッキーの問題点のひとつが「トラッキング」です。
トラッキングとは、サイトの枠を超え、ユーザーのWeb上での行動を追跡することです。知らないうちに多くの個人情報が紐づけされている可能性もあります。
サードパーティークッキーは個人を特定しない形のIDでユーザー情報を蓄積しますが、何らかの不正などによりIDが個人と紐づけられてしまったときにプライバシーが第三者に知られてしまうというリスクがあります。
また、たとえ個人が特定されていなくても、「蓄積されたユーザー情報が本人の知らないところで許可なく利用されるべきではない」という個人情報についての考え方もベースとなっています。
さらに、サードパーティークッキーに限らずCookie全般のリスクとして、セキュリティーの問題があります。デバイスに個人情報が一時保存されているので、モバイルデバイスの紛失や盗難などでは情報漏洩や悪用される可能性もあります。
Cookieを削除・ブロックすることは常に可能ですが、ユーザーがそれをしない限りCookieは蓄積されトラッキングも継続されるのが現状です。
こうした現状をふまえ、ファーストパーティークッキーは運用を厳格化、サードパーティークッキーは全面規制される方向です。
Cookie規制の現状と今後
Cookie規制の経緯と今後へ向けた最新状況をまとめます。
欧米で進む、個人情報への規制
規制の動きが最も早かったEUでは、2018年にGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)が施行されました。EUでは 個人データの保護は基本的人権とされます。
GDPRで保護される個人情報には位置情報、IPアドレス、Cookieが含まれます。適用範囲は 欧州域内で発生する処理のすべてであり、提供企業が域外にあっても適用され、高額な制裁金を科されることもあります。
米国では、カリフォルニア州で2020年、Cookieを厳格に制限するCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行されました。
アメリカではCookie規制は州法で定められますが、アメリカ全土をカバーする連邦の規制も存在します。
公正な取引を監視するFTC(連邦取引委員会)により2019年、Facebook が個人データ保護に反した問題で50億ドル(当時で約5400億円)の罰金を科せられた例があります。
日本では2022年、改正個人情報保護法が施行されました。
改正法の主なポイントは
- 本人の請求権の拡大
- 事業者の責務の厳格化
- 第三者への情報提供には本人の同意を義務付け
などです。
日本の法改正は欧州や米国で進む世界標準の流れに沿ったものですが、大きく違う点はペナルティの重さです。
日本では改正法違反に対する罰金が個人で100万円以下、法人の場合で1億円以下となっていて、高額な制裁金を科す欧州や米国とはかなり差があります。
Apple、Googleもサードパーティークッキーを制限・廃止へ
各国が規制を強化する動きに応じて、AppleやGoogleもサードパーティークッキーを制限・廃止する方向です。
Appleは2017年にITP(Intelligent Tracking Prevention)をスタートさせました。
同社が提供するブラウザである「Safari」ではファーストパーティーを含めたすべてのCookieの制限を段階的に強化し、2020年3月以降はサードパーティークッキーがデフォルト設定で全面的にブロックされています。
したがって、すでにiOSデバイスではリターゲティング広告を表示することが難しい状況です。
Googleは2022年7月、2023年までに廃止予定としていた同社ブラウザ「Chrome」におけるサードパーティークッキーの取り扱いについて、「2024年の後半に段階的に廃止」と改めました。
クッキー廃止へのスケジュールは2021年6月に1度延期されていて、今回は2度目の延期発表になります。
SafariとChromeで国内で使用されるブラウザの8割(2021年時点)を占めるので、サードパーティークッキー排除への流れは決定的です。
Cookieレス技術を模索する業界の動き
現在、各企業はサードパーティークッキーを使わない”Cookieレス”で「広告ターゲティング」「効果測定」などが可能な技術を開発中です。うまくいけば次の世界標準を手中にできるビジネスチャンスが到来しているともいえます。
サードパーティークッキーの代替技術は大きく2つに分けられます。
以下のように、Googleが推進する技術とそれ以外とがあります。
2022年1月、Googleはそれまで開発してきた「FLoC」を停止し、新しい技術として「Topics」のテスト開始を発表しました。Topicsは、ユーザー本人にもわかる形でユーザーの関心カテゴリを保存するしくみですが、まだ全容が明らかになっていません。
Cookie規制にそなえ、マーケティング部門が今からとるべき対策
Cookie規制が間近になってきた今、企業のマーケティング部門が必ずやっておきたい対策について解説します。
1st Party Dataの強化がカギ。今後に向けて今からやるべき5つの対策とは?
