急成長を続けるWeb広告市場。特に近年は動画広告の伸びが大きくなっています。
コロナ禍でも成長を続けたWeb広告市場ですが、現在はCookie規制が2024年に迫っているということで、次のデファクト・スタンダードが模索されています。
今回は、Web広告のしくみや関連用語、Web広告の種類をまず整理・確認し、最新事情や効果的な運用方法などもまとめてご紹介していきます。
マーケティングに欠かせないWeb広告とは?特徴や関連用語も解説
Web広告の全体像、Web広告のしくみと関連用語について解説していきます。
Web広告とは?拡大を続けるWeb広告市場
Web広告とは、インターネット上で掲載・配信される広告の総称です。
Web広告をインターネット広告、ネット広告、オンライン広告などということもあります。
以下の図でもわかるように、Web広告市場は拡大を続けています。コロナ禍でも成長を続け、2022年には2017年から5年で市場規模が倍になる見込みです。
広告媒体にはWebのほかにテレビや新聞をはじめ、電車の中吊り、タクシーなどもあります。これらを含めた広告については以下で解説しているので参照してください。
参考:現代マーケティングにおける広告戦略とは。BtoBではどう進める?
Web広告のしくみと「アドネットワーク」「DSP」などの関連用語を確認
ユーザーがWebサイトを閲覧するとき、あらかじめ設定された「広告枠」に広告が掲載されます。これはWebサイトの配信元であるWebサーバーとは別のアドサーバーから配信されています。
アドネットワーク
Web広告会社が運営するアドサーバーは複数のWebサイト、SNSなどの広告枠を管理していて、広告のターゲットや予算に合わせて媒体を選んで配信します。
このような複数枠へ配信するしくみを「アドネットワーク」といいます。
アドネットワークからは効果測定データを一括で受け取れるというメリットもあります。
代表的なアドネットワーク事業者にGDN(Google Display Network)、YDA(Yahoo! ディスプレイ広告)があります。
アドエクスチェンジ、RTB
アドネットワークが一般化すると、広告主は複数の広告枠に効率よくWeb広告を配信できるようになりました。
しかし特定の広告枠に広告を出したい場合もあります。
こうしたときに特定の広告枠を1インプレッション(表示回数)ごとに購入するのが「アドエクスチェンジ」です。
このときの入札方法を「RTB(Real Time Bidding)」といいます。
DSP、SSP
さらに、媒体側が提供するアドネットワークに対応して、広告主側にとっての広告配信の最適化のためのしくみとして「DSP(Demand Side Platform)」が生まれました。
一方メディア側には「SSP(Supply Side Platform)というシステムがあり、現在はDSPとSSPを介して配信の最適化が行われています。
運用型広告と予約型広告
Web広告の多くは、予算枠内でそのときどきの入札金額に合わせ、リアルタイムで広告枠を選び出して配信する「運用型広告」です。
これに対して、あらかじめ広告金額と広告枠・掲載期間を決めて出稿する方法を「予約型広告」といいます。
Web広告のメリットとデメリット
テレビや新聞、その他の媒体と比較したときのWeb広告のメリットは以下です。
少ない予算で始められる
Web広告には1クリック、1インプレッションに対して課金されるものもあり、100円単位からでも始めることが可能です。
他の媒体と比べて少ない予算から始められるので、小さなECサイトなどでも工夫次第で活用できます。
詳細なターゲティングが可能
Web広告はユーザーの居住地域、年代、趣味嗜好などの属性を絞り込んで広告を配信することが可能です。
自社のターゲットとなるユーザーのみに効率よく情報を届けられます。
ターゲティングのためにIPアドレスやCookieが活用されています。
CVにつながりやすい
商品の広告をクリックして購入ページへ、キャンペーン広告をクリックして応募ページへ、というように、Web上ならスピーディーに行動にうつることができます。
ユーザーの気持ちが動いた瞬間を逃さず、すぐにアクションを促せることもメリットです。
効果測定がしやすい
テレビや雑誌の広告の場合「効果が出ているとはっきりわからないが、しばらく続ける」といった出稿のスタイルもありましたが、Web広告はそれがありません。
表示した広告のクリック率、さらに購入まで進んだユーザーの比率などがほぼリアルタイムで数値化され、広告の効果が詳細に測定できます。
広告の配信先見直しやクリエイティブの改善などの施策もスピーディーに実施できます。
Web広告の今までと今後
Web広告が始まってから今までの経緯を簡単に振り返ります。
パーソナルコンピュータやインターネットが普及し始めた1995年頃、Web広告は、Webサイトの広告枠を購入して広告を掲載する「純広告」という形でした。
続いて、人気のあるWebサイトに表示された広告をクリックした数により広告費が発生する成果報酬型の「アフィリエイト広告」も広まりました。
