キャンペーンマネジメント(キャンペーン管理)とは、一定のシナリオのもとに様々なキャンペーン(見込み客へのアプローチ)を実施し、その結果を管理・検証して、また次のキャンペーンへと活用していくことです。
ここでいう「キャンペーン」とは、BtoBマーケティングの場合であれば「メールの配信」「セミナー/ウェビナー開催」「ダウンロード資料の提供」などを指します。
BtoBのキャンペーンマネジメントには、MAツールが有効です。
MAツールを活用すると、以下のような多くの業務を自動化できます。
- 顧客や見込み客の履歴を一元管理
- シナリオを設定し、購入意欲の異なるリードに対して1to1マーケティングを実施
- 実施したキャンペーンの成果を蓄積
- 見込み客のスコアリング
今回は、キャンペーンマネジメントとは何か、MAツールで実施するキャンペーンマネジメントの具体的な手法、その注意点などを解説します。
MAツールで1to1マーケティングも実施可能!「キャンペーンマネジメント」とは
MAツールが可能にするキャンペーンマネジメントとはどんなものか、まずその基本を説明します。また、MAツールで何ができるのかをご紹介します。
MAの主要な業務のひとつ「キャンペーンマネジメント」とは
キャンペーンマネジメントとは何でしょうか。
まず、マーケティングにおける「キャンペーン」という言葉は、「特定の相手に対して働きかける活動全般」といった意味です。
具体的には、「キャンペーン」は見込み客に対して実施する以下のような施策をいいます。
- メールの配信
- セミナー/ウェビナー/オンラインデモなどのイベント
- 「資料ダウンロード」など、Webサイトからの情報提供
- 品・サービスの1か月無料体験 などの提供
- 紙のDM の送付
キャンペーンマネジメントとは、上記のようなキャンペーンに関わる一連の業務全般を管理することで、具体的には以下のような業務を含みます。
リード(見込み客)のデータの一元管理
名刺、Webからの資料ダウンロード、セミナー/ウェビナーの申込など、異なるチャネルから獲得したリードデータを統合します。キャンペーンの成果を測るリードデータの精度を上げるための、名寄せ(マージ)によるデータ集約なども必要です。
シナリオの作成
どんなキャンペーンを「いつ」「どのように」「誰に対して」実施するかというシナリオは、今までの顧客獲得の経験などを参考に作成します。リードの購入意欲や行動パターンに合わせて異なるシナリオを用意することもあります。
1to1マーケティングによるキャンペーンの実施
購入意欲の高い見込み客、他社を含め情報収集している段階の見込み客など、リードの状況に合わせたキャンペーンを実施することを1to1マーケティングといい、リードごとに配信するメールの内容を変えたり、異なるセミナー/ウェビナーを案内したりします。
キャンペーンの効果を計測し、次のアクションを決める
キャンペーン実施後は各リードのリアクションを蓄積し、誰に対して効果があったか、なかったかをスコアリングします。また、各キャンペーン自体が有効だったかを検証し、必要なら次回以降のシナリオの修正を行うといったPDCAにより次のキャンペーンの有効性を高めていきます。
以上のようにキャンペーンマネジメントがカバーする業務は多岐にわたり、内容からわかるように、キャンペーンマネジメントはすでに獲得した見込み客を顧客へと引き上げる「リードナーチャリング」と重なります。
同時に、セミナー/ウェビナーやダウンロード資料の提供など、個々のキャンペーンは新規リード獲得という目的もあるので、キャンペーンマネジメントは「リードジェネレーション」の領域もカバーします。
キャンペーンマネジメント業務のうち、MAツールで自動化できること・できないこと
キャンペーンマネジメントの業務は多岐にわたります。
そのうちの多くの部分をMAツールで自動化することができますが、自動化できない業務もあります。
以下はそれを一覧にしています。
キャンペーンマネジメント業務 ~MAツールでできること・できないこと~ |
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MAツールで自動化できること | マーケティング担当者が行うこと | |
リードデータの管理 |
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シナリオの作成 |
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キャンペーンの実施 |
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効果測定・PDCA |
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このように、日々発生するルーティーンやデジタル領域のタスクはすべて自動化することができる一方で、マーケティング担当者の業務はキャンペーンマネジメントの判断基準となる各種の設定、シナリオの作成、コンテンツの作成、施策全体の検証と分析などとなります。
