みなさま、こんにちは。
株式会社シャノン マーケティング部のuzukiです。
シャノンは2023年10月25日〜27日、 幕張メッセで開かれた日本最大の IT展示会 「Japan IT Week 【秋】」 に出展しました。新型コロナウイルスの影響でなかなかリアルイベントに参加できずの2022年でしたが、2023年はリアルイベントが活況で弊社でもほぼ毎月何かしらに参加していました。今回は 「Japan IT Week 【秋】」 でのシャノンブース企画の裏側をリアルにお伝えします!
株式会社 シャノン マーケティング部 イベント担当
これまでBtoB企業のマーケティング職を複数社経験。2022年株式会社シャノンのマーケティング部へ入社。イベント施策をメインで担当し、ほぼ毎月展示会に出展するなかで他社さんがやっていないような新しいことに取り組もうと試行錯誤中。2022年は4回、2023年は11回リアルイベントに出展。
展示会、前年踏襲の壁
BtoB企業にとって新規のお客様と出会う機会として展示会出展は外せない施策です。私もこれまでの職歴のなかで中小企業のマーケ部をいくつか経験していますが、頻度の差こそあれど展示会に出展しない企業はありませんでした。
そのぐらいメジャーな施策ではありながら、展示会には悩ましいポイントがいくつかあり、これは中小企業のマーケ部あるあるだと思っています。
- 使う予算が大きい割にブースの装飾や企画が前年踏襲になりがち
- 事務局に書類提出、カタログ用意、パネル作成、営業部に接客依頼・・・・・・などなど。展示会以外の施策も進めつつ準備しなければいけないため会期までかなり多忙
- どこに工夫の余地があるかわからず、代理店さんから提案されたブースデザインをそのまま採用してしまっている
要は
「展示会は時間・お金がかかる!……けど色々試す余裕なんてない!」
その結果
「去年通りでいくしかない」
そんな状況に陥りがちなのです。
代理店さんから提案されたブースデザインを見て、「なんかいつもと変わらないな……もっと何か新しいことができないのかな……」と思って再提案をお願いするも、出てきたものはあまり変わらず。悩んでいるうちにも会期は迫り、ブース上部にある看板のデザインを変えるくらいで結局いつもとあまり変わらないブースに。
私もこんなもやもやを抱えながらも時間がないことを免罪符に、いわゆる『置きにいった』出展の経験が多数あります。
同じようなお悩みを抱えるBtoB企業のイベント担当のかたが少なからずいるのではと思い、今回IT Weekでシャノンが実施したちょっとおかしなブース作りについて記事にしてみました。何か少しでも参考になったら嬉しいです。
迷走?快走?異色のドンキコーナー
まず何をやったのか実績をご紹介します。
IT企業の展示ブースといえば、通常『スマート』で『スタイリッシュ』で『クール』を追及するところかと思いますが、私たちが進んだのはその真逆の道でした。イメージしたのはあの驚安の殿堂です。来場者のメイン通路に向けて横幅3mの巨大ひな壇を置き、ドンキコーナーを設置しました。
- 上部から吊り下げた3面バナー
- 言葉数の多いパネル
- 多数の手書きPOPと賑やかなノベルティ
一見するとIT製品を扱っているとは思えません。良くいえば賑やかで悪くいえばゴチャゴチャなブースを作ってしまいました。
「で、新しいことやったのはいいけど結果は?」というのが本ブログを読まれているマーケターのみなさまの気になるところかと思います。結果としては、昨年の同展示会の名刺獲得数を倍増することができました。※
※IT Week2022秋と2023秋での弊社名刺獲得数結果の比較より算出
(もちろんこの結果はブース装飾だけでなくオペレーションの改善などいくつかの成功要因の組み合わせだと思っております。)
なぜこんな異色のブースを作ろうと思ったのか?