2000年代に入ると、各種SNSが広がり、検索結果連動型の「リスティング広告」や「リターゲティング広告」など、現在のWeb広告に近い形が確立されていきます。
ユーザーが一度閲覧したページの内容と関連する広告が表示されるリターゲティング広告では、Cookieの技術が使われています。
Cookieとはユーザーの行動履歴のデータで、ユーザーの興味や嗜好に合わせた広告を配信するために欠かせないしくみです。
Cookieのなかでも第三者が広告配信に使用している「サードパーティークッキー」は、個人情報保護の観点から問題が指摘され、2024年までに廃止される見通しで、このため、現在Web広告業界はCookieに代わる技術の開発競争となっています。
Cookie規制に関して詳しくは以下を参照してください。
参考:Cookie規制の現状と、マーケティング部門がすぐやるべき5つの対策。シャノンが提案する新技術もご紹介!
Web広告の種類
多種多様なWeb広告の種類と特徴をまとめます。下図は電通グループの調査による最新のWeb広告構成比です。
以下で順に各広告を説明するなかで述べる市場規模も同じ調査より引用しています。
リスティング広告
リスティング広告とは、キーワード検索をしたときに検索結果の上部と下部にテキストで表示される広告のことです。
市場規模は7,991億円、全体の37%(2021年)で、Web広告のなかで最も大きな割合を占めます。課金の方法は広告をユーザーがクリックした場合に費用が発生する「クリック課金」です。
リスティング広告は自分のニーズが明確なユーザーに対して効率よくアプローチできます。一方で、潜在層を含めて幅広く情報を届けたい場合には向きません。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webページの一部に設定された広告枠に表示される広告で「バナー広告」と呼ばれることもあります。テキストや画像のほか動画を掲載することも可能です。
市場規模は6,856億円で全体の31.8%(2021年)を占めます。
ディスプレイ広告は興味・関心がある・なしどちらのユーザーにも有効で、幅広く使用されます。ヤフーのTOPページのような多くの人が見る場所に掲載するディスプレイ広告は、高い告知効果があります。
ディスプレイ広告の広告枠は複数をまとめて前述したアドネットワークで管理されることが多く、リターゲティングのしくみも活用されます。一方で、特定の広告枠を予約する「純広告」として出稿することも可能です。
ディスプレイ広告を使った広告戦略については以下で紹介しています。
参考:ディスプレイ広告で成果を上げるには?きめ細かな効果測定がポイント
SNS広告
SNS(ソーシャルメディア)への広告出稿も有力な手段です。
SNSへの広告費は3,168億円(2021年)となっています。
SNSには登録されたユーザーの属性、興味・関心などの詳細なデータが蓄積されているので、精度の高いターゲティングが可能です。
SNS広告はイベント告知のような即効性を求める広告にも、商品やサービスのブランディングといった中長期戦略にも有効で、「いいね!」やフォロワーなどユーザーからのレスポンスをマーケティングに活用でき、企業と顧客の直接のコミュニケーションが生まれることもあります。
さらに、Cookieが規制される今後、SNS広告の重要性は高まると考えられます。主な課金方法はインプレッション課金とクリック課金です。
また、SNSの投稿記事と同じようなフォーマットで投稿記事の間に入る広告のことを「インフィード広告」といいます。
facebook
実名で登録しているユーザーが多く年齢層は高めで、BtoCはもちろんBtoBビジネスでも効果があるとされています。
Instagram
女性のユーザーがやや多く、年齢層はやや若い傾向です。
写真投稿がメインなので、商品を紹介するBtoC向きといえます。「Shop Now」機能によりInstagram上で直接販売できます。
Twitter
幅広い年齢層・属性のユーザーが利用しているメディア。企業の認知度アップや新規顧客獲得に活用されています。
LINE
約8,600万人という国内で最も多いアクティブユーザー数が最大の魅力です。
地方にも浸透しているのでエリアを限定した情報を届けやすいことも強みで、広告媒体として成長を続けています。
SNSで広告出稿する場合、企業アカウントの運用も欠かせません。SNSを効果的に活用するマーケティングについては以下の記事で解説しています。
参考:ソーシャルメディアマーケティングとは?BtoBビジネスにおけるSNSの活用方法
動画広告
動画広告は近年拡大しています。2021年の動画広告は前年比132.8%の5,128億円で最も成長したジャンルとなっています。
動画広告は短時間に多くの情報を届けられること、視聴者にインパクトを残せることが特徴です。Y
ouTubeの動画コンテンツ前後に挿入する「インストリーム広告」のほか、ディスプレイ広告枠などに表示される「アウトストリーム広告」があります。
動画広告の種類や特徴については、以下の記事でくわしく紹介しています。
参考:BtoBで費用対効果が高いと注目されるバンパー広告、その活用方法とは?