マーケティング担当者には、MAツールの機能を使いこなして業務の効率化を図りながら、自社の販促に適したシナリオの作成や効果検証に注力し、成果を上げていくことが求められます。
シャノンが提案する「購買ピラミッド」など、キャンペーンマネジメントの具体的な手法
BtoBのキャンペーンマネジメントの業務から「1to1マーケティング」「顧客行動の見える化」「PDCA」について解説していきます。顧客行動の見える化では、シャノンが提案する 「購買ピラミッド」という考え方を紹介します。
1to1マーケティングを成功させるシナリオ作成・5つのポイント
購入意欲の高いホットリードに対してはタイミングを逃さずに、一方、現在は検討のみというコールドリードに対しては時間をかけてじっくりと、リードの状況に合わせたキャンペーンを行っていくのが1to1マーケティングです。
1to1マーケティングを成功させるためのシナリオ作成のポイントをご紹介していきます。
まず、「誰に」「いつ」「何を」行うのか決めていく
シナリオ作成ではまず、[誰に][いつ][何を]するかを明確にします。
シンプルな例では、以下のように設定します。
誰に | セミナー/ウェビナーに参加したリード |
いつ | セミナー/ウェビナーの翌日・1週間後・2週間後の3回 |
何を | サンクスメールを配信後、架電の優先順位をつける |
さらに、送信したメールに対する「開封した」「メール内リンクをクリックした」「未開封」などのリアクションの違いによって、異なる次のアクションを決めていきます。
成功事例をパターン化する
誰に、いつ、何をしていくかを決定する基準となるのが、自社の成功事例です。
見込み客から商談や成約に至るケースの経緯には、以下のパターンが挙げられます。
①当初から購入意欲がある見込み客が、1か月以内に商談・成約
②最初のコンタクト時は購入に消極的だったが、その後継続的に情報提供をした結果、1年後に商談・成約
①のような見込み客の場合は、購入意欲の高いタイミングを逃さないことが大切です。
また、②のケースはリードナーチャリングがうまくいったケースといえます。コールドリードがどのようにしてホットリードとなったのか、その経緯はシナリオ作成に大いに参考になります。
オフラインの接点やSFA/CRMも活用する
キャンペーンマネジメントの対象となるリードは、主にマーケティング部門のリードジェネレーションによって獲得します。
これに加えて、営業部門がオフラインで入手した名刺や得意先からの紹介、SFA/CRMに蓄積された既存顧客データなども有力なリードとして活用します。
現在はアナログなコンタクトが制限されていますが、将来的には展示会やセミナーなど、対面でのコミュニケーションが復活すると見込まれます。
このようなオフラインの接点も逃さず活用していく必要があります。
リードジェネレーションについては、「リードジェネレーションとは?MA(マーケティングオートメーション)で効果的に見込み顧客を獲得する手法と事例を紹介」でくわしく解説しています。
最初はシンプルなシナリオから始める
シナリオは、最初はシンプルに設定します。その方がキャンペーンの結果の評価がしやすく、詳細な検証・分析と適切な修正ができるからです。
具体的には、2~3パターンを設定してキャンペーンを実施し、検証を踏まえて少しずつシナリオを追加していくことがおすすめです。
MAツールのシナリオ作成支援機能を活用する
MAツールにはシナリオ作成支援機能が備えられています。
「いつ」「誰に」「どんな」メールを配信するか、その後、メールを開封した人・しない人それぞれにどんな次のアクションをするのかといった、枝分かれしていくシナリオをフローチャート形式で編集できます。
「購買ピラミッド」により、見込み客の行動を「見える化」する
見込み客の行動は、商材を知るところから始まり、興味を抱き、具体的に検討する段階を経て商談へと進みます。
効果的なキャンペーンマネジメントのために、各リードの現在のフェーズをセグメントして、見込み客を「見える化」することが有効です。
そこで、シャノンが提案しているのが「購買ピラミッド」です。
図に示したように、「興味」「関心」「検討」などの各段階を定義して数値化することにより、リードを分類し、MAツールに落とし込むことができます。
リードの購買フェーズに合わせ、効果が見込めるキャンペーンを展開していきます。
シャノンのマーケティング経験に基づく購買ピラミッドの運用事例は、以下の記事で詳細に紹介しています。
キャンペーン実施後は、PDCAによりシナリオを修正し精度を上げていく
キャンペーンマネジメントは、継続することが大切です。継続していくにあたり、以下2点が必須となります。
①目標としてKPIをいくつか設定しておく
②キャンペーン実施後はKPIの達成度を検証し、必要に応じてシナリオを修正する
KPI(Key Performance Indicator)はマーケティングの達成度を測る指標で、具体的には「メールの開封率」「ウェビナー案内URLのクリック率」のような短期的なものと、「初回コンタクトから半年以内に興味・関心フェーズへ進むリードの割合」のような長期的なものとを組み合わせます。
KPIについては以下に例を挙げて解説しているので、参考にしてください。