接客台があって、パソコンがあって、製品資料が用意できればとりあえず出展はできます。
省労力、経費削減の観点で考えるならそちらのほうが効率的かもしれません(それも1つの手だと思います)。
ただ、私自身がBtoBの展示会に情報収集に行く来場者として「似たようなブースが多いな」と感じていました。また冒頭で述べた通り出展社側として「時間がないので前年踏襲」というジレンマを抱えていました。
あのスマートでスタイリッシュなブースが並ぶなかで良い意味で違和感を生み出したい。
『マーケティングの再現性を提供する』をミッションにしている企業のマーケ部として進んで新しい取り組みを実施し、そのなかで得た知見をお客様にも提供したい。
良い意味での違和感が企業の独自性につながるのではないかと思ったのです。
また、こうした情緒的な面だけでなく、マーケティング部として数字を獲得するためのロジックの面でもドンキ企画はいけるのではないかと静かに感触を得ていました。ここ最近私たちが注力しているマーケティング戦略の1つに”カテゴリーエントリーポイント(CEP)訴求”があります。カテゴリーエントリーポイントとは、何かを購入しようと思ったときにブランドを想起するきっかけやヒントのことで、時間・場所、ターゲットやシチュエーションなど、ブランドと紐付いたイメージがCEPです。
シャノンは会社としても、マーケティングオートメーションという製品としてもまだまだお客様の認知を獲得できていないと思っています。お客様の課題や痛みやシーンを訴求することで弊社製品を想起してもらえるようにする、というCEP訴求戦略を各施策で注力している最中でした。CEP訴求を行ううえで言葉数が多くなることともドンキ企画は相性がいいと思っていたのです。
「新しいことをやる」と決断した日
「新しいことにチャレンジしたいです」といえば何でも許されるかといえば、世の役職者たちもそこまで甘くありません。
このチャレンジによっていかに数字を生むのかそのロジックを提示し、承認してもらえなければ企画の実現には至らないのです。
私と同僚はドンキ企画っていけるのでは?と意思疎通したその日の業務後に、疲れ切った身体にムチを打って新宿のドンキを視察に行きました。今振り返るとこうして実際に足を運んで、ドンキ店内のPOPの威力を体感できたことで「いける!」という確信が持てましたし、企画に熱量が入ったような気がします。店内を細かく観察させていただき、その後同僚と何がポイントなのかについて話し合いました。
企画段階では盛り上がったものの、展示会の方向性を決定する会議ではマーケ部部長とマーケティング部メンバー3人の計4人で、張り詰めた空気のなか真剣に話し合いました。今考えると少し笑えるのですが「ドンキを構成する要素って?」「何があればドンキっぽいっていえるの」「どういうロジックで数字になるの」とドンキを主語に私たちは部長からなかなかの追及を受けました。私たちメンバーはこの企画は面白いしいけると思っていたものの、追及されるとうまく答えられなくて全員が黙ってしまう瞬間もありました。
前年踏襲の企画でいけば楽だしリスクもないし費用もかかりません。
ただ弊社のようなまだ認知も十分に獲得できていない状況で「ただ置きにいった」ブースを作っても大きなリターンは得られないだろうと私は考えていました。「シャノンって面白いことやってる会社だな」と何かしら印象に残るものを実現したい、という気持ちが前年踏襲でラクしたい気持ちを上回りました。
これまでは上部の大きな看板と壁で製品カテゴリと大まかな特徴を打ち出していましたが、ドンキコーナーを作ることでより詳細なCEP(カテゴリーエントリーポイント)訴求ができるはず。「訴求ポイントが増えより詳細になることでMA(マーケティングオートメーション)で刺さらなかった人も刺すことができると思います!」半ば意地のような説得でした。
最終的には私たちの熱量に押されたのか、「じゃあ、失敗してもいいからやってみよう」と部長の承認がおりました。
企画を作りこみ、作成物を洗い出す
ドンキ企画で行こうと決めてからはその後何度も店舗に足を運び、さらに細部まで観察させていただきました。どんな大きさでどんなPOPをいくつ作れば「っぽい」のか、イラレで原寸サイズを確認しながら企画を進めていきました。
展示会のご担当のかたにおすすめしたいのはこの「原寸で考える」というポイントです。IKEAなどの大型家具がショールームで見るのと1K6畳の自分の部屋に置いたときに圧迫感が全然違うのと同じように、展示会場は思ったよりも広いです。頭の中ではいい感じでも実際に会場に設置したときに意外と「こぢんまり」見えてしまうことが多いのです。
また、作成するパネルやPOPも実際に原寸で置いてみることで「枚数がもっとあったほうがいい」とか「訴求ポイントの全体バランス」なども調整が可能です。もしチームにイラレを使えるメンバーがいない時はパワポでもいいので、パネル単品ではなくブース全体で、できる限り原寸の縮尺で考えることをおすすめさせていただきます。
こういったいわゆる立面図の作成は通常外注でお願いすることが多いと思いますが、今回は自分たちで考えたイメージを具現化していくのも自分たちしかいないため、自分たちで考えながら詳細を固めていきました。通常は外注してしまう作業も自分たちで手を動かし頭を使って考えながら進めることで企画が詰まり、よりオリジナルな企画が出来上がってきました。
何度も店舗を視察にいったことで私と同僚の頭の中に共通の『実現したいイメージ』が生まれていました。
会期1.5週間前はとにかく作る!作る!作る!
