PASONAの法則

マーケティング担当者のルーティンワークはたくさんありますが、そのなかでも「セールスレター」「ウェビナー案内メール」など、文章を書く作業はかなりの部分を占めています。

こうした文章は、事実を正確にわかりやすく表し、読み手が「購入」「参加申込」などの具体的な行動をすることを促すもので、目標とするCVRも設定されるので、しっかりと「伝わる文章」に仕上げる必要があります。

そこで役に立つのが「PASONAの法則」です。PASONAの法則にしたがって文章の「型」を整えることで、安定したCVRにつながり、毎日の作業を効率化できます。

今回は、PASONAの法則の意味や使用目的、上手な活用のしかたを解説します。また、シャノンが実践している、「ChatGPT×PASONAの法則」でさらに業務効率化をはかる具体例もご紹介します。

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PASONAの法則とは?新旧2つの法則とは

PASONAの法則には新旧の2パターンがあります。これらについて解説します。

PASONAの法則とはどんな法則?

PASONAの法則とは、顧客行動を促すセールスレターの文章の構成・順番を定型化した法則です。

著名なマーケターである神田昌典氏が1999年に提唱したもので、ちょうどメルマガやネット通販が拡大する時代に広まりました。

最初に示されたPASONAの法則は以下の通りです。

PASONAの意味を解説

PASONAの法則の各項目の意味を、例文とともに解説します。

Problem 問題
ユーザーの悩みや課題を明らかにして、問題提起をします。

例:アレルギーのある子どもの食事。安心できる食材で手作りして、家族で同じメニューを食べることが理想ですが、時間に余裕がなくてお困りではありませんか?

Agitation 煽り
問題をさらに深堀りし、緊急性を高めます。

例:アレルギーのある子のメニューがワンパターンになったり、家族と同じものが食べられなかったりすると、子どもの食育の面からも心配です。

Solution 解決策
問題の解決策を示します。

例:そんなかたに、アレルギー対応の食材宅配サービス「XXX」がおすすめです。××医師監修のアレルギー対応食でありながら安心でおいしく、バリエーションに富んだ食事材料をお届けします。もちろん家族みんなで同じメニューを食べられます。

Narrow down 絞り込み
期間や数量、購入するべきターゲットなどを限定して、今行動するべき理由を示します。

例:今月末までキャンペーン実施中で、お試し体験が可能です。

Action 行動
具体的な行動を促します。

例:体験の申込は以下のボタンから進んでください。

新PASONAの法則との違い

次に、新PASONAの法則を紹介します。

新PASONAの法則は、2016年、それまでのPASONAの法則の改良版として、神田氏により提唱されました。
以下のように、2番目のAが示す内容が従来と違い、Agitationではなく、Affinityとなっています。

Agitationにより不安をあおる、つまりネガティブなアプローチは、購買行動を促す反面、ユーザー離れの可能性もあると考えられます。そこで、ユーザーの悩みに寄り添う「Affinity」を採用してポジティブなアプローチとすることがより有効であるという考え方です。

また、解決策のあとに「Offer(提案)」という項目を増やして、解決策をさらに具体化して伝えるパートが追加されました。

新PASONAの法則の項目内容と例文は、以下のようになります。

Problem 問題
ユーザーの悩みや課題を明らかにして、問題提起をします。

例:アレルギーのある子どもの食事。安心できる食材で手作りして、家族で同じメニューを食べることが理想ですが、時間に余裕がなくてお困りではありませんか?

Affinity 親近感
問題をさらに深堀りし、ユーザーの悩みに共感することで親近感を示します。

例:とくに、子どもの食育を大切にしたい親御さんにとっては、家族みんなが同じメニューで、会話も食事も楽しみたい、でもそれが簡単ではないことが大きな悩みとなっているのではないでしょうか。

Solution 解決策
問題の解決策を示します。

例:そんなかたに、アレルギー対応の食材宅配サービス「XXX」がおすすめです。××医師監修のアレルギー対応食でありながら安心でおいしく、バリエーションに富んだ食事材料をお届けします。もちろん家族みんなで同じメニューを食べられます。

Offer 提案
さらに情報を追加して、提案を示します。

例:「XXX」は週2回から始めることができ、お客様の都合によるスキップも可能。食材の新鮮さや安全性、そしておいしさを確かめられるよう、まずお試し利用することをおすすめします。

Narrow down 絞り込み
期間や数量などを限定して、今行動するべき理由を示します。

例:今月末までキャンペーン実施中で、お試し体験が可能です。

Action 行動
具体的な行動を促します。

例:体験の申込は以下のボタンから進んでください。

新旧のPASONAの法則、どう使い分ける?

新・旧のPASONAの法則を比較表にしたものが以下です。

PASONAと新PASONAの法則の比較図

現在では新PASONAの法則のほうがよく使われています。とくに、BtoCのユーザー向けには「共感」や「親近感」が重要です。

しかし一方で、旧PASONAの法則のほうが適している場面もあります。

たとえばBtoBでは、相手は企業の担当者です。
コストをかけて何らかのサービスを導入するきっかけとなるのは、「現状には課題がある、対策しなくてはいけない」という問題意識です。このような場合には旧PASONAの型が向いています。

もちろん、BtoBでも「親近感」「共感」を表現したほうがいい場合もあるので、シーンに合わせて使い分けましょう。

他にもある、ユーザーを動かすための法則

PASONAの法則以外にも、ユーザーの行動を促すために有効な文章作成のための法則がいろいろあります。そのなかから、2つを紹介します。

QUESTの法則
QUESTの法則は、以下の5つで構成されています。

Qualify(絞り込み)
Understand (共感)
Educate(啓発)
Stimulate(刺激)
Transition(行動)

形は違いますが、内容はPASONAと少し似ています。違う点は、PASONAではSolutionにあたる部分がEducateとなっていることで、商品の情報が「お悩み解決に役立つ情報の提供」と位置付けられています。

AIDAの法則
以下の4つの項目で構成されています。

Attention(注目)
Interest(興味)
Desire(欲求)
Action(行動する)

まずユーザーの注目を集めて、次に関心を引き上げ、欲しいと思わせて最後には行動を促す、という手順です。

このような「型」をいくつか覚えておけばさらに便利です。
しかし、まずは最も一般化している「PASONAの法則」を使ってみることがおすすめです。

PASONAの活用方法

PASONAの法則の活用方法や注意点について確認していきます。

PASONAの法則はどんなときに使う?

