ダイナミック広告とは?マーケティングで成果を上げる運用方法

「昨日ネットショッピングで様々なECサイトを閲覧。
今日全く別の情報サイトを開いたら、広告欄に購入候補だった商品と、それに類似の商品が表示された。」

これがダイナミック広告です。

ダイナミック広告は多くの場合、ユーザーが過去に見た商品のWebサイトが関連商品を表示させる「ダイナミックリターゲティング」として配信されますが、閲覧していない商品の情報が表示されることもあります。

このようなダイナミック広告のしくみについて確認し、後半ではダイナミック広告の今後を左右するCookie規制とその対処法について解説します。

なお、シャノンではクッキーレス型のダイナミックリターゲティング広告を配信できる「SHANON アドクラウド」を提供しています。
以下でくわしくご紹介しております。
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ダイナミック広告とは? どんな商品に向いているか

ダイナミック広告とは何か、そのしくみや使い方について基本から解説します。

ダイナミック広告とは? ダイナミックリターゲティング広告も合わせて理解

ダイナミック広告とは、ユーザーごとに最適化した広告を表示させるしくみです。
ダイナミック広告のダイナミックとは「動的」の意味。反対語であるスタティック(静的)広告がどのユーザーにも同じ見た目の広告を表示させるのに対して、ダイナミック広告はコンテンツを組み替えます。商品の広告の場合、ユーザーの関心が高いと思われる商品を並べて表示させます 。

ダイナミック広告は、ユーザーが過去に検索したり購入を検討したりした商品があれば、それに基づいて別のWebサイトの広告スペースに表示されます。これをダイナミックリターゲティング広告といい、ダイナミック広告の多くはこの形です。

リターゲティング広告とは、ユーザーのWebサイト内での行動履歴をもとに再訪を促す広告です。リターゲティング広告はCookieというユーザーのブラウザに保存された識別子をもとに、過去の閲覧履歴があるユーザーに表示されます。

ダイナミックリターゲティング広告が適している業種とは

ダイナミック広告、あるいはダイナミックリターゲティング広告が適しているのは、商品やサービスのアイテム数が多く、幅広い顧客層をターゲットとする、主にBtoCの業種・業態です。具体的には以下が挙げられます。

  • 商品数の多い各種ECサイト
  • 旅行・運輸業界
  • 賃貸物件などを扱う不動産業界
  • 求人サイト

これらの業種では常に商品・サービス・情報が入れ替わることも特徴で、最新情報を届けることが可能なダイナミック広告が向いています。また、サイトの訪問者が一定数以上でないとダイナミック広告の効果が発揮できないので、ある程度規模の大きなサイトが適しています。

ダイナミック広告のメリットとデメリット

ダイナミック広告のメリットは以下です。

広告の費用対効果が高い
たとえばアパレルECサイトの場合なら、メンズ・レディース・キッズ向け、トップス・ボトムス・靴などのアイテム区分、価格帯などの違いにより、ターゲットとなるユーザーが違います。このような場合にユーザーの閲覧履歴に合った商品を表示できるダイナミック広告であればターゲットに対して効率よく広告を配信できます。とくにダイナミックリターゲティング広告の場合、ユーザーが過去に関心を持った商品を再表示させることにより高いCTRやCVRが得られる傾向です。

広告からダイレクトにCVへ誘導できる
ダイナミック広告の目的は見た人がクリックすること、そして購入することです。気になっていた商品が広告に表示され、クリックするとそのまま商品購入へ。ユーザーは少ない導線で簡単に購入を完了できます。CVに到達しやすいことはユーザーにとってもメリットといえます。

最新情報をスピーディーに配信できる
広告として表示させたい情報の更新が頻繁な賃貸物件・求人・航空チケットなどで、ダイナミック広告であれば最新のデータを素早く広告に反映させることができます。

新規顧客獲得にも活用できる
ダイナミック広告はリターゲティングだけでなく、新規顧客の獲得にも活用できます。顧客となる見込みが高いと推測されるターゲットユーザーへ広告配信します。この方法を「プロスペクティング配信」といいます。

広告クリエイティブにかかる工数を削減できる
通常のWeb広告ではクリエイティブ制作に工数がかかり、さらに効果的なビジュアルを判断するためにA/Bテストを行うこともあります。一方、ダイナミック広告はクリエイティブの工数を大きく削減できます。

一方、ダイナミック広告のデメリットですが、前述したように不向きな業種・業態もあること、タグとデータフィードの準備に手間がかかることが挙げられます。また、今後へ向けてはCookie規制の影響が避けられないという課題もあります。これらについて、次に述べていきます。

ダイナミック広告のしくみと運用の注意点

ダイナミック広告の出し方、運用方法と注意点などをまとめます。

ダイナミック広告の媒体

ダイナミック広告の主な体として、以下があります。

Criteo(クリテオ)
Google、Yahoo、その他多くのメディアにダイナミック広告を配信できるフランスのWeb広告配信会社です。窓口ひとつで効率よくダイナミック広告を運用できます。