メンバー内で必要なPOPの種類と数量を洗い出していったらとんでもない量になってしまいました。
作成物の数量管理シートを見ているだけでも酔ってしまいそうです。その時すでに会期まで2週間を切っていました。企画やオペレーションを詰めつつ、ブースのレイアウトも決めつつ、営業の方向けに説明会を行いつつ、会期の8日前はとにかくパネルやPOPを作りまくりました。実にその数約100点。まあとんでもない量です。あまりにすごい量なので洗い出した時点で私と同僚は気が遠くなり、一度は感情が無になってしまいました。
<作成物と数量>
手書きPOP:45枚(自社で作成)
パネル関連:42枚(オフィス近くのキンコーズに入稿)
A1パネル:10枚(外部のデザイン会社さんに発注)
会期の8日前に今から約100点の販促物作成を行うことを想像できますでしょうか。私はできなかったです。スケジュールは組んだもののまだ何も完成してはいないのです。何かトラブルがあって作成が滞れば、中途半端なしょぼいブースの出来上がりです。展示会担当である私は怖くて震えました。しかしもうひな壇は発注済み、このメイン企画を中心にレイアウトは決定済み。
もう引き返すことはできません。
震えながらも決死の覚悟で約100点を完成させるためのラフ案を作成していきました。
驚異の手書きPOP
手書きPOPは社内で作成することにしたため、4月に入社したばかりの1年目メンバーにも入ってもらって計7名で作成しました。
画用紙やペン、ボンド、ハサミなどを大量に用意し、社員が昼食を取る用のラウンジで一斉に作成を行いました。(※余談ですが出社割合が増えた弊害で会議室が埋まっており長時間作業できる場所がラウンジしかなかったのです)
大人7名が画用紙をチョキチョキ切り抜いて、ポスカで文字をフチどって、CEPに沿った手書きPOPを作りまくりました。その光景は端からみたら異様だったと思います。しかし時間もないし、予算はものすごい額だし、もう私たちは必死です。あまりに真剣に取り組むあまりシーンとしたなかでポスカをシャカシャカ振る音と画用紙にマッキーを引くキュッキュという音が響いていました。
どのくらい直前まで作っていたのだろうとGoogleカレンダーを見返しましたが、会期の3日前(土日除く)でまだ手書きPOPを作成していました。
時間がない展示会担当の強い味方「キンコーズ」
普段の業務でチラシやカタログを発注するときは速くて安いラクスルを使わせていただいていますが、ラクスルさんは納品日を指定することができないため、展示会前にはオフィス近くのキンコーズをよく使わせていただいています。(キンコーズさん、いつもありがとうございます!)
