シャノンのインサイドセールス部門は2016年、SDRとしてスタートしました。
最初は苦労もありましたが、現在では売上を上げるために欠かせない役割を担っています。
今回は、企業がインサイドセールス部門を立ち上げるときに多数派を占めるSDRとはどんなセールス手法なのか、BDRとの違いは何か、SDRのはじめ方などについて解説します。
後半ではシャノンが実践している、SDRで成果を上げるポイントについても紹介します。
インサイドセールスのSDRとは? BDRとの違いも確認
インサイドセールスのSDRとはどんなセールス手法かについて、BDRと比較しながら確認します。
インサイドセールスのSDRとは?
インサイドセールスとは、電話やメールなどで営業活動をすることで、企業を訪問して対面で営業活動をするフィールドセールスと区別されます。
一般的には、インサイドセールスが見込み客の興味・関心を商談レベルまで引き上げたあと、フィールドセールスが商談してクロージングを目指すという流れで営業活動が進められます。
※インサイドセールスについては、「インサイドセールスの役割とは?導入のメリットと手順、応答率を上げるコツも紹介!」でくわしく解説しています。
SDRとは、インサイドセールス部門の営業手法のひとつで、「反響型インサイドセールス」のことをいいます。
具体的には、マーケティング部門が取得した見込み客(リード)がセールスの対象です。
リードとは、広告を見てランディングページを訪れた人、ウェビナーに参加した人、展示会で名刺交換した人など。つまり、自社の商品やサービスになんらかの興味を示した履歴がある人です。
SDRはマーケティング部門が興味・関心を一定程度引き上げたリードを対象に、商談化へと最後の引き上げを図ります。
具体的には、電話やメールでコミュニケーションをとり、リードに対してセールス活動を行います。商談可能となったリードは営業部門(フィールドセールス)へと引き継ぎます。
SDRは英語のSales Development Representativeの略で、直訳すると「営業開発担当」ですが、訳語にするとわかりにくいので、SDRという用語がそのまま「反響型のインサイドセールス」として使われています。
SDRとBDRの違い
インサイドセールスには、「SDR」と「BDR」の2つがあります。
SDRが反響型であるのに対して、BDR(Business Development Representative)は新規開拓型インサイドセールスといわれます。
セールスの対象はリードではなく、新規開拓を目指す特定の企業とその決裁者です。
BDRを担当するインサイドセールスは単独で営業活動をするのではなく、マーケティング部門や営業部門が策定した戦略に沿ってチームで活動します。
BDRの営業方法はターゲットとする企業との新規取引を開拓するABM(Account Based Marketing)の施策として行われることもあります。
※ABMについては「ABMとは?BtoBマーケティングに欠かせないABMをどう実現する?」で解説しているので参照してください。
以下の表で、SDRとBDRの違いをまとめています。
SDR | BDR | |
スタイル | 反響型、インバウンド | 新規開拓型、アウトバウンド |
セールスの対象 | リード | 特定の企業 |
目的 | 商談を獲得する | 企業から新規受注を獲得する |
ターゲット | 不特定 | 主に大企業 |
KPIの例 | 商談件数 | 新規顧客数 |
方法 | リードの興味・関心を引き上げる マーケティング部門と連携する |
営業部門で策定した戦略に基づいて活動(ABM) |
施策 | 電話、メール | 電話、メール、DM、その他 |
BDRは、電話でアウトバウンドコールをするという点で、従来からある「テレアポ」の業務と似ています。
テレアポとBDRの違いは、テレアポの目的がアポイントの獲得であるのに対して、BDRはアポイントの獲得だけではなく、リードの状況を把握しながら最適なコミュニケーションを行うことも重要な目的となります。
SDRやBDRなど、インサイドセールスが重視される背景
インサイドセールスは、国土の広いアメリカで対面営業を補完する役割として1990年代位に始まりました。
日本では2010年代、デジタル分野のBtoB企業などにおいて、まずSDRの形式でインサイドセールスの導入が開始されましたが、従来型の対面営業が重視されていて、すぐには浸透しませんでした。
しかし、ネット環境とモバイルデバイスが進展して企業と顧客の関係が変化しました。
顧客は自分が購入したい商品やサービスについてネットで幅広く情報収集できるので、営業担当者と会って説明を受けなくても購買を検討することができるようになりました。
最後は営業担当者との商談で契約をしますが、それ以前の「顧客が自分で検討している期間」にアプローチする手段として、インサイドセールスの有効性が知られ、部門を立ち上げる動きも増えてきました。
この傾向をコロナ禍が決定づけました。自社も顧客もリモートワークという状況において、各企業でインサイドセールスに注力するようになりました。
そしてアフターコロナでも、フィールドセールスとインサイドセールスが分業・協業する営業活動の効率の良さが認識され、継続されています。
また、SDRで実績を上げ、次のステップとしてBDRを導入する企業の例も増えています。
近年、SDRはBtoBだけでなくBtoCにも拡大しています。住宅や保険といった高額商品や、消費者向けの各種サブスクリプションサービスなどでSDRが取り入れられています。
SDRを導入する手順
インサイドセールス部門を立ち上げるときは、まずSDRから始めることが多いです。その手順について解説します。
SDRとBDRのどちらが適しているか
まずインサイドセールスの目的を明確にして、SDRとBDRのどちらで立ち上げるかを決めます。
インサイドセールスのフォローによってリードを商談が可能なレベルまで引き上げることを目的とするなら、SDRです。
一方、新規開拓営業をインサイドセールスにより強化したい場合、特に大企業との新規取引を目的にする場合はBDRを導入します。
企業がインサイドセールス部門を新規に立ち上げる場合は、マーケティング部門と営業部門の橋渡しを担当するSDRから始めることが一般的です。
人材の確保
