ミレニアル世代とは、主に企業のマーケティング戦略で使われる言葉です。
近頃よく耳にする「Z世代」の1つ前の世代で、ちょうど結婚や出産など人生の転機に差し掛かる人が多いことから、ファミリー層向けの商品・サービスのマーケティング戦略で注目を浴びています。
また、ミレニアル世代は企業でも主任や係長など現場のマネジメントをする立場であるかたも多く、BtoB企業でもマーケティングのターゲットとして据えられることが増えています。
今回は、注目を集めるミレニアル世代について紹介します。定義や他の世代との違い、ミレニアル世代に見られる特徴、そして効果的なマーケティング施策について解説します。
また、シャノンが実施したアンケートをもとに、2024年にミレニアル世代が注目するマーケティング施策事例についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ミレニアル世代とは?
マーケティング用語の「ミレニアル世代」は、現在30代前後の世代を指しています。
結婚・子育てや、企業内での重要なポジョンへの昇格など、プライベートでも仕事でも大きな変化を迎えている世代です。
まずはミレニアル世代の定義や、X世代・Y世代・Z世代との違いについて解説します。
ミレニアル世代の定義
ミレニアル世代の定義は、アメリカと日本で少々異なります。
アメリカでの「ミレニアル世代」は、主に1981年〜1990年代半ば頃に生まれた世代を指す言葉です。
ミレニアルという名称は、この世代のほとんどが新世紀(ミレニアム)を迎えた2000年代に社会進出していることから来ていて、世界人口の約3割を占めているとされています。
一方で日本での「ミレニアル世代」は、1989年〜1995年ごろに生まれた世代を指す言葉です。
バブル崩壊直後の平成初期に生まれていて、ミレニアル世代の親世代は高度経済成長期とともに育った「新人類世代」です。
また、日本のミレニアル世代は2002年〜2011年に義務教育を受けた「ゆとり世代」とも重なっています。
今回は、日本でのミレニアル世代について取り扱います。
X世代・Y世代・Z世代との違い
ミレニアル世代と近い世代として、「X世代」「Y世代」「Z世代」などの言葉もあります。
この3つの世代はアメリカのコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が用いている定義で、それぞれ次の年代を指しています。
- X世代:1965年〜1979年生まれ
- Y世代:1980年〜1995年生まれ
- Z世代:1996年〜2012年生まれ
ミレニアル世代は1989年〜1995年ごろに生まれた世代のため、Y世代はミレニアル世代とも重なります。
ミレニアル世代はもともとアメリカで自然発生的に生まれた世代呼称で、心理学者のJean Twengeが定義づけました。
Z世代を指して「ポストミレニアル世代」と呼ぶこともあります。
一方でY世代はマッキンゼー社が消費者トレンドを分析するためにつけた呼称で、世代ごとにアルファベット順で呼ばれています。
そのため、X世代、Y世代、Z世代と続いていて、Z世代の次世代は「α(アルファ)世代」と名付けられました。
※関連記事:
Z世代とは?何歳からを指すのか、なぜZなのかを簡単に解説
α(アルファ)世代とは?特徴や年齢層、価値観についてわかりやすく解説
ミレニアル世代の特徴
ここからは、X世代とZ世代と比較しながら、ミレニアル世代(Y世代)の特徴を深掘りしていきましょう。
ミレニアル世代の特徴は、次の4つです。
- IT革命とともに成長した「デジタルパイオニア」
- ワーク・ライフ・バランスを重視
- 環境・社会問題への関心が高い
- 所有よりシェアを好む
それぞれ解説していきます。
IT革命とともに成長した「デジタルパイオニア」
IT革命とは、1990年代末〜2000年代初頭にインターネットの発達によって世界中の情報を手軽に手に入れられるようになり、社会に大きな影響を与えたことを指す言葉です。
それにともない、学習指導要領にも「情報」の授業が採り入れられました。
小・中学校では2002年度から、高校では2003年度からスタートしています。
その後のWebのあり方の変化を身近に感じてきたことも、ミレニアル世代の特徴です。
IT革命が起こった直後である2000年代初期までは、インターネットではユーザーが一方的に情報を受け取るだけでした。
2000年代半ば頃からは、掲示板やmixi、YouTubeなどユーザー自身が情報発信できるサービスが多数誕生しました。
こうした利用方法は「Web 2.0」と呼ばれていて、インターネットがさらに身近になったことで、デジタルデバイスの普及率が爆発的に伸びました。
総務省の調査によると、2000年〜2020年にかけてのインターネット利用率や、パソコン・スマートフォンの所持率の推移は次のようになっています。
インターネット利用率 | パソコン | スマートフォン | |
---|---|---|---|
2000年 | 34.0% | 50.5% | – |
2005年 | 66.8% | 80.5% | – |
2010年 | 78.2% | 83.4% | 9.7% |
2015年 | 83.0% | 76.8% | 72.0% |
2020年 | 83.4% | 69.1% | 86.8% |
※参考:総務省|令和2年版 情報通信白書|情報通信機器の保有状況
