UGCとは?UGCを活用するマーケティングの重要性と手法、企業事例を解説

UGCとは、SNSなどで一般のユーザーが自発的に生み出したコンテンツのことです。

買い物や食事でお店を探すとき、「SNSや口コミでポジティブな評価を確認してから、購入を決める」という人は多いのではないでしょうか。

企業広告よりも知っている人の投稿が購買の決め手になる傾向は明らかで、UGCを活用するマーケティングが重視されています。今回は、UGCの種類、その重要性、UGCを活用するマーケティング手法やその注意点を解説します。

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UGCとは何か、なぜ重視されるのか

UGCの定義や消費行動における位置づけと重要性について確認していきます。

UGCとは何?

UGCとは、User Generated Contentsの略称で、訳すと「ユーザーによって生成されたコンテンツ」です。

UGCの具体例としては、一般ユーザーが自発的に作成した「SNSの投稿」をはじめ、「商品レビュー」「口コミ」「YouTube動画」「ブログ記事」などがあります。

UGCは「自発的」であることがポイントです。
インフルエンサーやYouTuberが報酬を得て作成したコンテンツは、UGCには含まれません。ただし、それらのコンテンツはUGC創出のきっかけとなるため、後で述べるUGC施策においては重要な要素です。

UGCがマーケティングで重視される理由

今、UGCはマーケティングにおいて非常に重視されています。消費者の購買行動を決定づける大きな要因になっているからです。

以下は、消費者の信頼度についての調査結果です。(アライドアーキテクツ株式会社、2022年)

購買を決定するとき、2/3の人が「生活者の口コミ、レビュー」、つまりUGCの情報を信頼していることがわかります。

Letro調べ

 

また別の調査(スマートシェア株式会社、2023年)では、商品/サービスを購入するとき、SNS、広告やマスメディアのうち何を重視するかを尋ねています。

出典元:スマートシェア株式会社

 

上記のなかでUGCである「SNS上の口コミ」「Web上の口コミ」の2つが突出しています。

この傾向は、Z世代に限定するとさらに顕著です。

出典元:スマートシェア株式会社

 

以上のように、UGCは消費者の購買行動を左右するキーファクターであり、マーケティング戦略においても大変重要なもののひとつになっています。

UGCの活用が有効な業態、商品は?

UGCが特に重要な業態は、ECサイトです。
消費者は実店舗で商品を確かめられない代わりに、購入者の口コミやSNS内の投稿を参考にします。

ECサイト以外では、以下のような商品/サービスで特にUGCが有効です。
これらは、UGCの中でもSNS投稿が多いことが共通しています。
また、単価があまり高くなくリピート購入が期待できること、購入に満足したときはその体験を投稿したくなる商品であることも特徴です。

上記で挙げた以外の商品やサービスではUGCが購買行動に与える影響が比較的少ないですが、全くないとはいえません。

たとえば、BtoBの商品はどうでしょうか。株式会社ミナオシが2023年に行った「業務支援システムの導入に関する実態調査」によると、企業の業務管理システム導入時に口コミを参考にした担当者は9割以上という結果でした。BtoBビジネスでもUGCは購買行動を決定づける要因のひとつとなっているようです。

UGCの種類と特徴

ここまで、SNSの投稿や口コミを例に挙げながらUGCを説明してきましたが、UGCにはさまざまな種類があります。UGCの種類を整理しておきましょう。

SNS投稿
X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどのSNSに一般ユーザーが自発的に投稿したテキスト、写真、動画などです。前出(スマートシェア株式会社、2023年)の調査では、ユーザーの7割以上がSNS検索を毎日使用するという結果も出ています。SNS投稿はUGCの中でもボリュームが大きく、かつ、多くの人の目に留まる可能性が高いコンテンツです。

口コミ・レビュー
ECサイトの商品レビューが代表例ですが、そのほかに食べログ、Googleマップなど、多くの情報検索サイトに一般ユーザーからの口コミ・レビューが掲載されていて、ユーザーは購買行動の前にそれらを参考にします。購入意欲の高いユーザーが見ることが多く、CVに直接影響を与えるコンテンツです。

YouTube
商品やサービスを購入・使用してみた一般ユーザーによる投稿、ライブ配信などの動画コンテンツです。「料理」「メイクアップ」「ゲーム実況」などの動画は、購入の参考にされている人気コンテンツです。

個人ブログ
一般ユーザーがWeb上に作成したブログサイト全般です。近年成長しているnoteもブログサービスの一種です。「お取り寄せ」「旅行」「家の片付け」などのブログがUGCの例として挙げられます。

Q&Aサイト
「Yahoo!知恵袋」が最も知られていますが、そのほかにもユーザー同士のQ&Aサイト各種があります。

この他、車やゲーム、教育、不動産など特定の分野のコミュニティサイトがさらに多数存在します。

このようにUGCには多くの種類があります。そのなかで、マーケティングに最も活用されるのはSNS投稿ですが、それ以外のコンテンツに対して行う施策もあります。手法については、後述します。

