パーソナライズとは? 重視される背景やメリット、広告やポップアップの出し分けなど施策の種類を解説

SNSをチェックするとき、一覧画面に出てくる投稿や広告は、過去に自分自身が「いいね!」やコメントをした履歴をもとに、興味を持ちそうなコンテンツが優先的に表示されています。ニュースアプリや一部のECサイトでも同様です。これらが「パーソナライズ表示」です。

個人の興味・関心に沿ったコンテンツがタイミングよく表示されるため、ユーザーはゼロから検索する手間を省くことができ、効率よく情報や商品を入手できます。

BtoBのマーケティングにもパーソナライズが活用されています。
本記事ではパーソナライズについて、定義、重視される理由、具体的な施策例と進め方を解説します。

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パーソナライズとは?

パーソナライズとは何か、なぜ重視されるようになったのかを解説します。カスタマイズ、セグメントなどの似た用語との意味の違いも確認しましょう。

パーソナライズとは何か

パーソナライズ(personalize)とは、person=人という言葉が入っていることからもわかるように、ひとりひとりに合わせるという意味です。

マーケティングにおけるパーソナライズは、ユーザーの行動履歴、購入履歴、属性などのデータをもとに、ひとりひとりに個別最適化したアプローチをすることです。

パーソナライズと対照的なアプローチは、「マスマーケティング」です。
マスマーケティングは多くの人に同じ情報を届けることで、テレビCM、看板広告などが代表例です。
一方、パーソナライズとはひとりひとりに異なる情報を届けることで、Web広告や個別メール、レコメンデーション(おすすめ商品の表示)などがあります。

パーソナライズとマスマーケティングの違い

具体例からわかるように、パーソナライズ施策の多くは、デジタルな手法です。デジタルマーケティングの進化とともに、マーケティングに欠かせない施策となってきています。

パーソナライズとカスタマイズの違い、セグメントとの使い分け

パーソナライズと似た用語にカスタマイズがあります。両者の違いを確認しておきましょう。
以下のように、パーソナライズは企業が行い、カスタマイズは顧客自身が行うという違いがあります。

パーソナライズ 企業が情報や商品について、顧客に合わせて最適化して提供すること
カスタマイズ 顧客自身が情報や商品について希望通りに最適化すること

多くのデジタルサービス(ニュース、ネットショップ、アプリなど)は「カスタマイズ機能」を備えていて、個人が自分自身の好みに合わせてジャンルを選んだり、表示させないものを指定したりできます。しかし、日々受け取る情報の種類と量は非常に多いため、自らすべてにカスタマイズ設定をすることは難しいです。

パーソナライズとカスタマイズの違い

一方、情報や商品を届ける企業の側はAIなどを駆使してパーソナライズ機能を自動化しています。今や、検索結果、おすすめ商品、ニュース、SNS投稿、広告など、個人がデジタルで受け取る情報のほとんどが、パーソナライズされています。

パーソナライズと似た用語である「セグメント」との違いも確認します。

パーソナライズとは、顧客ひとりひとりの好みや行動履歴に合わせて施策を最適化することです。
一方セグメントとは、顧客の属性、行動履歴などで顧客を分類し、それぞれのグループに最適化した施策を行うことです。
パーソナライズはひとりの顧客が起点であるのに対して、セグメントは顧客を細分化していきますが、対象は「特定の条件で絞り込んだ顧客グループ」であるというアプローチ方法の違いがあります。

ただし、結果的にパーソナライズ施策とセグメント施策が同じものになることはあります。
「商品AのWebサイトを見たユーザーに対して、別のWebページを見たタイミングで商品Aの広告を表示させる」といった施策は、パーソナライズとセグメント、どちらの枠組みでも実施されます。

パーソナライズが重視される背景

マスマーケティングに代わり、パーソナライズが重視されるようになったことには、以下のような背景があります。

デジタルマーケティングの進化
デジタルマーケティングにおいて、顧客の購買やWeb閲覧の履歴データが蓄積・分析され、それらに基づいて最適化した情報を提供できるようになりました。パーソナライズが浸透した背景には、それを実現可能にした技術の進展があります。

