動画でのプロモーションを行うBtoB企業が増える中、多くの企業に選ばれているタクシーデジタルサイネージ広告『Tokyo Prime』。従来のコンプレックスの広告が多く出稿されていたタクシーのイメージを一新し、快適な乗車空間を提供することを目指す株式会社IRISが提供しています。

イベントでは、株式会社IRISのSales Director神﨑嶺平さまに『Tokyo Prime』について、事例を交えてご紹介いただきました。

※この記事は、「SHANON BtoB Marketing Conference 2019」で発表された内容を再編したものです。

※数値等の情報は2019年3月12日時点での内容です。

受動的に広告を見せられるのが強みの『Tokyo Prime』

『Tokyo Prime』とは、タクシーにデジタルサイネージを搭載し、広告を配信するサービス。タクシー会社としては、決済端末導入のコストを削減できるメリットも。

10インチのフルHDの端末を助手席のヘッドレストの後ろに設置。22時〜翌6時まではデフォルト音声OFFになっています
それ以外の時間帯であれば、音声つきのきれいな動画を個室空間かつ至近距離で視聴
させることができます。

タクシーの空間で映像を流しているため、受動的に広告を見せられるのが強みです。

東京から全国へ展開しリーチが大規模化

事業開始当初は、都内のタクシー会社「日本交通」の車両に設置して広告を流していました。しかし、昨年の6月から、日本交通以外のタクシー会社の車両にも設置を開始。地方都市での設置も順次始まっている状況です。

現在の設置車両数は、都内で5500台。(※2019年3月12日時点)それ以外の全国主要都市(神奈川・埼玉・大阪・札幌・福岡・神戸・京都)では、2019年3月中に4500台のタクシーに設置が完了する計画です。

つまり、全国で1万台のタクシーにデジタルサイネージ端末を設置予定。月間のべリーチ数は700万人を突破します。

タクシーサイネージは「個室空間で、ほぼ確実に」を実現

今、どうしてタクシーサイネージがプロモーションとして有効なのでしょうか。まず、タクシーの利用者層を調査しました。

結果は、若干男性の方が多くなっていますが、だいたい男女比率は半々。幅広い年齢層の方が利用しています。

男女別に見ると、男性は若干年齢層が高め。ビジネス層、経営層の方が多いのが特徴です。男性全体で見ると、経営者とマーケティングの方が4割以上。このあたりがBtoBのプロモーションと相性が良いと思われている要因だと考えます。

一方で、女性は年齢層が低め。専業主婦の方なども多くいるのが特徴です。

テレビよりもタクシーサイネージの方がアプローチに有効?「可処分時間」がキーワード

次に、なぜタクシーサイネージがプロモーションに適しているかをご紹介します。

1日15分以上テレビを見る人の割合は年々減少。理由のひとつとして考えられるのが、可処分時間の消費が、テレビからスマートフォンにシフトしているから。その流れの中で、各ディベロッパーが可処分時間の奪い合いを繰り広げているため、従来のマス広告はリーチしづらくなっています。

タクシーの平均乗車時間を見てみると、18分。この余暇時間に対して、受動的に長時間広告に接触できる媒体はあまりありません。

また、『Tokyo Prime』は、広告主が懸念する不正広告やブランド毀損などの問題をクリアしています。問題点は以下の3つ。

  • 視認できる位置に掲載されているか
  • 人ではなくBOT(機械)に見られていないか
  • 不適切コンテンツと並んで掲載されないか

『Tokyo Prime』は、お客様に、ほぼ確実に視聴してもらえる仕組みを作り上げています。タクシーの車内という個室空間で、乗客の至近距離に端末を設置し、料金メーターと連動して広告が再生されるのです。

加えて、企業やサービスの掲載可否の審査やクリエイティブの考査が厳しいため、不正広告やブランド毀損と無縁です。

サービスや商品と相性のよい動画枠を検討

お客様がタクシーに乗車した段階では、画面には時計が表示されています。メーターが実車になると広告が開始します。

そんな『Tokyo Prime』の動画枠は以下の通り。

  • 「Premium Video Ads」=誰が乗車しても最初に流れる広告枠(1枠・最大1分間)
  • Collaboration Video Ads」=日本経済新聞社との共同広告メニュー。広告の前に日経電子版の記事が流れる(4枠・最大3分程度
  • 「Standard Video Ads」「Target Video Ads」(30秒動画・10枠・最大10分程度)

「Premium Video Ads」「Collaboration Video Ads」は、1乗車につき広告が流れるのは1回のみ。「Standard Video Ads」「Target Video Ads」は、長時間乗車の場合は複数回広告が流れます。

高い到達率が期待できる早めに表示される枠で実施するか、複数回流してフリークエンシーを高めるか。サービスや商品と相性がよい枠を検討したうえで、選ばれています。

事例紹介(株式会社ビズリーチ)

