ロイヤリティマーケティングとは?企業の成功事例をもとに解説

ロイヤリティの高い顧客ほど、自社に対して多くの売上をもたらしてくれます。

ロイヤルティマーケティングがうまくいけば顧客のロイヤリティは高まり、会社に良い影響をもたらすことが可能です。

1950年代後半ごろにおこなわれた、スタンプを貯めると商品と交換できる仕組みが、日本国内で初めてのロイヤリティマーケティングだといわれています。

この記事では、ロイヤリティマーケティングの概要やプログラムの進め方などについてわかりやすく解説していきます。

ロイヤリティマーケティングを活用したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

リードが長らく商談化しない

ロイヤリティマーケティングとは

ロイヤリティマーケティングとは、「お客さまに、自社や自社商品に愛着を抱いてもらい、売上や利益に貢献してもらうためのマーケティング活動」を指します。

そのために重要なのが、顧客のロイヤリティを高めることです。ロイヤリティとは、忠誠や愛着、愛情などを意味します。

自社に対してロイヤリティの高い顧客は、新規顧客に比べて多くの売上をもたらしてくれます。

ロイヤリティマーケティング手法の代表的な例が「会員制度」です。会員限定の特典やサービスを提供することで、顧客満足度を高められます。会員は非会員と比べて平均注文額が31%高く、追加注文率も25%高いというデータもあります。

ロイヤリティマーケティングと関連して、近年で注目を集めている業務が「カスタマーサクセス」です。

顧客の成功を支えることで、自社の売上につながる可能性が高まるという考え方です。

カスタマーサクセスについては、「カスタマーサクセスとは?業務内容、導入のメリットについて解説!」でくわしく解説しています。

ロイヤリティマーケティングが重要な理由

ロイヤリティマーケティングが重要な理由は、大きく分けて以下の3つです。

  • 顧客がファンになってくれる
  • LTVが最大化され、売上が向上する
  • 顧客による口コミ効果が期待できる

それぞれくわしく見ていきましょう。

顧客がファンになってくれる

ロイヤリティマーケティングがうまくいけば、顧客がファンになってくれます。

なぜ、ファンになってくれることが重要かというと、会社の利益に関わるからです。

既存顧客の維持コストに比べ、新規顧客の獲得コストは5倍かかるという1対5の法則や、顧客離れを5%改善すれば利益率が25%以上改善されるという5対25の法則があります。

このように、ファンを作ることでコストが減らせて利益を改善できる可能性が高いです。

自社や自社商品・サービスのファンになってくれる顧客を、「ロイヤルカスタマー」とも呼びます。

日本では「常連客」や「お得意様」という表現のほうがわかりやすいかもしれません。

ロイヤルカスタマーについては「ロイヤルカスタマーとは?その定義と、MA連携でロイヤルカスタマー を増やす手法」でくわしく解説しています。

顧客のロイヤリティ向上のために必要なCX

顧客のロイヤリティを高めて、ロイヤルカスタマーになってもらうために必要なのがCX(カスタマーエクスペリエンス)です。

CXは、日本語に訳すと「顧客体験」や「顧客体験価値」となります。CXは顧客が商品やサービスを購入する時点、およびその前後におけるすべての体験のことです。

CX向上に取り組むことで顧客のロイヤリティも向上し、ロイヤルカスタマーになってもらえます。CX向上のためには、以下のような手段があります。

  • ペルソナの設定
  • カスタマーサービス体制の構築
  • カスタマーサクセス部門の設置・強化
  • 顧客向けイベントの開催 など

CXについては、「BtoBでも重視されるカスタマーエクスペリエンスとは?CX向上の具体策も紹介」でくわしく解説しています。

LTVが最大化され、売上が向上する

LTVは「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。

企業の一顧客が生涯にわたって購入する総額です。LTVが向上すれば、ある程度将来的な売上が見込めるため、経営の安定につながります。

ロイヤリティマーケティングに成功して顧客がロイヤルカスタマーとなれば、顧客は自社の商品・サービスを使い続けてくれます。そうすれば、結果的にLTVも最大化されるというわけです。