顧客の多様化・複雑化への対応
現代はモノやサービスがあふれていて、その中から何を選択するかという顧客の選択は、ひとりひとりの価値観や好み、さらには本人も気づかない潜在意識(インサイト)に基づいています。多様化・複雑化する顧客の好みや行動に最適な情報をベストなタイミングで届けるために、パーソナライズが役立ちます。

パーソナライズのメリット、デメリット

パーソナライズのメリットは以下です。

コンバージョン率(CVR)の向上
パーソナライズにより、顧客はすぐに自分が欲しい情報や商品を見つけることができます。検索や検討に時間を使うことがないため離脱率は下がり、CVRが上がる可能性が高まります。

顧客体験(CX)の向上
現代の顧客はモノやサービスの購入を決めるとき、体験を重視する傾向にあります。顧客体験(カスタマーエクスペリエンス、CX)とは、商品を選んだり、検討したり、接客されたりするすべての体験をいいます。顧客は自分の好みに合う情報がタイミングよく届いたら、満足度が高くなります。逆に、好みに合わない、あるいは不要な情報が多いとき、購買行動には至らないでしょう。企業はパーソナライズされた接客により、CXを向上させることができます。

参考:カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?向上する4つのメリットや成功の具体例を紹介

潜在顧客にリーチできる
広告やレコメンドでおすすめ商品が表示されたとき、顧客が直観的にそれを気に入り、購入することがあります。そこには、顧客自身も気づいていない潜在ニーズがあったと考えられます。パーソナライズ表示されることがなければ、顧客自らが検索する方法では見つけられなかった商品かもしれません。このように、潜在顧客にリーチできることもパーソナライズのメリットです。

参考:潜在顧客とは? 顕在顧客、見込み顧客との違いやアプローチ方法、企業事例を解説

マーケティング施策の費用対効果が高くなる
パーソナライズにより、マーケティング施策の精度を高めることができます。たとえば、パーソナライズされたWeb広告は、ランダムに表示された広告よりもCV率が上がり、広告施策の費用対効果が高くなります。

一方、パーソナライズのデメリットとして、以下が挙げられます。

間違っている可能性がある
パーソナライズは過去に蓄積されたデータから顧客が好む可能性が高い情報を表示させる技術ですが、顧客の好みを100%反映するわけではありません。「すでに車を購入したのにいつまでも車の広告が表示される」「今、求めている情報が探しづらい」といった不適合ケースがあります。顧客の好みが日々変化しているのに対応できないことも考えられます。
パーソナライズは効率のよい施策ですが、他のアルゴリズムも取り入れてバランスをとることも大切です。

個人情報の取扱いに注意が必要
パーソナライズ広告では個人のWeb閲覧履歴を活用しますが、その履歴のひとつであるサードパーティークッキーはGoogleが2025年から段階的に廃止予定です。現時点でもサードパーティークッキーやその他の個人情報の取り扱いには注意が必要です。

パーソナライズ施策の種類と進め方

パーソナライズの具体的な施策の種類と、その実施方法について解説します。

パーソナライズ施策の5つの種類

パーソナライズ施策の種類として、以下があります。

パーソナライズドメール

メルマガなどのパーソナライズはかなり前から実施されてきました。最もシンプルな例は「〇〇様」という宛名の差し込みです。他に件名やコンテンツを出し分けする場合もあります。
さらに、1通目のメールAをクリックしたユーザーに対しては3日後にメールB、クリックしなかったユーザーに対しては1週間後にメールCを送信、というように、ユーザーの行動履歴に応じて異なるメール施策を設定により自動で実施する「シナリオメール」もパーソナライズドメールの一種といえます。

ユーザーの行動履歴に応じて異なるメール施策を設定により自動で実施する「シナリオメール」

以下の記事で紹介している「シナリオ機能」では、メール配信だけでなく、見込み客情報の更新、リスト登録などのアクションも組み合わせたパーソナライズ施策を紹介しています。

シナリオメールを実施したいと思ったら

「シナリオメール」は、シャノンのMAで簡単に実施が可能です。詳しくはこちら
シャノンのマーケティングオートメーションとは

参考:MAのシナリオ機能とは?シナリオを作成するメリット、手順、シャノンが実践しているシナリオ事例も多数紹介!