PASONAの法則は、以下のようなシーンで活用できます。

LP(ランディングページ)
商品やサービスを紹介するためのランディングページは、ページ内に購入ボタン(CTA、Call to Action)を設置して行動を促すためのページなので、PASONAが適しています。わかりやすく短時間で読み手に伝えることができます。
参考:ランディングページ(LP)の最適化はリード獲得のために不可欠。改善をどう進める?

セールスレター
商品やサービスを紹介して購買を促すのがセールスレターで、メルマガの形で配信することが一般的です。紙のダイレクトメールで発信することもあります。PASONAの法則を活用することで、無理なく読み進められて、LPやオンラインショップへの訪問を促すいレターが書けます。

イベントの案内
セミナー、ウェビナー、その他各種のイベントの集客をするときにも活用できます。イベントの参加申込について、ユーザーは多少興味があっても「申込はあとで」となりがちですが、案内を読んだ直後の申込行動を喚起するために、PASONAのO、Nなどを重視することがポイントです。

PASONAの法則は、上記のような行動を促す文章を作成するときだけでなく、以下のような場面でも活用できます。

セールストーク
顧客の行動を促すための型を、セールストークにも活用できます。フィールドセールスはもちろん、インサイドセールスでもトークスクリプト作成の参考になるでしょう。TVショッピングやライブ販売でもPASONAの法則が活用されています。

プレゼンテーション、提案書
社内外へ向けたプレゼンテーションを行う際のファイル作成でもPASONAの構成を使うことができます。BtoBでは個別のお客様向けの提案書を作成するときにも有効です。

PASONAの法則を使うときの注意点

PASONAの法則は、提唱者の神田昌典氏自身がマーケティングの施策を積み重ねていくうちに、効果が高い文章には共通点があることに気づき、それを法則化したものといわれています。また、考案されて以降20年以上活用されている実績もあります。
つまり、多くのマーケティング施策に活用できる汎用性があることは間違いないですが、以下のような注意点もあります。

レイアウトやビジュアルも重要
LPやメルマガではテキストだけでなく写真やイラスト、動画も使うので、これらの吟味も重要です。PASONAの法則を使って文章を効率よく仕上げる一方で、効果があるビジュアルコンテンツの開発にも力を入れましょう。

CV計測やABテストで効果を検証する
個別の商品やターゲットにより、効果を最大化できるマーケティング施策は違うので、それを見つけ出すためには定期的なCV、CVRの計測や、ABテストによる検証が必要です。数値で得られた成果をもとに、より効果的なコンテンツへと改善をはかります。

PASONAの法則は、起点に「問題」があることが前提
PASONAの法則はProblem(問題)から始まっていて、ユーザーが日頃感じている問題点を起点としたストーリーです。必需品、嗜好品などにはなじまない場合もあります。

競合商品が多い場合には差別化が必要
PASONAの法則がよくあてはまる商品の例として、化粧品、ダイエット器具などが挙げられます。これらはユーザーのお悩みを解決する商品なのですが、競合が非常に多い商品でもあり、このため、類似の情報がユーザーに数多く届けられています。成果を上げるためには、PASONAの型でメッセージを届けるだけでなく、差別化戦略が重要です。

シャノンのマーケティングチームが実践!「ChatGPT × PASONAの法則」の具体例

シャノンのマーケティングチームでも、多くの文章を作成するマーケティング担当者がPASONAの法則を活用しています。現在は、PASONAの法則に沿った文章をChatGPTで生成することも行っています。その事例をご紹介します。

「ChatGPT×PASONAの法則」でセールスレターを作成する動画

以下は、実際にChatGPTにPASONAの法則といくつかの条件を指定して、文章を作成する方法の動画です。業務の合間の短い時間で効率よくセールスレターを作成することができます。

上記動画の事例では、「旧PASONAの法則」を使用しています。

プロンプト項目とChatGPTが作成した文章

今回の事例でChatGPTに入力するプロンプトは以下の通りです。

プロンプト項目

また、生成された文章は以下の通りです。

生成された文章

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シャノンでは2024年2月、ChatGPTを活用してマーケティング業務のコンテンツ制作を効率化する「シャノンコンテンツアシスタント」の提供を開始しました。

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まとめ

本稿のポイントは以下です。

1. PASONAの法則には新旧の2つがあります。

旧PASONAの法則は、以下です。

P:Problem(問題)
A:Agitation(煽り)
So:Solution(解決策)
N:Narrowing Down(絞り込み)
A:Action(行動)

新PASONAの法則は、以下の通りです。
P:Problem(問題)
A:Affinity(親近感)
S:Solution(解決策)
O:Offer(提案)
N:Narrowing Down(絞り込み)
A:Action(行動)

2. PASONAの法則により、LP、セールスレター、イベントの案内などの文章を効率よく作成できます。新旧のPASONAの法則は、ターゲットや施策によって使い分けましょう。

3.「ChatGPT × PASONAの法則」でさらにスピーディーに文章を作成できます。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。


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