UGCの購買行動モデル「ULSSAS」とは

UGCを起点として消費者が行動を起こすプロセスのフレームワークを「ULSSAS(ウルサス)」といいます。

 

U:UGC(認知)
UはUGCのことで、あるユーザーの投稿を他のユーザーが見て、商品やサービスについて認知をする最初のステップです。

L:Like(いいね!)
UGCを見たユーザーが投稿にいいね!をしたり、再投稿することにより、情報がさらに多くの人の目に留まります。

S:Search1(SNS検索)
SNS内で話題になっている投稿が気になり、SNS内で検索します。

S:Search2(Google検索)
さらに情報を得るために、検索エンジンに商品名を入力して指名検索をします。

A:Action(購買)
商品を購入します。

S:Spread(拡散)
購入したこと、感想、使用感などを写真とともにSNSに投稿します。その投稿は誰かが見ることにより、次のULSSASの起点となります。

UGCと合わせて覚えたい用語、「IGC」「PGC」「CGM」

UGCと関連する以下の用語についても合わせて覚えましょう。

PGC
Professional Generated Contentの略で、プロによって作成されたコンテンツの総称です。企業のWebサイト、オウンドメディア、自社アカウントからのSNS投稿などはすべてPGCです。

IGC
Influencer Generated Contentの略で、企業が報酬を支払い、インフルエンサーに依頼して作成されたコンテンツのことです。

CGM
Consumer Generated Mediaの略です。CGMとはUGCが生成されるメディア全般のことです。具体的にはX、Instagram、YouTube、食べログ、クックパッド、GoogleマップなどがCGMです。

 

UGCを活用するマーケティングの手法と成果を上げるポイント

UGCは消費者の購買行動を大きく左右するため、企業はマーケティング活動でUGCを理解し活用することが不可欠です。UGCを活用するマーケティングの手法、進めかたと注意点について述べていきます。

UGCを活用するメリットとデメリット

UGC活用のメリットとデメリットを確認します。

《UGC活用のメリット》

低コストでマーケティング施策ができる

たとえば、SNSの自社アカウントで一般のユーザーが作成した動画や写真入りの投稿を再投稿しながらコメントを追加する方法は、低コストでコンテンツ作成の時間もかかりません。UGCを自社のコンテンツを補完するコンテンツと位置づけて、活用することができます。

投稿を起点とする消費行動は、ULSSASの丸い形状の通り「連鎖」することが大きな特徴です。膨大なコンテンツはつながりあっていて、ユーザーに好意的に受け取られた情報はスピーディーに伝播するので、少ないコストで大きな成果を生み出すことが期待できます。

消費者の目線に立った発信ができる

ユーザーの投稿をリポストしたり、その内容を参考にしてコンテンツを作成・発信したりすることで、企業目線ではなく、消費者目線からの情報発信ができます。たとえば、あるユーザーが新しいコンビニスイーツについて「おいしくてコスパも◎」と発信すれば、同じ内容を企業が発信するよりも、ターゲットユーザーの共感を得られやすいでしょう。

購買行動に結びつきやすい

前述した「ULSSAS」のメカニズムがはたらき、誰かの投稿を見て気に入ったユーザーは「私も体験してすぐ投稿しよう」と考えます。「検索する」「検討する」といったステップを経ずにすぐに行動する人もいるでしょう。ときには、1人の投稿から商品が大ヒットすることもあります。UGCは購買行動に結びつきやすい重要なコンテンツといえます。

UGCから改善点や新商品のアイデアを得られる

UGCには一般ユーザーの率直な声があふれています。これらを収集・分析することで自社商品への評価や要望をリサーチして、改善や新商品開発に活用することができます。リサーチ目的でUGCを解析し、マーケティングや商品開発に活用することを「ソーシャルリスニング」といいます。

《UGC活用のデメリット》

UGCを活用するときのデメリットとして、以下があります。

信ぴょう性を確認できない

SNSのユーザー投稿が事実かフィクションかは、判断がつけづらいです。最近ではフェイク動画も流れてくるようになり、正しい情報を見極めて発信することがより重要になっています。

炎上のリスクがある

UGCは一般ユーザーが自発的に発信するコンテンツですから、当然ネガティブな投稿もあり、そこには炎上のリスクが存在します。企業は常に、SNSにおいて慎重になる必要があります。それでもちょっとした批判などから予測できないトラブルが発生する可能性はあり、万一のときは迅速な対応が必要です。

著作権や法制度に注意が必要

SNS投稿は投稿者に著作権があるので、企業が二次使用するときはユーザーに許可を得る必要があります。加えて、ユーザーが撮影した写真の背景に他者が権利を持つ映像や肖像が映り込んでいることもあるので要注意です。
また、医薬品に関する投稿では薬機法に抵触していないかチェックする必要があります。