LTVについては、「LTVとは?BtoBマーケティングにおけるLTVの重要性、施策、成功事例を解説!」でくわしく解説しています。

顧客による口コミ効果が期待できる

自社や自社の商品・サービスを口コミで広めてくれる顧客は、理想のロイヤルカスタマーです。 口コミは商品の売上にも密接に関係します。

2020年にデンマークのTrustpilotという企業がおこなった調査によると、顧客の89%は商品やサービスを購入する前にレビューを参考にしているそうです。

顧客を口コミで広めてくれるようなロイヤルカスタマーへと引き上げることが、ロイヤリティマーケティングにおいては重要といえます。

そのためには、期待を上回る感動体験を顧客へ提供する必要があります。

ロイヤリティマーケティングの進め

ロイヤリティマーケティングの進め方は、大きく分けて次のとおりです。

  • プログラムの決定
  • プロモーションの実行
  • 効果検証と改善

ロイヤリティマーケティングを進める際には、事前に目的を決めましょう。その目的に基づいたKPIを設定することで、定量的に数値を計測できます。

KPIについては「マーケティングの成否を分ける「KPI」「KGI」の重要性とは。シャノンがKPI設定で失敗した実体験もご紹介!」をご覧ください。

プログラムの決定

ロイヤリティプログラムには、大きく分けて3つの種類があります。

  • 会員プログラム
  • ポイントプログラム
  • ロイヤルカスタマー向けプログラム

それぞれのプログラム内容については以下をご覧ください。

プログラムの種類 プログラムの内容
会員プログラム 割引クーポンなど、プロモーション情報の発信

ポイントプログラム 商品やサービスを購入するごとに、ポイントが貯まる
ロイヤルカスタマー向けプログラム 空港のラウンジなど、ロイヤルカスタマーを対象に、特別体験を提供