株式会社ビズリーチ様は、即戦力の人材採用サービス『ビズリーチ』のプロモーションをメインに広告を出稿していただいています。

ビズリーチ様は、2017年5月から約2年間、継続して『Tokyo Prime』で動画を配信。乗客全員に対して放映する30秒の動画枠「Standard Video Ads」で広告を出稿しています。

なぜ『Tokyo Prime』が選ばれたのか

  • ビズリーチ様のターゲット:企業の経営層、採用の決済権者
  • ビズリーチ様の出稿目的:認知度向上

Tokyo Primeを実施した理由は以下の3つです。

  • ターゲットが合致している
  • 強制視認性が高く、視聴態度が良い
  • 配慮された空間と配信コンテンツ

タクシーを利用する人に彼らのターゲットが多く含まれてるということが第一の出稿理由です。

企業の意思決定層に対して、平日の日中にピンポイントでリーチできるメディアであると認識いただいております。

また、タクシー車両という強制視認性が高く、至近距離で音声付きの動画を流すことができるという視聴態度が良い点。

なお、動画の再生完了率は90%以上あり、音声付きの30秒動画を90%以上の乗客に最後まで視聴させられています。

閉鎖的な空間であるものの、乗客の乗車体験を損なわないように配慮された、空間や広告の間に流れるコンテンツも評価いただいているポイントです

広告の効果は、サービスの深い理解

テレビCMやデジタル広告でもビズリーチ様の動画が流れているので、『Tokyo Prime』のみでの評価は難しいのですが、動画全体のプロモーションとして、テレビCMと『Tokyo Prime』を組み合わせての実施は非常によかったと感じているそうです。

まずはテレビCMでサービスを知り、『Tokyo Prime』で繰り返し動画を視聴させることにより、さらに認知度を上げる。サービスを深く理解させられたと、効果を体感していただいています。

評価のポイントは、地方への認知度アップ

  • 新規リード獲得の向上
  • 受注率の向上
  • 受注までのリードタイムの短縮

出稿を継続している理由は、地方大都市での台数増加。地方への認知はまだ十分ではないそうで、認知度アップを強化する手法として選んでいただいています。

『Tokyo Prime』は、地方都市へのエリア拡大を積極的に進めていて。全国一律での配信メニューで広告商品を展開している点を評価していただいております今後は「エリアに合わせた配信メニューの開発に期待している」と言っていただいています。

広告効果検証オプション

動画広告の掲載終了後、ビズリーチ様にレポートを提出しています。何回広告が流れたか、そのうち再生完了したのは何回か、という日時や時間帯別のデータ。また、「詳細はこちら」というボタンがいつタップされたのか、どのタイミングで「画面オフ」を押されたのか、という傾向値のデータをお出ししています。

『Tokyo Prime』は、1回の発注が1千万円以上の場合に限り、ご要望があればマーケティングリサーチが可能です。掲載終了後に、期間内にタクシーを利用して『Tokyo Prime』に接触した人と、タクシーは利用したが『Tokyo Prime』に接触していない人を抽出。同じ質問をすることで、『Tokyo Prime』に接触して動画を見たことで、態度変容が起こっているのかを調べて結果をお出ししています。

質問内容は固定。「サービスを知っていますか?」「興味はありますか?」など、5問です。

リサーチ結果は「興味や好意を持ち、利用意向が高まった」

直近1年間のBtoBプロモーション案件で、11回のマーケティングリサーチを行い、その平均値を出しました。

サービス認知率では、非接触者は23.8%、接触者は45.4%で、190.7%のリフト。好感度では、非接触者が20.1%、接触者は37.8%で、188%のリフト。利用意向では、非接触者が14.1%、接触者は32.4%。229.8%と大きくリフトしました。

『Tokyo Prime』で動画を視聴し、態度変容が起こり、興味や好意を持ち、利用意向が高まったというデータが出ています。

OOHの広告は、効果の可視化が難しい媒体。しかし、現在『Tokyo Prime』では、通常の配信レポートと併せてマーケティングリサーチを行い、効果をできるだけ可視化できるよう努めております

世界中にデジタルサイネージを広めるのが目標

今後の展望は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、サイネージ設置のタクシーを5万台にまで増やすこと。そして、タクシーを利用するビジネス層や富裕層の方に対し、マスメディアのような大きなリーチ規模を持ったメディアになりたいと思っています。

また、『Tokyo Prime』のような事業をシンガポールでも展開しています。『Grab』という会社と業務提携をし、ライドシェアの車両100台(※2019年3月12日時点)にサイネージを設置し、広告を流すビジネスです。まずは、年内に設置台数を増やし、シンガポールでプロモーションされる企業様の役に立ちたいです。

そして、東南アジアの他の国にも進出し、私たち主導で世界にタクシーサイネージを広めていきたいと思っています。

最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
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