インターネットやデジタルデバイスの普及とともに成長してきたことから、ミレニアル世代は「デジタルパイオニア」とも称されていて、高度なITリテラシーを有しています。
一方で、生まれたときからインターネットが発達している「デジタルネイティブ」のZ世代と比べると、SNSの使用時間が平均1時間少なく、適度な距離感で活用する傾向にあるようです。
※参考:アジア太平洋地域のZ世代は 他の世代とどう違うか|マッキンゼー・アンド・カンパニー マーケティング&セールス研究グループ
ワーク・ライフ・バランスを重視
「失われた10年」とも呼ばれる1990年代以降、働き方の価値観が変化していきました。
1998年以降は共働き世帯の数が専業主婦世帯の数を上回っている一方で、リーマンショック以降は国内の平均給与が低迷しつづけています。
※参考:図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)|令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-|厚生労働省
また、健康寿命の延長により、定年後のセカンドキャリアも珍しくはなくなってきました。
そうした影響によって、がむしゃらに働くよりも、経済的に自立しつつ、長いあいだ健康に無理なく働けるワークスタイルが好まれるようになりました。
この変化を受けて、内閣府は2007年に「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」を発表しています。
ミレニアル世代はこうした価値観の変化を受け入れながら社会進出してきたため、自分で自由に使える「可処分時間」や、家庭で過ごす時間をしっかり持てる働き方を好む傾向にあります。
環境・社会問題への関心が高い
インターネットとともに成長してきたミレニアル世代は、マスメディアが提供する情報だけでなく、自分自身で世界中の情報にアクセスすることが可能です。
政治や、人種・性別に関する差別問題など、1人ひとりの声に耳を傾けることが特徴です。
当たり前とされている価値観をそのまま受け入れるのではなく、個性を理解して尊重する「多様性」という考え方が広まりました。
そのうえ、地球温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨などの気候変動問題や、東日本大震災をはじめとする災害なども経験しているため、社会や地球環境を取り巻くさまざまな問題への関心が高い傾向にあります。
「#MeToo」のようなSNSを通じた社会運動や、災害復興ボランティア活動などへも積極的に参加することで、より良い状況になるよう働きかける人も多い世代です。
所有よりシェアを好む
ミレニアル世代はバブル崩壊後に生まれたため、景気が低迷している時代しか知りません。
しかし、親世代である「新人類世代」が高度経済成長とともに大人になったため、ミレニアル世代は生まれた時からモノが豊富な中で育った傾向にあります。
必要なものはすでに揃っている環境で育ったものの、社会人になったあとは景気により所得がシビアである人も少なくありません。
そのため、消費をためらう傾向があり、「物欲が少ない世代」と言われることがあります。
ミレニアル世代はモノを所有するのではなく、低コストで利用できるシェアを好みます。
たとえば、マイカーを購入せず必要な際にレンタカーを利用する、CDやDVDは買うよりもレンタルやサブスクリプションサービスで視聴するといった行動が見られます。
ミレニアル世代に効果的なマーケティング戦略
ミレニアル世代へのマーケティング戦略では、次の2つを押さえることで高い効果を期待できます。
● 写真・動画を活用
● 付加価値として共感性の高い体験をアピール
それぞれ解説していきます。
写真・動画を活用
読み込んで内容を理解する必要があるテキストよりも、写真や動画のように直感的に詳細を理解できる手段が有効です。
デジタルパイオニアであるミレニアル世代は、SNSで毎日多くの情報を目にしており、流れてくる情報すべてをじっくり見ることはできません。流し見を防ぐためにも、ビジュアルで訴えかけられる写真や動画は有効です。
また、ミレニアル世代はインターネット上の誤情報や悪質なデマを見分けられる力が養われています。
実際に撮影した写真や動画を載せることで説得力が増し、ミレニアル世代への訴求力を高められるでしょう。
付加価値として共感性の高い体験をアピール
消費においてモノを得ることそのものではなく、それによって得られる体験を重視する傾向にあるミレニアル世代には、「やってみたい!」「同じ体験をしてみたい」と思わせる付加価値を訴求するのがポイントです。
たとえば美容液の訴求であれば、同世代のインフルエンサーを起用して商品を使用した感想を投稿してもらうことで、「私も同じ効果を得られるかも」という期待から購買につながります。
BtoB製品の場合も、ケース別の費用対効果を事例とともに紹介することで、導入に意欲的になってもらえるでしょう。
ミレニアル世代に効果的なマーケティング施策事例
シャノンでは、情報収集や選定に関わる20歳以上の男女かつウェビナ―を主催する企業を対象に「今後情報収集で参考にしたいチャネル」のアンケートを実施しました。
ミレニアル世代に分類される30代の回答のうち、とくに得票数が高かった選択肢は次の通りです。