企業のマーケティング部門がCookie規制後に向けて今からやっておくべき対策として、以下の5点が挙げられます 。
1st Party Dataの強化
企業がユーザーと直接コミュニケーションをとることで蓄積されるファーストパーティーデータは規制されません。
今まで以上に貴重な企業の財産となるファーストパーティーデータを蓄積し、適切に管理することが重要です。
そのためにはLPの整備、SEO、メールマーケティングといった施策を基本に立ち返って充実させることが有効です。
参考:
- シャノンも実践中。BtoBマーケティングでSEOをどう進める?
- BtoBのメールマーケティングで成果を上げるコツは?シャノンが実践する手法もご紹介
- メルマガの開封率の平均はどれくらい?開封率を上げる7つの方法。BtoB向けメールのTipsもご紹介!
オウンドコンテンツの拡充
上のファーストパーティーデータ強化にも関連しますが、企業コンテンツのファンを増やすことが重要です。たとえば以下のような対策があります。
- ブログメディアの運用
- YouTubeの企業チャンネルなどによる動画マーケティング
- リアルイベントなどオフライン施策の強化
- ホワイトペーパー(BtoBの場合)
参考:
- BtoBこそコンテンツマーケティングが有効!成果を出せる施策の進め方
- 動画マーケティングとは?会社で活用するための手法を紹介
- ホワイトペーパーとは?BtoBマーケティングでの活用方法・効果を上げるための5つのアイデアを紹介
SNSの活用
SNSの企業アカウントはユーザーと直接コミュニケーションがとれる有効なチャネルです。サードパーティークッキー廃止の影響が少ないSNSからの広告配信も合わせて検討しましょう。
参考:
MAなどによる見込み客・顧客のフォロー体制強化
「デジタルの強化」も重要テーマです。メールアドレスなどを提供してくれた見込み客に対するフォローにはMAが有効です。
見込み客に対してはメールマガジンの配信、特別なキャンペーンやイベントの案内などを個人の興味関心に合わせて届けるOne to Oneマーケティングを実践します。
参考:
Cookieレス対応の広告の検討
サードパーティークッキーを使用せずにターゲティングやリターゲティングを行う新しい広告手法の運用が始まっています。
企業自身の業態・商品やサービスに合った方法を早急に検討・試験運用していく必要があります。
シャノンが提案する、クッキーレスのマーケティングに有効な新手法とは
2022年7月、シャノンは国内初の新技術「ポストクッキーダイナミックリターゲティング広告」を発表しました。
この技術は、MAと組み合わせてワンストップマーケティングを可能にする「SHANONアドクラウド」に追加されます。
国内DMP最大手のインティメート・マージャーが提供する「IM Universal Identifier(IM-UID)」 との連携により、個人情報に抵触しないデータのマッチング処理が可能になりました。
すでに現在サードパーティークッキーがブロックされているiOSユーザーへのリーチも可能です。
この技術は、BtoCのダイナミックリターゲティング広告のCookie規制対応策としても有効です。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
1. Cookieとはユーザーのブラウザに発行される閲覧に関連する履歴です。訪問したWebサイトが発行するCookieをファーストパーティークッキー、第三者のドメインが発行したCookieをサードパーティークッキーと呼びます。
2. サードパーティークッキーはデジタルマーケティングで活用されてきましたが、個人情報保護の観点から規制の方向となり、2024年までに廃止される見込みです。
3. Cookie規制後に備え、今から企業がとるべき対策は以下の5つです。
・1st Party Dataの強化
・オウンドコンテンツの拡充
・SNSの活用
・MAなどによる見込み客・顧客のフォロー体制強化
・Cookieレス対応の広告の検討
4. シャノンは国内初の新技術「ポストクッキーダイナミックリターゲティング広告」を発表しました。BtoCのダイナミック広告にも対応しています。
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