パソコンやスマートフォン、ブラウザなど。ユーザーのアクセス環境を知ることはBtoBマーケティングでどう役立つ?

Webサイトの訪問者が「PCやスマートフォンなどのデバイスのうち何で見ているのか?」というのは、アクセス解析によりわかります。
BtoCの物販サイトなどの場合はスマートフォンやタブレットなどのユーザーが多く、モバイル端末に対応したサイト最適化が重要ですが、PCからのアクセス割合が多いBtoBの場合はどうでしょうか。

今回は、Googleアナリティクス(GA)でわかる「訪問者のデバイス」などのデータを、BtoBマーケティングで活用する方法について考えます。

リードが長らく商談化しない

訪問者の端末や地域など、Googleアナリティクスでわかること

無料のツールGoogleアナリティクスにより、Webサイトの訪問者について何を知ることができるのか、まとめます。

Googleアナリティクスでユーザーの使用端末を確認

GAでは、「ユーザー」メニューより、訪問者がどんな端末で見ているかがわかります。

以下のように、「デスクトップ(パソコン)」「モバイル(スマートフォン)」「タブレット」の3カテゴリに分類されます。

ユーザーの使用端末をGAで確認

さらに詳細な端末のブランド、デバイスごとの滞在時間、CVも確認できます。
端末ごとのアクセス履歴や滞在時間を細かく分析して、「朝、移動中にスマホからアクセスしている」「夕方、パソコンで時間をかけてページを見る人がいる」など、利用シーンをよりリアルに想像することも可能です。

Webサイトの運営者はあらゆる端末環境で見やすい、そしてCVにつながるWebサイトを作成するために、これらのデータを参考にします。

そのほかにアクセス環境についてGoogleアナリティクスでわかること

Googleアナリティクスでは、使用端末以外にも「ユーザーがどんな環境からアクセスしているのか」についての情報を計測します。
以下のようなことがわかります。

1. Webブラウザとバージョン
PCからのアクセスでは、代表的なWebブラウザであるGoogle Chrome、Safari、Edgeなどのうちユーザーはどれを利用しているか、バージョンまでがわかります。Webサイトを作成するときは各種ブラウザで見え方をチェックしますが、「90%の訪問者の環境に対応」などの基準を定め、ブラウザ対応の作業を進めることができます。

2. ディスプレイ
ユーザーが使用しているディスプレイの解像度や、画面の色が32-bitかそれ以外か、などがわかります。ビジュアル重視のページを提供しているサイトにとっては重要な情報です。

3. 地域
ユーザーがどこの地域からアクセスしたかが、国、都道府県、地区町村までわかります。既存顧客とは違う地域からのアクセスが多ければ、そこに潜在顧客がいると推測できます。

4. プロバイダ、IPアドレス
プロバイダ名のほか設定によりIPアドレスも収集することができます。プロバイダやIPアドレスの情報だけで個人を特定できることはありません。ただし、企業や学校などの大きな組織が使用しているときは、その組織が特定できることがあります。

※個人情報の収集に関する規定については、マーケティングに欠かせないGoogleアナリティクス。その目的、MAとの違い・使い方は?の記事を参照してください。

マーケティング部門では、GAのアクセス環境データをどう活用する?

マーケティング部門では、GAで得られるアクセス環境についての情報をどう活用できるでしょうか。
MAツールを導入していない場合と、すでに導入済の場合について考えてみます。

GAのユーザー情報はMAツールの代わりになる?

先ほど紹介したように、GAではユーザーに関する各種データが収集できます。これらの情報はマーケティングにも大いに役立ちますが、MAツールの代わりとしてどこまで有効でしょうか。

GAによるアクセス解析の最大の目的は「サイトの最適化」です。
先ほど紹介した「デバイス」「ブラウザ、ディスプレイ」「地域」「プロバイダ・IPアドレス」などの情報をもとに、Webサイトを改善し、さらに訪問者を増やし、CVアップをはかることができます。

※参考:マーケティングに欠かせないGoogleアナリティクス。その目的、MAとの違い・使い方は?

一方、MAツールの役割は「リード(見込み客)を獲得し、興味・関心を引き上げる」ことで、「リードジェネレーション」「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の3つの段階があります。

見込み客を獲得する最初の段階「リードジェネレーション」は、オフラインの展示会などによる獲得もありますが、多くはオンラインによるものです。

オンラインでのリード獲得は、具体的にはメールアドレス登録を伴う、「資料ダウンロード」やウェビナーへの参加など。Webサイトのコンテンツの充実やページ動線の整備により、リード獲得数を増やすことが可能です。

つまり、GAを活用してWebサイトを最適化することは、リードジェネレーションに寄与します。

では、その後はどうでしょうか。

「リードナーチャリング」では、獲得したリードの興味関心の度合いに応じて個別に情報をメールで届けてレスポンスを計測し、さらにその結果をふまえて次の施策・・・と「1to1マーケティング」を進めていきます。

リードの属性や注力したいタッチポイントをスコアリングし、やがてその集計をもとにホットリードをピックアップする「リードクオリフィケーション」を実施します。

このような、「リードナーチャリング」「リードクオリフィケーション」の領域においては、獲得できたリードにフォーカスして施策を実施していくので、GAの利用機会はあまりありません。

