ホットリードを商談につなげるスコアの使い方とは?メリットと注意点をご紹介

マーケティング部門が、業務の成果として営業部門へ引き渡す「ホットリード」。
営業部門にとっては、ぜひとも商談から売上へと結び付けたい、貴重な情報です。

マーケティングで、リード(見込み客)のなかからホットリード(有力な見込み客)を絞り込む方法として「スコアリング」があります。

MAツールによりデータを蓄積し、ホットリードを選別する方法としてはこのスコアリングが欠かせません。
ただし、スコアだけではホットリードを活かしきれない場合もあるようです。

今回は、ホットリードのスコアリングの有効性と注意点について考察します。

※ホットリードやスコアリングなどの用語、MA(マーケティングオートメーション)の基本的なことについては
「リードジェネレーションとは?MA(マーケティングオートメーション)で効果的に見込み顧客を獲得する手法と事例を紹介」で詳しくご紹介します。

ホットリード選別のために欠かせないスコアリング。役に立つけれど限界もある

マーケティングがホットリードを選別するリードクオリフィケーションの段階で、客観的な基準となるスコアが役立ちます。
ただし、「引き渡し後」については、スコアの情報だけでは不十分です。

まず、スコアリングが有効である一方でそれだけでは限界もあることを認識しましょう。

基本のスコアの付け方を再確認。シンプルな運用がおすすめ

最初に、「スコアリング」についてあらためて確認しておきます。

マーケティング部門が新規に獲得する見込み客(リード)の多くは、まだ購入を検討する段階ではありません。

そんな見込み客に対して、定期的に情報を届けるメールマガジン、見込み客の関心事を解説するウェビナーの案内、ダウンロード資料の提供などのマーケティング施策を実施し、ホットリード(有力な見込み客)へと引き上げていきます。

スコアリングとは、見込み客の行動履歴や属性情報を点数化することです。
一定のスコアに達するとホットリード、あるいはホットリード候補となります。

スコアリングでは、リードの行動履歴のほかに、リードの属性も加点要素です。
ターゲットとなる職種や購入の意思決定にかかわる役職であればスコアを付けます。

実際にシャノンでも、行動履歴に加えて、ターゲットであるマーケティング部門に該当する方に加点するスコアリングルールを設計しています。

上の図では、スコアは10点・5点・1点となっています。

スコアリング開始時はとくに、配点をできるだけシンプルに設定することがおすすめです。

最初からスコアリングを作り込みすると、結果を検証・分析しづらくなってしまうからです。
また、あとで述べるように、スコアリングの数値だけでホットリードの確度を表すことは難しいからでもあります。

※参考資料
統合データに基づく分析とスコアリング設計

smp.shanon.co.jp

スコアリング、ホットリードを含むマーケティング業務の全体像については、以下の記事で解説しています。

www.shanon.co.jp

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ホットリードの見極めを確実にする、スコアリングのメリット

スコアリングのメリットとして以下があります。

1) リアルタイムでホットリードの情報を取得できる
MAツールに一定のルールのもとでスコアリングを設定しておけば、基準点に達したリードを営業に随時メールで通知することも可能です。
「会社の事情により急遽購入を具体的に検討し、料金や契約のページを閲覧した」のような場合にはスコアが急上昇して通知されます。
スピーディーに営業がコンタクトすべきリードを、迅速に見つけて引き渡すことができます。

2)漏れなくホットリードをピックアップできる
マーケティング部門が管理するリード数が多くなるほど、スコアリング機能が役立ちます。
MAツールのスコアリング機能により、漏れなくホットリードを収集できます。

3) 客観的にホットリードを評価できる
リードの現状が数値化されるので、マーケターの主観ではなく客観で評価することができます。

※シャノンのマーケティングプラットフォームは、上記に示したようなホットリードを有効活用する機能を備えています。

以上のように、スコアリングはホットリードの選別を確実かつスピーディーに行うために非常に有効です。
ただし次に示すように、「スコアだけでは、伝わらない」という側面があります。

ホットリードを引き渡すとき、スコア情報では不十分?

マーケティング部門が選別したホットリードを営業部門に引き渡すときに注意したいことがあります。それは、
「どんな状態で引き渡すか?」ということです。

リードの基本情報のほかに、ホットリードに選別した根拠となるスコアを付けると、以下のようになります。

リード名 スコア
X社・Aさん 38点
Y社・Bさん 31点
Z社・Cさん 35点

このリストを見た営業担当者は、「最も商談の確度が高いのは、スコアが高いAさんだろう」と推測します。
しかし、ホットリードであることはスコアが示しているものの、どんなアプローチをすべきかに悩みます。
このリストでは、「リードはどんな課題をかかえ、なぜ購入を検討しているのか」を知る手がかりが不足しています。

引き渡すホットリードのリストに情報を追加することで商談化率アップをめざす、そのための試みを次のセクションで述べていきます。

営業部門へのホットリードの「渡し方」で結果が変わる

マーケティング部門が時間と手間をかけて引き上げたホットリード。
営業部門に引き渡した後にできるだけ多くが商談化され、最大限に活かされるよう、できることを考えます。

ホットリードを営業部門に渡すとき、スコアは優先順位となる

先ほどご紹介したホットリードのリストに、リードの経緯や背景に関する情報を追加してみます。

リード名 スコア 主な履歴
X社・Aさん 38点 ウェビナー参加、資料DL2件あり
Y社・Bさん 31点 1か月以内のLPアクセス数が急上昇している
Z社・Cさん 35点 ウェビナー参加、メルマガ開封率高い