Webサイトのパーソナライズ

Webサイトのレイアウト、コンテンツなどの表示をパーソナライズする施策です。クリックしたURLの情報や見込み客の属性に基づいてWebサイト表示を出し分けします。Webサイトのレイアウトはそのままで、ポップアップ表示をいくつか用意して出し分ける方法も活用されています。

レコメンド

ECサイトや動画配信サイトでは、購入履歴や閲覧履歴をもとに、ユーザーが好みそうなコンテンツを「おすすめ」として表示させるレコメンドが活用されています。
以下は、代表的なレコメンド表示方法です。

レコメンデーションの分類 方法 具体例
ルールベース 一定のコンテンツ群から勧める Aを購入した人にBを勧める
コンテンツベース 一定のコンテンツ群から勧める Aと同じ商品群のA´を勧める
協調フィルタリング 多数のユーザーの購入履歴から勧める Aを購入した人は、Cも購入しています
ベイジアンネットワーク 購入履歴やユーザー属性、その他の条件をもとに「次に購入する可能性」を計算して勧める あなたへのおすすめはXです

 

パーソナライズド広告

ユーザーがWebサイトを閲覧した履歴、属性情報などに基づいて広告を表示させるのが「パーソナライズド広告」です。広告のコンテンツに興味・関心を持つ可能性が高いユーザーのみに広告を配信することができます。
パーソナライズド広告ではサードパーティークッキーを使用するので、今後については注意が必要です。

参考:以下は、シャノンが提供する、サードパーティークッキーに依存しない「ダイナミックリターゲティング広告」機能「SHANON アドクラウド」です。

くわしくはこちらをご覧ください。

シャノンが提供する、サードパーティークッキーに依存しない「ダイナミックリターゲティング広告」機能「SHANON アドクラウド」

アナログなパーソナライズ施策

パーソナライズ施策はデジタル技術により広く一般化しましたが、非デジタルのパーソナライズ施策もあります。
たとえば、資料ダウンロードなどの一定のアクションを起こした見込み客に対して、インサイドセールスによる電話ヒアリングを実施する例があります。特定の見込み客に紙のDMを送付して、到着後にインサイドセールスから架電する施策も行われています。
ABM(アカウントベーストマーケティング)では、ターゲット企業に特化したDM、架電などのパーソナライズ施策を実施することもあります。

参考:【2024最新版】インサイドセールス完全ガイド|売上アップのポイントと導入から運用まで
参考:ABMとは?実践ステップとおすすめツールを解説

BtoBまたはBtoC企業が実施するパーソナライズ施策として、上記5例を紹介しました。

このほかに、冒頭で紹介したような、SNSやニュースメディアでみられるユーザーごとに異なるコンテンツ表示や、検索エンジンで表示される検索順位のユーザー最適化も、BtoCのパーソナライズ施策の一種です。

「だれに」「いつ」「どんな」を設定

パーソナライズ施策では、「だれに」「いつ」「どんな」コンテンツを表示するのかを設定します。

パーソナライズ施策では、「いつ」「だれに」「どんな」コンテンツを表示するのかを設定します。

だれに
「だれに」の対象となるユーザーは、まずアノニマスか、リード(見込み客)が考えられます。
アノニマスとは匿名、つまり個人が特定できていないユーザーです。匿名であっても、「特定のWebページを見た」「特定の検索ワードを入力した」などの行動によりパーソナライズが可能です。
リードは、少なくともメールアドレスが分かっています。
「属性」には性別、年代、居住地、職業などがあります。「行動履歴」は商品の購入履歴、Webページを見たり、広告をクリックしたりした履歴などです。

いつ
前述したように、パーソナライズ施策ではタイミングが重要です。ユーザーにとって欲しい情報、役立つ情報であっても、それを必要とするタイミングでなければ期待通りの効果は得られません。ユーザーがスマートフォンを見ていることが多い曜日や時間帯を設定します。

どんな
具体的にどんなコンテンツを表示させるのかを決定します。「どんな」には、Webページかポップアップかの表示形式を選ぶことと、ビジュアルや動画など、そこに表示させるコンテンツの内容とが含まれます。