ロイヤリティプログラムを決める際には、顧客視点で考えることが重要です。顧客にどのような付加価値を提供すれば、自社へ愛着を持ってくれるのかを考えて進めてください。

そのためには、既存顧客のカスタマージャーニーを知る必要があります。

カスタマージャーニーとは、ある商品やサービスを知った人が、情報収集しながら次第に購入意欲を高めて購入へといたるまでの過程のことです。

カスタマージャーニーによってユーザーの行動が見える化されます。ロイヤリティプログラムは、それぞれの種類を組み合わせて活用することも可能です。

ロイヤリティマーケティングに成功している企業には、それぞれの種類を組み合わせたプログラムを実践しているケースが多く見られます。

プロモーションの実行

ロイヤリティプログラムが決定しても、使われなければ意味がありません。そのために、プロモーションを実行する必要があります。

会員プログラムであれば、従来おこなわれてきたメールマガジンやダイレクトメールに加え、SNSや自社独自のスマートフォンアプリで情報発信をしてください。

ポイントプログラムであれば、実店舗の場合は会計時にプログラムを紹介し、ポイントが貯まることを伝えた上で登録を促しましょう。

他社でも利用できる共通ポイントプログラムに加入することで、顧客が加入するメリットは高まります。

ロイヤルカスタマー向けプログラムであれば、内容を充実させることが最大のプロモーションです。

すでに自社のロイヤルカスタマーとなってくれている顧客を手放さないため、継続的に特別な体験を提供することが大切です。

効果検証と改善

ロイヤリティマーケティングが進んでからは、効果検証と改善が必要です。

顧客のロイヤリティを測る指標に、NPS(Net Promoter Score)があります。

「あなたはこの商品/サービスを他の人に勧めますか?」という質問に対する答えを、0~10までの11段階から選び回答してもらいます。

以下のように、「推奨者」「中立者」「批判者」に分類できます。
NPSとは

「NPS = 推奨者の割合 - 批判者の割合」として数値化可能です。NPSは企業の成長率との相関性も高いとされており、定期的なスコア調査が重要です。

NPSの高い推奨者は、まさにロイヤルカスタマーといえます。

批判者と中立者が多い場合、顧客は満足できていない可能性が高いので、改善する必要があります。

ユーザーインタビューやアンケートを実施して、データを取得してください。取得したデータを分析して、どのような不満があるのかを把握しましょう。

改善できるものはすぐに改善することで、顧客ロイヤリティが高まります。

ロイヤリティマーケティングの成功事例

ロイヤリティマーケティングに成功している企業は多いです。本稿では、世界最大のコーヒーチェーン「スターバックス」と航空会社の「ANA」の事例を紹介します。

スターバックス

スターバックスでは、「スターバックスリワード」というプログラムがあります。

スターバックスの商品を買うとスターが貯まり、貯まったスターはドリンクやフード、オリジナルグッズと交換できます。

このプログラムは、「会員プログラム」「ポイントプログラム」「ロイヤルカスタマー向けプログラム」のすべてを網羅しています。

会員登録をし、デジタル スターバックスカードを発行するか、スターバックスカードをウェブ登録することでスターバックスリワードへ参加可能です。

貯めたスターの数によって会員ステータスが決まります。会員ステータスの種類は以下の2つです。

  • Green会員
  • Gold会員

Gold会員になると、誕生月特典やサプライズプレゼントなどの特典を得られます。これはまさに、ロイヤルカスタマー向けプログラムです。

スターバックスリワードには1080万人(2022年12月31日時点)と、多くの会員が登録しています。

ANA

ANA(全日本空輸)では、「ANAマイレージクラブ」というプログラムがあります。

スターバックスと同じく、「会員プログラム」「ポイントプログラム」「ロイヤルカスタマー向けプログラム」のすべてを網羅しています。

ANAマイレージクラブに入会すると、カードが付与され、さまざまな特典を受けられます。

特典の例は以下のとおりです。

  • 搭乗や買い物によってマイルが貯まる
  • ANAが提携しているお店やホテルで割引サービスが受けられる
  • フライトの予約が簡単におこなえる など

さらにロイヤルカスタマー向けプログラムとして、プレミアムメンバーシップもあります。

プレミアムメンバーは、ラウンジの利用や座席クラスのアップグレード、チェックインや手荷物受け取りの優先などの限定特典が受けられます。

プレミアムメンバーシップは、1年間で獲得したプレミアムポイントに応じて翌年度のプレミアムステイタスが決まります。

ステイタスの種類は以下の3つです。

  • ブロンズサービスメンバー
  • プラチナサービスメンバー
  • ダイヤモンドサービスメンバー

それぞれのステイタスに応じて、限定特典内容が異なります。ダイヤモンドサービスメンバー限定サービスは、選択式特典やオリジナルネームタグなどです。

ANAマイレージクラブの会員数は約3800万人にも及びます。

まとめ

ロイヤリティマーケティングについて解説してきました。本稿のポイントは以下の3点です。

1.ロイヤリティマーケティングとは、「お客さまに、自社や自社商品に愛着を抱いてもらい、売上や利益に貢献してもらうためのマーケティング活動」。ロイヤリティマーケティングが重要な理由は以下のとおりです。

  • 顧客がファンになってくれる
  • LTVが最大化され、売上が向上する
  • 顧客による口コミ効果が期待できる

2.ロイヤリティマーケティングを進めるには、プログラムの決定、プロモーションの実行、効果検証と改善が欠かせません。ロイヤリティプログラムには、大きく分けて3つの種類があります。

  • 会員プログラム
  • ポイントプログラム
  • ロイヤルカスタマー向けプログラム

3.スターバックスやANAのようにロイヤリティマーケティングに成功している企業は多くあります。ロイヤリティマーケティングに成功している企業には、それぞれの種類を組み合わせたプログラムを実践しているケースが多く見られます。

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