動画によるマーケティングについては以下を参照してください。
参考:動画マーケティングとは?会社で活用するための手法を紹介
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告はWebサイトの運用者が広告を掲載します。
多くの場合は成果報酬型で、広告をクリックした場合、CVに至った場合などに報酬が発生します。
人気のあるメディアへの広告配信では着実な広告効果が得られます。
出稿する場合、広告主はASP(Affiliate Service Provider)に登録します。
アフィリエイト広告は古くからあるWeb広告の方法ですが、今も1000億円に近い売上があります。
記事広告
記事広告はニュースメディアなどに掲載される広告のスタイルで、他の記事と同じフォーマットで一見広告とはわからない見せ方になっています。
このように広告枠ではなく他のコンテンツ内にまぎれて表示される広告のことを総称して「ネイティブ広告」と呼びます。
一般的な広告は広告主がクリエイティブを制作しますが、記事広告ではメディアが取材や制作を行うことが多く、このような記事広告を「タイアップ広告」といいます。
記事広告やタイアップ広告は「PR」「広告」などの表示があることで他の記事と見分けられます。
メール広告
メール広告とは「メルマガ」に代表されるような、メールを使った広告です。テキストメールとHTMLメールがあり、HTMLメールでは画像も送信できます。
メール広告はコストがかからず、費用対効果が高い方法です。メールアドレスがわかるユーザーであれば直接アプローチができ、イベントやバーゲンセールの案内などにも適しています。
自社の登録ユーザーに配信するほか、人気があるメールマガジンに広告として情報を掲載する方法もあります。
メール広告を実施するときは、誘導先であるLP(ランディングページ)のコンテンツ作成も重要です。
LPやメールマーケティング、メルマガの活用方法について紹介している以下の記事も参考にしてください。
参考:
- BtoBのメールマーケティングで成果を上げるコツは?シャノンが実践する手法もご紹介
- BtoBリード獲得のために不可欠なランディングページの最適化。LPの改善をどう進める?
- メルマガの開封率の平均はどれくらい?開封率を上げる7つの方法。BtoB向けメールのTipsもご紹介!