パーソナライズ施策のためのツール

パーソナライズ施策を実施するにはデジタルツールが欠かせません。以下のようなツールがあります。

MA(マーケティングオートメーション)ツール
多様なマーケティング施策を自動化できるMAツールの多くはパーソナライズ機能を備えています。見込み客の管理とナーチャリング、シナリオ設定、メールマーケティングなども行うのであれば、MAがおすすめです。

レコメンドエンジン
多くの商品・コンテンツ・サービスを提供するBtoCビジネスでは、「あなたへのおすすめ」を表示させるためのレコメンドエンジンが有効です。

Web接客ツール
Web接客とは、ポップアップ表示やチャットボットにより、今ページを閲覧しているユーザーを接客しているように双方向のやり取りをする施策です。チャットボットによるWeb接客は今後AIの進化によりさらに活用されていくと見込まれます。

シャノンの「Webパーソナライズ」機能とは

シャノンのMAにはWebパーソナライズ機能が実装されています。メールマーケティングやウェビナー・イベント管理機能と合わせて活用することで、顧客の興味や関心度合いを引き上げていくことが可能です。
MAについての詳細は「マーケティングオートメーション(MA)とは?導入すべき理由、機能紹介から成功事例まで徹底紹介!」にて紹介しています。

シャノンのWebパーソナライズ機能とは

Webパーソナライズ機能では、リード情報を取得していないアノニマスユーザーに対しても「先週、製品Aのページを見たユーザー」が再度Webサイトを訪れたとき、関連性の高いコンテンツをポップアップまたはWebサイトの一部に表示させるパーソナライズ施策を実施できます。

獲得済のリードに対しては、行動履歴のほか、属性やダウンロードした資料の内容に基づいたパーソナライズ表示ができます。

獲得済のリードに対してできる、属性やダウンロードした資料の内容に基づいたパーソナライズ表示

以下は、複数の商材があるBtoB企業の場合の出し分けの例です。事前にユーザーアンケートで回答を得たデータをもとに、製品Aの認知がない人には製品Aのバナー、製品Bの認知がない人には製品Bのバナーを表示させることができます。

複数の商材があるBtoB企業の場合の出し分けの例

シャノンマーケティングプラットフォームのWebパーソナライズ機能について、くわしくはこちら

新規顧客と獲得済リードでポップアップを出し分け、異なるコンテンツへ誘導

アノニマスユーザーと獲得済みリードで表示を出し分けるパーソナライズも可能です。

検索エンジンに製品名を入力して自社のWebサイトを訪れる見込み客は購買意欲が高いと期待できます。このような見込み客向けの施策として、ポップアップの出し分けをします。

新規顧客Aさんが見るページには「資料請求」を表示して誘導します。
一方、すでに資料請求したBさんが再訪している場合は、製品動画へ誘導するポップアップを表示します。
シャノンのMAでは動画資料履歴が確認できるので、Bさんが動画を視聴した場合は担当者がフォロー、視聴しなかった場合は翌日動画へ再誘導するメールを送信、という図のようなフローをシナリオ設定して、自動化することも可能です

見込み客向けの施策として出し分けるポップアップの流れ

 

まとめ

本稿のポイントは以下です。

1. パーソナライズとは、顧客ひとりひとりに合わせて情報を届けること、パーソナライズ施策はひとりひとりに合わせたアプローチ方法のことです。

2. パーソナライズが重視されるようになった背景には、デジタルマーケティング技術の進化と、顧客の多様化・複雑化への対応という2つの側面があります。

3. パーソナライズのメリット、デメリットは以下です。
《メリット》
・CVの向上
・顧客体験(CX)の向上
・潜在顧客にリーチできる
・マーケティング施策の費用対効果が高くなる
《デメリット》
・間違っている可能性がある
・個人情報の取扱いに注意が必要

4. パーソナライズ施策の種類として、以下があります。
・パーソナライズドメール
・Webサイトのパーソナライズ
・レコメンド
・パーソナライズド広告
・アナログなパーソナライズ施策(DM、電話など)

5. パーソナライズ施策では、「いつ」「だれに」「どんな」コンテンツを表示させるのかを設定します。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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