リードの獲得にGAが役立つ

MAツールを使用していない場合、GAを使いながらメールアドレスなどのリードの情報を獲得するところまでは可能です。しかしリードに対するその後のフォローについては、手動で行うことになります。

結論として、GAはMAツールの役割のうち「リードジェネレーション」の段階までは「代わりになる」とまではいえないものの、リード獲得のために活用できる、といえます。

リードジェネレーションについては、「リードジェネレーションとは?MA(マーケティングオートメーション)で効果的に見込み顧客を獲得する手法と事例を紹介」でくわしく解説しています。

【活用事例】MAツールをメインで使用するシャノンマーケティングチームの、GAの活用法

MAツールを継続的に使用しているシャノンマーケティングチームにおける、GAのユーザー情報の活用事例をご紹介します。

1. IPアドレスから確認できる企業情報を、リードナーチャリングの参考にする
GAではアクセスユーザーのIPアドレスを知ることができます。多くのIPアドレスはユーザーを知る手がかりになりませんが、規模の大きいユーザーが使用しているIPアドレスについては企業や団体を特定できる場合があります。

すでにリスト化されているリードが属している企業から、リード以外からも複数のアクセスがある、という事実が確認できれば、リードについてのプラス要素となります。

2. ディスプレイの解像度のデータを、Webサイト作成時に活用
GAで得られるユーザーが見ている画面の解像度の情報を、作成したWebサイトの見え方を検証するときに活用しています。

このように日常的にMAツールをメインに使用しながら、裏付けや補足のためにGAのデータを活用していくといった位置づけです。

BtoBビジネスで「スマホユーザー」は有望? シャノンの場合は?

スマートフォンやタブレットのユーザーは、BtoCのほか、BtoBでもEC事業では主要な存在です。
一方、Webだけで取引が完結しにくいBtoBビジネスではどうでしょうか。

シャノンの場合、リードの約8割がPC経由であるため、1to1でリードをフォローし、興味関心を引き上げていくにあたっては、主にPCのユーザーを想定して施策を組み立てていきます。

ただし、スマートフォンやタブレットの性能が進化し、今後状況は変わっていくかもしれません。BtoBにおいても業種や職種によっては、PCではなくスマホやタブレットがメインのデバイスとなる可能性もあります。
また、SNS経由の情報発信がBtoBでも今より有効となるかもしれません。

さらにもうひとつの注目点として「クロスデバイス」の問題があります。クロスデバイスとは、1人のユーザーが同じWebサイトにPCとスマートフォンでアクセスしている行動を追うことです。これについて最後に考察します。

クロスデバイスについて、MAとGAはどう解析するか

「あるサービスの情報をスマホで入手したあと、オフィスのPCで再びアクセスして確認する」といった行動は、誰でも日常的に行っています。
クロスデバイスとは、このような1人のアクセス情報を、デバイスが変わっても一人の行動として引き継ぎできることです。クロスデバイスについて、MAとGAはそれぞれどのように扱っているでしょうか。

GAのクロスデバイス計測機能では、より正確なアクセス解析が可能に

最新のGAではクロスデバイスを計測できる「クロスプラットフォーム分析」機能を提供しています。

スマートフォンやPCなどデバイスの違いだけでなく、iOSとAndroid、Windowsなどの異なるプラットフォームを使っていても、同一ユーザーとして行動計測をすることができます。

この機能により、Webサイトへの複数回のアクセスやCVにいたるまでのユーザーの行動履歴をより正確に分析することが可能となりました。マーケティング部門では広告出稿の最適化などに役立ちます。

ただ、GAで対象とするのはあくまでも匿名のユーザーです。リード情報を獲得したあとの特定の個人へ向けたマーケティングにおいてはあまり使用する機会がないといえるでしょう。

クロスデバイスデータの取得にはGAがベター

MAツールでもリードが使用する複数のデバイスを紐づけることは不可能ではありませんが、あまり現実的な運用とはいえません。

仮に、

  • PCからchromeでキャンペーンXに申し込む→リードAとして登録
  • スマホからsafariでキャンペーンYに申し込む→リードBとして登録

というリードA、リードBのメールアドレスが同一だった場合は一定の条件のもとで名寄せができ、その後のクロスデバイスも確認できます。

ただし、トラッキングが紐づく条件として、「リードが同一のデバイス、かつ同一のブラウザでトラッキングタグが設定されたページへアクセスしている」ことを満たす必要があるため、名寄せをしない限りは別のリードとしてカウントされてしまいます。

不特定ユーザーを集計するGAとの違いは、MAでは特定のリードの行動をより丁寧に見て、リードへの適切なフォローに活かせるという点です。

まとめ

本稿のポイントは以下の3点です。

1. GoogleアナリティクスではWebサイト訪問者がPC・スマートフォンなどどんなデバイスで見ているかがわかり、他にもアクセス環境の情報が得られます。

2. MAツールを導入しているBtoB企業で、GAにより得られるIPアドレス、ディスプレイ解像度の情報などを活用できます。

3. BtoBのマーケティングでは、スマートフォンからのアクセスはまだ少数ですが、今後は対応が必要になるかもしれません。クロスデバイスの計測はさらに重要になりそうです。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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