UGCを活用する施策の種類

UGCをマーケティングに活用する方法として、以下のような施策があります。

再投稿

企業アカウントがユーザーの投稿を再投稿する「リポスト」「シェア」などの方法です。手軽に実施でき、多くの人への訴求力があります。自社WebサイトやパンフレットにUGCを活用している企業もあるようです。使用する際は必ず投稿者に事前に許可を得る必要があります。自社のファンを増やせるチャンスでもあるので、顧客と直接コミュニケーションをとるときは丁寧に、誠意をもって対応することが重要です。

キャンペーン

企業がユーザーに投稿をはたらきかけるキャンペーン施策です。Facebook、Instagram、Xで活用されている#(ハッシュタグ)をつけた投稿を依頼する「ハッシュタグキャンペーン」が知られています。ほかに、アカウントフォローやアプリダウンロードを依頼するキャンペーンもあります。ユーザー側にとっては楽しみながら参加でき、企業にとってはUGCを増やすことができる有効な施策です。

インフルエンサーへの投稿依頼

多くのフォロワーを有するインフルエンサーに報酬を支払って商品の紹介を依頼する方法です。インフルエンサー自身のコメントや写真とともに商品が紹介されることで訴求力が高まります。インフルエンサーへの依頼では「PR」などの表記を入れ、ステルスマーケティングではないことを明示する必要があります。

ソーシャルリスニング

ソーシャルリスニングとは、SNS上に投稿されているコンテンツを収集・解析して消費者ニーズを探るマーケティングリサーチの施策です。

参考:マーケティングリサーチの種類と手法は?デプスインタビュー事例も紹介!

このほか、以下の記事ではSNSマーケティングについて詳しく解説しています。
参考:SNSマーケティングとは?5つの施策ポイントや成功事例、BtoBで有効な事例も紹介

UGCを活用するときの注意点

UGCを活用する施策を行う上での注意点として、以下が挙げられます。

ユーザー行動の変化

ユーザーが好んで見るプラットフォーム、共感されやすい投稿やあまり好まれない投稿の傾向は、常に変化します。ターゲットユーザーの意識や行動について最新の動向をリサーチしながらUGC施策を立案する必要があります。

法制度やルールの変更

SNSをとりまく法規制は毎年のように変化します。法令を遵守して安全に施策を行うため、最新の法制度に関する情報のアップデートが欠かせません。また、ネット上の行動への法規制が厳しい欧州など、海外事情も把握しておく必要があります。

SNSのアルゴリズム変更

SNSプラットフォームのアルゴリズム変更により、UGC上で表示されるコンテンツの優先順位が変わることもあります。プラットフォームのルール変更についても最新情報を取り入れましょう。

UGCを活用する企業の事例

企業のUGC活用事例をご紹介します。

■JTB「思い出”シェア”キャンペーン」

JTBは定期的にSNSでキャンペーンを実施しています。2024年5月には、InstagramのJTB公式アカウントをフォローして、写真に「#JTB思い出シェア」のハッシュタグを付けて投稿した人に抽選でクーポンをプレゼントするキャンペーンを実施しました。

■キッザニア

キッザニアでは過去の施設利用者のレビュー、Instagram投稿を「ご利用者様の声」として公式Webサイトに掲載してきました。さらにInstagramではキッザニアでの体験を想起できるコンテンツを掲載。予約サイトのファーストビューに体験動画を設置することで、静止画のときと比較して予約率を110%に向上させることができました。

■NISSAN「NISSANラブストーリー」

NISSAN車ユーザーの思い出を「NISSANラブストーリー」と称する特設サイトで紹介しています。SNSで投稿された写真、エピソードを印象的な街並の上に展開させ、読みたくなるコンテンツ提供に成功しています。

■明治製菓「きのこたけのこ論争」

少し前ですが、明治製菓の「きのこの山&たけのこの里論争」はSNS上で非常に盛り上がり、多くのUGCを創出しました。現在も特設サイトで動画を見ることができます。

まとめ

本稿のポイントは以下です。

  1. UGCとは一般ユーザーが自発的に作成したコンテンツです。企業広告よりもUGCのほうが購買の決め手となることが多いため、UGCを活用するマーケティングが重視されています。
  2. UGCの活用が最も有効な業態としてECサイトがあります。このほか、飲料、食品、ファッション、インテリア、旅行などの企業でUGCが重視され、活用されています。
  3. UGCの種類として、以下があります。
    ・SNS投稿
    ・口コミ、レビュー
    ・YouTube動画
    ・個人ブログ
    ・Q&A サイト
  4. UGCを活用する施策として、以下があります。
    ・再投稿
    ・キャンペーン
    ・インフルエンサーへの投稿依頼
    ・ソーシャルリスニング

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