上記の「スコア」は定量的な情報、「履歴」は定性的な情報です。
定量と定性、両面の情報があると、ホットリードについての理解が深まります。

実際のデータでは「参加したウェビナーのテーマ」「ダウンロードした資料名」「どんなWebコンテンツにアクセスしたか」という情報も入手できるので、リードの関心事が推測できます。

そして、定性的な情報を確認したあとで改めてスコアに目を向けると、スコアを「優先順位」をとらえることができます。
営業部門では、スコアをアプローチの優先順位を決める参考値として、進めていくことが可能です。

ただし、リード数が多いと、上記のような定性的な情報をわかりやすく添付することはマーケティング部門の手作業ということになり、簡単ではありません。

そこで有効なのが、MAとSFAのデータ連携です。
営業部門はホットリードに関するMAに蓄積された履歴を自ら確認して、リードのバックグラウンド情報を営業活動に役立てることができます。

※シャノンのマーケティングプラットフォームは、kintone、salesforce、eセールスマネージャーなど主なSFAとの連携を可能にする「シャノンコネクト」を実装。 さまざまな製品とつながりあうオープンなプラットフォームです。

マーケティング部門が評価して優先順位をつける場合もある

マーケティング部門が営業部門との連携をスムーズにするため、はじめはホットリードのなかでも特に確度の高いものだけに絞り込んで渡すという方法もあります。
これにより営業部門の信頼を得て、その後のコミュニケーションがとりやすくなります。

また、定量的なスコア、定性的な履歴、どちらをとっても突出してはいないものの、マーケティング部門がリードナーチャリングを行う過程で手応えを感じているリードがあります。
これらについてスコアリングとは別途、優先順位やコメントをつけて引き渡すこともあります。

これらの試みは、ホットリードを商談化や売上に結びつけて事業目標に貢献することはもちろん、マーケティング部門自体が他部門からの信頼を得ることにもつながります。

スコアリングの精度を上げていくには営業部門からのFBが重要

リードのスコアは「一律10点」など、最初はシンプルに設定するのがよいことは前述しましたが、商談の結果がわかってきた段階で営業部門からのFBをもとに、PDCAを回す必要があります。

この段階で、加点の割に結果に結びついていない行動履歴については、配点を低くすることもあり得ます。

また、営業部門がコンタクトをとろうとしたら競合他社に決まってしまった例が複数あった場合は、ホットリード選別のタイミングが遅いと考えられるので、到達スコアの条件を30点から25点に引き下げる、などの見直しも必要です。

営業部門からどんなFBを得るかについて、シャノンでは「初訪ロスト率」という指標を使っています。
初訪ロスト率によるスコアリングとホットリード選別の検証については、「データの蓄積と商談後の分析が鍵。シャノンのリードクオリフィケーションとは」で詳しくご紹介します。

www.shanon.co.jp

インサイドセールスがいると、ホットリードの確度を上げられる

インサイドセールスがいると、ホットリードはまずインサイドセールスに引き渡され、その後フィールドセールスにパスされます。インサイドセールスを介することで、ホットリードの確度を上げることができます。

営業にとって不可欠な「BANT条件」をヒアリング

営業担当者が必ずおさえたいヒアリング項目をまとめて、「BANT」、あるいは「BANTCH」などと呼ばれます。その内容は以下の通りです。

  • B…Budget 予算
  • A…Authority 決済権
  • N…Needs 必要性
  • T…Timeframe 導入時期

これに、以下の2つを合わせて「BANTCH」と呼ぶこともあります。

  • C…Competitor 競合
  • H…Human resources 社内人材

このなかでNeedsだけは、MAによってかなり把握できています。
AuthorityやHuman resourcesについては、多少の情報は得られますが不十分です。
BudgetとTimeframe、それにCompetitorは営業にとって非常に重要な情報ですが、MAではほぼ入手できていません。

インサイドセールスがいればこうした情報をヒアリングすることができるので、フィールドセールスに渡す段階ではかなり確度の高いホットリードとなっています。

インサイドセールス業務でもスコアを有効活用

インサイドセールスは、フィールドセールスよりも幅広い層のリードにアプローチすることができます。
たとえば、購買ピラミッドの「比較・検討」に属するリード全般をインサイドセールスの対象にします。

インサイドセールスがアプローチをする場合も、スコアは優先順位付けの参考になり、コンタクト履歴はリードの状況を知る手掛かりとなります。

幅広いリードに対して電話ヒアリングで働きかけをして、「比較・検討」層のリードをふるいにかけます。
双方向のコミュニケーションにより、「幅広い対象から効率よくホットリードを絞り込む」ことができるのが、インサイドセールスの強みです。

スピード重視のビジネスで、「マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス」という分業を行うには、MA/SFA/CRMのようなデジタルツールが欠かせません。
シャノンでは、マーケティング・インサイドセールス・フィールドセールスが連携しやすいシステムを提供しています。

※参考資料
インサイドセールスの効果を最大化するマーケティング情報の活用方法
smp.shanon.co.jp

まとめ

本稿のポイントは以下の4点です。

1. ホットリードの選別に欠かせないスコアリング。最初はシンプルなスコア付けをすることがおすすめです。

2. ホットリードを見極める指標となるスコアは、営業部門にホットリードを引き渡した後、アプローチの優先順位づけの基準として活用できます。

3. ホットリードの定性的な履歴と定量的なスコア、両方の情報があることでホットリードへのアプローチのしかたが決まります。

4. インサイドセールスがいると、ホットリードの確度を上げることができます。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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