Web広告の選び方と運用方法は?シャノンの事例もご紹介
紹介してきたように、Web広告には多くの種類があります。広告で成果を上げるためには、Web広告の選び方、効果測定、広告の改善が重要です。
Web広告の選び方は?何を促すのか、広告の目的が重要
Web広告の出稿を検討するにあたり、知っておきたいのがそれぞれのWeb広告がもつ機能です。以下は顧客の購買行動の段階とそれに対応する広告の種類の対応例です。
認知
まだ商品やサービスを知らない潜在顧客に認知を促す最初の段階では、ディスプレイ広告として配信する純広告や記事広告などが効果的です。
興味・関心
興味や関心を引き上げる段階では、すでに認識されている商品やサービスについて理解を深めたり、自分にとっての必要性に気づいたりできるSNS広告、アフィリエイト広告、動画広告などが有効です。
比較検討
ニーズを認識した顧客がいくつかの商品やサービスを比較検討する段階では、キーワード検索で表示されるリスティング広告、リターゲティング広告などが適しています。
購入
購入行動を促すにはディスプレイ広告のリターゲティング広告が有効です。
この段階ではリターゲティング広告の一種である「ダイナミック広告」も活用されます。
ダイナミック広告とは、過去にECサイトで見た商品がディスプレイ広告として表示され、クリックするとすぐに購入ページに遷移するような広告です。
参考:ダイナミック広告とは?マーケティングで成果を上げる運用方法
Web広告の効果測定で使用する指標
ネット広告では広告の結果が詳細なデータで残ります。この測定結果を分析・評価して出稿計画の調整や見直しをしていくことが重要です。
評価すべき指標として、たとえば以下があります。
インプレッション数(imp)
広告が表示された回数のことです。広告表示回数が当初見込みより少なくなってしまう場合、ターゲット設定の見直しが必要です。
インプレッション課金の場合はこの数値が広告費の基準となります。
クリック数(CT、Click Through)
広告がクリックされた回数です。クリック課金の場合はこの数値に応じて広告費がかかります。
クリック率(CTR、Click Through Rate)
インプレッション数に対するクリック数の割合です。CTRが低い場合、ターゲットやクリエイティブを見直す必要があります。
クリック単価(CPC、Cost Per Click)
クリック1回あたりの広告費です。運用型広告の場合はクリック単価が変動するので、一定期間の平均クリック単価を算出して指標とします。
コンバージョン数(CV、Conversion)
広告の目的となっている具体的な成果を数値化したものです。広告から流入したユーザーの「商品購入数」「会員登録数」などをCVに設定します。
コンバージョン率(CVR、Conversion Rate)
クリック数に対するコンバージョンの割合です。CVRが低い場合、広告表示が商品について正確に伝えているか、LPの内容が適切かなどをチェックします。
顧客獲得単価(CPA、Cost Per AcquisitionまたはCost Per Action)
商品購入や会員獲得などの成果を1件獲得するためにかかった広告費のことです。
Web広告のクリエイティブ改善は、ABテストで
広告のクリック率やコンバージョン率が思うように上がらないとき、広告のクリエイティブを見直す必要も出てきます。クリエイティブを改善するときには「ABテスト」が有効です。
ABテストとは、AとBの2つのパターンを作成し、実際に運用してみて結果がよい方を採用する方法です。
ABテストは2パターンとは限らず、3つ以上のパターンを用意してテストすることもあります。また、広告のクリエイティブだけでなく、流入先であるLPの改善にもABテストを活用します。
ABテストの方法については以下を参照してください。
また、シャノンのLPはどんなABテストを経てきたか?について以下の記事でご紹介しています。
参考:BtoBリード獲得のために不可欠なランディングページの最適化。LPの改善をどう進める?
最後にシャノンの広告クリエイティブ事例をご紹介!
シャノンでも多様なWeb広告を実施していますが、その中なかからバナー広告の一例をご紹介します。
以下4点はシャノンの製品資料ダウンロードページへ誘導するディスプレイ広告です。
また、以下はリードナーチャリングのホワイトペーパーへ誘導する広告。
ウェビナーで集客したリードのうち取りこぼしているかもしれない55%にフォーカスしています。
上の広告からデータと図で詳しく解説するLPへ誘導し、そこからボタンクリックでダウンロードページに遷移します。
ご覧のように、Web広告の色調、イラスト、トーンなどを統一して、イメージの浸透を図っています。
まとめ
本稿のポイントは以下の4点です。
1. Web広告市場は拡大を続けていて、特に動画広告が伸びています。
2. Web広告のメリットは以下です。
・少ない予算で始められる
・詳細なターゲティングが可能
・CVにつながりやすい
・効果測定がしやすい
3. Web広告の種類として以下があります。広告の特性を理解して、目的に合わせて選ぶことが大切です。
・リスティング広告
・ディスプレイ広告
・SNS広告
・動画広告
・アフィリエイト広告
・記事広告
・メール広告
4. 広告の効果測定ではインプレッション数、クリック数、クリック率、CV数などの指標を使用します。
最後に、シャノンのマーケティングオートメーションでは、データの一元管理による効率的なリード獲得とナーチャリングが可能です。
また、シャノンコンテンツアシスタントでは、主にセミナー集客メールのタイトルと内容、記事集客メールのタイトルと内容、記事本文の生成が可能です。
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