Google
Google、Yahooその他のメディアに広告配信できます。

Yahoo!
Yahoo!のメディアに広告配信できます。

Facebook
Facebook、Instagramに広告配信できます。

LINE
LINEの各アプリからのみ、広告配信できます。メディアは限定されますが、他の媒体とは違うターゲットにリーチできる可能性があります。

タグとデータフィードを準備

ダイナミックリターゲティング広告を実施する企業は、「タグ」「データフィード」を準備します。

タグはユーザーの行動履歴を知るために必要です。自社のWebサイト内でユーザーがどの商品を見たか、何を購入したか、何回目の訪問で購入したかなどの行動履歴を取得するため、各ページにタグを設置します。

データフィードは広告のコンテンツの元データで、ECサイトの場合は広告に表示させたい全商品のデータとなります。商品が入れ替わる場合は定期的にデータフィードを更新する必要があります。

ダイナミック広告のしくみ

ダイナミック広告は、タグによって広告媒体がユーザーの行動履歴を取得し、それに合う商品の組み合わせをデータフィードから選択して表示させます。

複数のダイナミック広告の媒体に出稿する場合には、それぞれの媒体の仕様に合わせてタグとデータフィードを準備する必要があります。

ダイナミック広告の運用ではメンテナンスが必要

ダイナミック広告では定期的なメンテナンスが必要です。たとえば以下があります。

・データフィードのメンテナンス
ダイナミック広告で表示させたい最新の商品が並ぶよう、常にメンテナンスします。個々の商品データの入れ替えはもちろん、価格や在庫情報のチェック、「20%OFF」「NEW」などの表示(バッヂ機能)の出し分けなどの作業もあります。

・タグの動作確認
タグについては当初設定したものを変更することはあまり多くないですが、それでも媒体側で設定ルール変更があったり、不具合が起きたりするかもしれないので、正常に作動しているかを定期的にチェックします。

・タグとフィードの一致率を100%に近づける
タグが送信する商品IDとデータフィードの商品IDが100%一致していることが理想ですが、タグまたはデータフィードに不備があると数値が下がります。媒体によって違いますが、「一致率が70%を切ると広告配信を停止」などのルールがあるので注意しましょう。一致率がそこまで低下しなくても、媒体がタグから得るデータを蓄積することにとって広告表示の精度を高めるための機械学習ができず、広告効果が得られなくなってしまいます。

・クリエイティブの改善
ダイナミック広告を実施しているがクリック率やCV率が思わしくないというときは、クリエイティブの改善も検討します。ダイナミック広告のフォーマットは自由度が低いですが、最初に目に入るタイトル、説明文、商品の良さが伝わる写真など、検討の余地があります。

Cookie規制でどうなる? Cookieレスのダイナミック広告とは

ダイナミック広告、リターゲティング広告がCookie規制以後どうなるのかについて、現時点の見通しを解説します。

ダイナミック広告へのCookie規制の影響は

すでに2020年3月より、Appleのブラウザ「Safari」においては、初期設定でサードパーティークッキーが使用不可になっていて、リターゲティング広告の配信や効果測定に影響が生じています。特に日本ではiOSの使用率が高いので広告主にとって大きな打撃となっています。さらにGoogle Chromeは2024年後半までにサードパーティークッキーを不使用にする予定です。

Cookie規制について、サードパーティークッキーについてはこちらの記事で解説しています。
参考:Cookie規制の現状と、マーケティング部門がすぐやるべき5つの対策。シャノンが提案する新技術もご紹介!

ダイナミック広告の多くはダイナミックリターゲティング広告であり、リターゲティングの基盤技術であるCookieが規制を受けることの影響は甚大です。リターゲティングでないプロスペクティブ配信においても、ユーザーの属性情報の蓄積にはサードパーティークッキーが使用されているので、ターゲティングの精度が下がる可能性があります。

今、業界ではCookieレスでターゲットに対して広告を配信するための技術開発が進められています。
Googleはサードパーティークッキーに代わる技術としてTopicsを開発中です。他の事業者からもいくつかのCookieレス広告のしくみが考案されています。

Cookieレスのダイナミック広告は可能

シャノンは2022年7月、「SHANONアドクラウド」に国内初のサードパーティークッキーに依存しない「ポストクッキーダイナミックリターゲティング広告」を追加することを発表しました。

これにより、サードパーティークッキーにより利用制限があったモバイル環境においても、プライバシーに配慮しながら、自社サイトの商材・内容を踏まえた最適な広告を自動配信するダイナミックリターゲティング広告が利用可能になります。

くわしくはこちらの「SHANON アドクラウド」ページを参照してください。

まとめ

本稿のポイントは以下の5点です。

1. ダイナミック広告とはユーザーごとに商品を組み替えて表示させる広告のことです。

2. ダイナミック広告は多くの場合、ユーザーの閲覧履歴に基づく「ダイナミックリターゲティング広告」ですが、閲覧していない情報を表示させる「プロスペクティブ配信」もあります。

3. ダイナミック広告の配信ではタグとデータフィードを準備します。定期的なメンテナンスも必要です。

4. ダイナミック広告はCookie規制により大きな影響を受けます。今後に向けてCookieレス広告を検討する必要があります。

5. シャノンはサードパーティークッキーに依存しないダイナミックリターゲティング広告を発表しました。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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