企業のWebサイト | 46.3% |
各種Webメディア | 36.6% |
SNS | 36.6% |
ウェビナー | 34.1% |
動画 | 33.3% |
展示会 | 32.5% |
セミナー | 30.1% |
この結果を参考に、2024年に力を入れたいミレニアル世代向けマーケティング施策として、「SNS」「ウェビナー」「動画」「セミナー」の4つを紹介します。
SNS
デジタルパイオニアであるミレニアル世代は、情報収集にSNSを積極的に活用しています。
フラー株式会社の調査によると、ミレニアル世代が1日にスマートフォンのアプリを利用する時間は平均6時間21分、そのうち55分をSNSが占めています。
※参考:日本人のスマホアプリ利用時間は1日あたり4.8時間と過去最多に | フラー株式会社のプレスリリース
そのため、LINEやX(旧Twitter)、Instagramなどでビジネス用アカウントを開設して、定期的に情報発信しながらフォロワーを獲得していくことで、毎日SNSをチェックするミレニアル世代の目に自然と入っていくでしょう。
ただし、発信する時間帯には注意が必要です。
家族との時間や自分の時間を大事にするミレニアル世代へ、家で過ごしている時に仕事に関連する情報を届けても、見られない可能性が高いです。
そのため、BtoBの商材を扱う場合、SNSの更新は日中に行うのがおすすめです。
※関連記事:LINEマーケティングとは?特徴やメリット、無料から使える機能を解説
ウェビナー
ウェビナーはZoomのウェビナー機能などを活用したオンラインセミナーです。
商品のデモンストレーションや専門ノウハウに関する講義だけでなく、BtoCでの商品紹介のインスタライブ配信なども広義でのウェビナーに含まれます。
ウェビナーは職場や自宅のPCから簡単に参加でき、後日アーカイブ動画を公開すると当日スケジュールが合わなかった人も内容を確認できることがメリットです。
ただし、主催者や参加者の通信環境によっては音声や画面が乱れるケースがある点には注意が必要です。
また、チャット機能を活用した質疑応答タイムを設けることで参加者とコミュニケーションを取ることもできますが、「対面と比較すると具体的な相談がしづらい」という意見も多く上がっています。
そうしたデメリットがありつつも、参加するハードルが低いことを活かして、潜在層を比較検討フェーズに引き上げる手段としてウェビナーを活用するのがおすすめです。
※関連記事:ウェビナーとは?配信のはじめ方、メリットやデメリットから集客のコツまでをかんたん解説
動画
NTTドコモモバイル社会研究所が行った2023年の調査によると、30代で「YouTubeを利用している」と答えた人の割合は78.4%に上ります。
20代が81.1%、10代が80.0%ですので、Z世代とほとんど変わらず動画に親しんでいる世代だと言えるでしょう。
※参考:【サービス】YouTube認知率96.5% 利用率約7割:投稿は10~20代で1割程度(2023年5月15日)|レポート|NTTドコモ モバイル社会研究所
そのため、YouTubeを活用した動画でのアプローチも、ミレニアル世代にとって効果的です。
また、動画プラットフォームではTikTokも有力ではありますが、30代以上の利用率は低いのが現状なので、ミレニアル世代にアプローチするのであれば、まずはYouTubeを利用すると良いでしょう。
※関連記事:動画マーケティングとは?会社で活用するための手法を紹介
セミナー(対面イベント)
コロナ禍をきっかけにセミナーや展示会のオンライン化が進んでいるからこそ、対面イベントの効果も注目したいポイントです。
シャノンが実施したアンケートでは、「今後、ウェビナ―とセミナーのどちらに参加したいですか」という質問には、30代の40.7%、20代の46.3%が「セミナー」と回答しています。
前年度と比較してもミレニアル世代はセミナーの需要が増えていて、反対にX世代以上はウェビナーにニーズが集まっていることが分かります。
体験を重視するミレニアル世代だからこそ、対面でのセミナーに力を入れるのもおすすめです。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
1. 日本での「ミレニアル世代」は平成初期(1989年〜1995年ごろ)に生まれた世代で、Y世代(1980年〜1995年生まれ)とも重なっています。
2. IT革命とともに育った「デジタルフロンティア」として高度なネットリテラシーを持つ人が多い一方で、生まれてからずっと景気が低迷しているため、消費をためらう傾向にあります。仕事ではワーク・ライフ・バランスを重視していて、性別・人種などの多様な価値観への理解が深く、社会問題・環境問題への関心も強いことも特徴です。
3. ミレニアル世代向けのマーケティング戦略では、写真・動画を活用して直感的に訴求しつつ、購入することによって得られる付加価値を、共感性を重視しながらアピールすることがポイントです。
4. シャノンのアンケートでは、ミレニアル世代が今後参考にしたい情報法チャネルとして上位に「ウェビナー」「SNS」「動画」「セミナー」が挙がっています。それぞれの特性を活かしつつ、ミレニアル世代向けのマーケティング施策として活用してみてください。
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