目標に設定したKPIが達成できないときは、結果を詳細に分析し、以下のような修正をします。
- ウェビナーのテーマやWebサイトの内容など、コンテンツの修正
- キャンペーン施策の変更
- キャンペーンの頻度の変更
- メール配信などのタイミングの見直し
つまり、キャンペーンマネジメントはPDCAを回していくことで精度を上げていきます。
PLAN:シナリオの設定
DO:キャンペーンの実行
CHECK:効果の検証
ACT:シナリオの改善
キャンペーンマネジメントは、少なくとも1年かけて成果を上げていくよう方針を定め、じっくり取り組むことが大切です。
MA担当者が知っておくべき、キャンペーンマネジメントの注意点
BtoBマーケティングでは、今までうまくいっていたシナリオが、あるときから効果的でなくなることもしばしばです。マーケティング担当者は「見込み客の行動は、ますます複雑化・多様化している」ということを踏まえ、キャンペーンマネジメントを丁寧に進めていく必要があります。
そんな観点から、2つの注意点について最後に触れておきます。
最終CVだけでなく、中間CVも評価の対象とする
キャンペーンマネジメントで効果を測定するとき、最終CV(コンバージョン、到達)は「商談化」となります。しかし、なかなかCVR(コンバージョンレート、到達率)が上がらないときにどう考えればいいでしょうか。
たとえば、月に1回開催しているウェビナーでは毎回一定の集客があり、参加者アンケートでの満足度も高いのに、CVに結びつかない場合を考えてみます。
このウェビナーは、[最終CVRが低い→効果がない]と評価するべきでしょうか。
ウェビナー開催には手間もコストもかかります。低評価であれば費用対効果の観点から、開催の見直しを検討するという流れになります。
しかしここで、最終CVだけでなく「中間CV」も指標に含めてみると、違った評価となる可能性があります。
中間CVとは、この場合、ウェビナー参加者のその後の行動履歴のなかにあります。
たとえば、「サイト訪問」「動画の閲覧」「メールマガジンの開封」などのアクションを定期的に行っていれば、引き続き興味・関心または比較・検討フェーズにとどまり続けている可能性が高いといえます。
この見込み客は「他の業務でも多忙ななかで、時間をかけて慎重に検討している」のかもしれません。
すぐに最終CVに結びつかないとしても、中間CVなど他の指標からも効果を測定していくことで、複雑化する見込み客の行動を見落とす可能性を減らすことができます。
常に顧客目線で「リードは今どんな状況か」の理解に努める
ここまでのご説明からもわかるように、見込み客が顧客となるまでの道筋は多種多様です。
では、あらゆるケースを想定した複雑なシナリオを用意すべきかというと、それも適切ではありません。なぜならキャンペーン施策を実施する段階で、どの見込み客が複雑な行動をして、どの見込み客がスピーディーに商談へと進むかは不明だからです。
むしろ、多くのリードに共通であてはまる部分に着目して、シンプルかつ汎用性の高いシナリオを設定し、結果測定のほうを詳細に行うことが有効です。
効果測定や施策評価で判断に迷うケースに出会ったときは、マーケティング担当者は常に「顧客目線」に立ち返ってみることが大切です。
日頃から、顧客とコミュニケーションを図っている営業担当者から事例を収集したり、アンケートに書き込まれた意見を再読したりして、「顧客目線に立ったマーケマーケティング」のスキルを身に着けていくことがおすすめです。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
-
- キャンペーンマネジメントとは、一定のシナリオのもとでマーケティング施策を実施していくことです。BtoBの場合キャンペーンとは「Webサイトでのコンテンツ提供」「セミナー/ウェビナー」「メールの配信」などです。
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- 購入意欲の異なるリードに対して違うシナリオでアプローチする1to1マーケティングの業務は多岐にわたりますが、MAツールを活用して効率よく進めていくことができます。
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- キャンペーンマネジメントでは当初はシンプルなシナリオを作成し、PDCAを回すことにより精度を上げていきます。
- シナリオやキャンペーンの効果測定では「顧客目線」を意識することが大切です。
シャノンのマーケティングオートメーションでは、キャンペーンごとにLP/フォームを生成する機能がついているため、資料請求やセミナー・ウェビナーなど、ウェブ上の申込受付を実施したい際には、管理画面上からキャンペーンを立ち上げ、すぐにLP/フォームを用意することができます。
さらに、シナリオ機能でオートメーション要素(条件や手順に基づき一連の処理を自動的に実行する)とシナリオ要素(リードとのコミュニケーションを自動的に実行する)を組み合わせた機能です。定型業務の自動化も、コミュニケーションの自動化もまとめてカバーすることができます。
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