今回もいつもの調子で前日にキンコーズに入稿すれば翌日に受取れる想定でスケジュールを組んでいました。しかしここで予定外のトラブルが。
私たちの入稿したパネルの量があまりにも多すぎたため(なんせ大きさ様々で計42枚のパネル……!)、店舗のかたから私に電話がかかってきて「翌日受取なんてとてもムリ」だと言うではありませんか。「この量はムリムリムリ!店舗で印刷できない量だから工場に出さないとムリかも!もっと前もって入稿してくれないと!」と印刷リーダーっぽいおじさまに軽く怒られてしまいました。いや、しかしごもっとも。キンコーズで1日で印刷してもらう量ではないのです。
展示間近で搬入に間に合わせる必要があるのでなんとかがんばっていただけないか交渉し、謝り倒して納期をなんとか少し縮めていただき、完成したパネルを一括搬入荷物に載せることができました。
飾りつけにもセンスが問われる搬入日
無事に手書きPOPやパネルが間に合ったものの、搬入日のひな壇の飾りつけがまた大変でした。
ブース内の準備自体は毎月展示会に出展していた恩恵で2時間もあれば終わるのですが、ひな壇はただPOPやホワイトペーパーを設置すればOKではなく、『テーマに沿って』『見やすく』『映えるように飾る』ことがキモです。いったん設置してみては「なんか違う……」を繰り返しました。
13時から搬入を始めて飾りつけが終わったのは19時前。約6時間の格闘の末、やっとドンキコーナーのひな壇が完成しました。外はもう完全に暗くなっていました。残っている出展社さん自体が少なくなっていて、見渡せば周りにあるのはスタイリッシュでスマートなブースばかり。改めてブースを遠くから眺めてみたときに「この方向性でいいんだよね・・・いいんだよね・・・!?」と不安にかられそうになりました。
「いや、絶対大丈夫。すごくいい!」メンバー同士で励まし合いながら明日からの会期に闘志を燃やしました。
さいごに(展示会担当者の所感)
本記事の冒頭でも書いた通り、獲得した名刺は昨年から倍増しました。
ただそれだけでなく嬉しかったのが他の出展社さんの反応です。
「これどうやって作ったんですか?」
「うちも新しいことをやりたいんだけどなかなか時間が取れなくて・・・すごいですね」
「写真撮ってもいいですか?」
「ホワイトペーパーもらってもいいですか?」
搬入日の帰りがけや会期中も足を止めて話しかけてもらえたことがとても嬉しかったです。
弊社はマーケティングオートメーションというシステムを扱っており、マーケターのかたにお使いいただくことが多い製品のため、出展社さんは大事な未来のお客様です。そんなマーケターのみなさんにありがたいお言葉をかけていただいたことは光栄でした。会話をするなかでやはりみなさん展示会の出展について「前年踏襲になりがち」というお悩みを抱えているようでした。
新しいことをやったからといって受注ひいては売上につながらなければ本末転倒です。名刺が獲得できればOKなわけではなく、今回のIT Weekでお会いできたお客様と今後も継続的に関係性を築いていくことが重要であることは痛いほど認識しています。
今回感じたのは、「展示会とはこういうもの」となんとなく自分の中で作っていた枠を壊す怖さと楽しさです。新しいチャレンジにはリスクもあるし、何よりもまず怖いです。失敗したら、かけた費用分の責任を取れるのか考えると本当に怖かったです。
でもこの怖いという感情も大事で、怖いと思うくらいの挑戦をしていかなければ何も変えられないと感じました。これは展示会以外の仕事全般にもいえるかもしれません。すでにわかっていることだけではなく、自分の中に仮説を持ってわからないこともやってみる。新しいことをやってみるからこそ新しい知見が得られ経験値が貯まるのです。
新しいことに挑戦する過程で周囲から色々言われることもあると思いますが、企画した本人が「選んだ選択肢を正解にする」という強い気持ちで貫き通すことが大事だと思います。やっている側が本気で取り組んでいるとその気合いが意外と伝播するものです。今回怖いと思いながらやってみましたが結果的に社内外ともにポジティブな反応を得ることができました。
マーケティング部としてさまざまな施策を行っていくうえで前年踏襲ばかりでは広がっていきません。時にはリスクがあっても思い切った施策を行ってみたことで学びがたくさんありました。商談になったお客様の分析結果から自分たちが仮説として立てたCEP訴求が間違ってないこともわかりました。展示会の出展にかかる費用は高額ですがそこを縮小しようとするのではなく、むしろ費用を使って結果を倍増させる道を模索していくことが結果的に会社の成長につながっていくのではないか、といちマーケティング部員である自分は思った次第です。
これまで『人力舎の芸人さんによるマーケティング漫才企画』、『IKEAの本棚をブースの中に6台立てた本屋企画』などおよそBtoB展示会のブースに似つかわしくないチャレンジングな企画に挑戦してきました。今後もシャノンならではの個性を立てたブース作りを目指していきたいと思いますので展示会にご来場の際はぜひシャノンのブースを探してみていただけるとうれしいです。
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以上です。
今回の記事はいかがでしたでしょうか?
感想やみなさまの会社で行っている展示会の工夫などあれば教えていただけますと幸いです。X(旧Twitter)で投稿いただく際はハッシュタグ #シャノンのブログ も添えてポストいただけるとうれしいです。シャノン公式アカウントから「いいね」させていただくかもしれません。
▼「展示会からの商談をもっと増やしたい!」とお考えのみなさま
シャノンのマーケティングオートメーションをお使いいただくことで効果的に商談を増やし、展示会の費用対効果が向上します。
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最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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