インサイドセールスを導入しようとする企業にとって課題となるのが人材の確保です。
インサイドセールスの歴史がまだ浅い日本では、インサイドセールスの経験者・未経験の希望者どちらも不足していて、外部から採用することが簡単ではありません。
そこで多くの企業が社内の人材をインサイドセールスとして育成しています。
しかし部門を立ち上げてから成果が出るまでには一定の時間がかかるので、早急に結果を求めずに取り組む姿勢が重要です。
人材育成という観点でも、SDRのほうがBDRよりも取り組みやすいといえます。
SDRの場合、自社のマーケティング部門と営業部門の経験をもとに業務を組み立てて、あとはトライ&エラーを重ねていきます。
シャノンは2016年に内製でSDRのインサイドセールスチームを新規に立ち上げました。
初年度は3名、翌年は4名で試行錯誤しながら少しずつ成果を出していきました。そのときの経験を以下で紹介しています。
関連記事:マーケ部門のインサイドセールスチーム立ち上げ奮闘記〜2年目でアポ獲得数205%成長になるまで〜
BDRではSDRよりさらにスキルの高い人材が求められます。SDRで経験を積んだ後、BDRへと移行することが人材育成の面からもスムーズです。
デジタルツール導入による、他部門との連携
マーケティング・インサイドセールス(SDR)・営業の各部門は分業しつつ緊密に連携し、情報を共有する必要があります。そこで検討したいのがデジタルツールの導入です。
主なツールとしてMA・SFA・CRMがあります。
SDRの業務を管理するには、SDRが必要とするリードの履歴を一元管理できるMAが適しています。MAにSFAやCRMを連携させることにより、営業部門との連携がスムーズになります。
以下の記事でマーケティングとセールスの部門を効率化するツール連携について解説しています。
※MAツールとSFA/CRMとの連携、どう進める?それぞれの違いと役割、マーケティングと営業を効率化する仕組みを解説
SDRで成果を上げるポイントは? シャノンの事例を交えて紹介
シャノンでは2年で一定の成果を上げることができましたが、今でもインサイドセールスチームのモチベーションをアップさせる施策や業績向上のための改善を重ねています。
そんな実際の経験も紹介しながら、成果を上げるポイントを解説します。
KPIの設定
現在、シャノンのインサイドセールスチームは、「商談アポイントの件数」をKPIとしています。
しかし立ち上げてすぐの頃は、電話をかけて相手と会話ができた「応答数」をKPIにしていました。
このKPIは行動にフォーカスしていて、「まずは電話をかけよう」という動機づけがしやすいKPIだといえます。
このように、最初は行動改善のサイクルを回しやすいよう、行動と直結するKPIを設定することがおすすめです。
このほかに、ケースに応じて、KPIとして「架電数」「通話時間」「対話数」などを設定します。
応答数と対話数の違いは、内容にかかわらず相手と会話ができたら応答1、架電の目的に沿った会話ができたら対話1、となります。
つまりSDRのKPIは、「応答数」「対話数」などから始めて、担当者のスキルが上がってきたら「商談アポイントの件数」などに設定し直すことがおすすめです。
SDRのモチベーションアップのための施策
インサイドセールスの業務では、一日の間に電話とメールをし続け、担当者のかたにつながらないこともあるので、孤独感を感じることもあります。
特にコロナ禍のリモートワークではモチベーションが上がりにくい面がありました。
そこで、活動量を増やす試みとして、チームメンバーが一斉にゲーム感覚で行う「架電レース」を定期的に実施しています。
レース実施日は10:00~17:00の間、各メンバーが架電に集中します。お昼休憩を取りつつ、レースを取り盛り上げるために、終了時だけではなく、途中経過も報告し合います。
架電レース後は、総架電数が増やせた実績を上げ、活動ボリュームの「壁」を破ることができています。
応答率を上げるための工夫
SDRがリードの応答率を上げるために行っていることとして、以下2つがあります。
架電予告メール
展示会などに申し込んで情報の登録があったリードに対して、架電をする前に挨拶のメールを送ります。
メールにより、リードはどんな相手から電話が来るのかがわかり、事前に断る選択肢も示されます。このような準備をすることでリードの応答率を上げることができます。
情報登録の直後に架電
ホワイトペーパーのダウンロードなど、リードがアクションを起こした直後に架電するのと、しばらく時間が経ってから架電するのとでは応答率が大きく違います。
以下のように、登録から1時間以内の応答率は非常に高いです。
「登録」のようなリードの行動を速やかにフォローするためには、履歴をリアルタイムで取得してアラートを発信できるMAが有効です。
SDRからBDRへの拡張
立ち上げから7年、インサイドセールスチームのメンバーのスキルも上がってきたので、最近シャノンでは、インサイドセールスの活動領域を広げています。
具体的には、コールドリードや休眠顧客への施策です。このようなリードに対して事例のはがきDMや製品カタログなどを送付した後、インサイドセールスがフォローをします。
これはBDRに近い手法です。シャノンでは現在、本格的なBDRを行っていませんが、徐々にBDRの可能性も探っています。
SDRに比べて高いスキルが求められるBDRですが、まずSDRで経験と実績を重ねていくことにより、導入の可能性が見えてくるといえるでしょう。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
- SDRとは反響型インサイドセールスのことです。新規開拓型インサイドセールスであるBDRと区別されます。
- 企業がインサイドセールス部門を立ち上げるときは、SDRから始めることが多いです。
- SDRのKPIは、「応答数」「対話数」などから始めて、担当者のスキルが上がってきたら「商談アポイントの件数」などに設定し直すことがおすすめです。
- シャノンではSDRで成果を上げるための施策として、定期的な架電レースの開催、架電予告メールの送信をしています。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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